1963年に記念すべき第1作目「花の生涯」で放送を開始して以来、現在放映中の「おんな城主直虎」で56作目となるNHK大河ドラマ。日曜夜の代名詞ともいえるNHK大河ドラマは、視聴率の上でも毎年のように高い注目を集める人気コンテンツでもあります。
そこで、この記事では1年目の「花の生涯」から昨年2016年の「真田丸」までの55作品の平均視聴率をランキングにして、ベスト10とワースト10を除いた35作品の視聴率をランキング形式でご紹介してみたいと思います。
11位~21位 光る唯一の21世紀作品「篤姫」と石坂浩二主演作品の多さ
この記事では、ベスト10とワースト10を除いたところの、歴代11位から44位(同率)までを一気にご紹介します。ちなみに小数点2位以下を四捨五入して出た小数点1位が同じだった場合は単純に同位としています。
では、まずは11位から21位までをご紹介しましょう。
順位 放送年 ドラマ名 視聴率 主 演
11 1979年 草燃える 26.3% 石坂浩二・岩下志麻
12 1991年 太平記 26.0% 真田広之
13 1978年 黄金の日日 25.9% 松本幸四郎
14 1969年 天と地と 25.0% 石坂浩二
15 1975年 元禄太平記 24.7% 石坂浩二
16 1992年 信長 24.6% 緒形直人
17 2008年 篤姫 24.5% 宮崎あおい
18 1974年 勝海舟 24.2% 渡哲也・松方弘樹
19 1976年 風と雲と虹と 24.0% 加藤剛
20 1982年 峠の群像 23.7% 緒形拳
21 1966年 源義経 23.5% 尾上菊之助
大河ドラマってやっぱり凄いですよね、11位の「草燃える」でも平均26.3%なんですから。時代の違いはあるにせよ、今や連ドラは平均10%以上で合格点といわれている事を考えれば驚異的とも言えます。1960年代から70年代にかけての作品が居並ぶ中、何といっても光るのが21世紀になってからの作品である「篤姫」の24.5%。テレビ離れが叫ばれる中でのこの数字は凄いとしか言いようがないですね。恐らく21世紀の大河ドラマ作品でこの数字を超えるドラマはしばらく現れないと思います。それくらい凄い視聴率です。
1990年代の2作品、「太平記」と「信長 king of zipang」も大健闘ですね。どちらも真田広之、緒形直人という若手俳優を抜擢しており、NHKの「大河ドラマで俳優を育てていくんだ」という気概が伝わってくる主演俳優の人選でした。
凄いのが石坂浩二さん。西田敏行さんと並んで現役俳優としては「ミスター大河ドラマ」といっていいほどに大河ドラマへの貢献度の高い俳優さんなのですが、この11位から22位の間に主演作品が3本もランクインしています(“草燃える”“天と地と”“元禄太平記”)。最近では倉本聰さん脚本のテレ朝の昼ドラ、「やすらぎの郷」での主演で話題となっていますが、やはり昔から凄い俳優さんなのです。
22位~33位 後世の評価が高い「国盗り物語」「獅子の時代」等も
大河ドラマの作品群ではちょうど中位グループといってもいいのがこの22位から33位の辺りですね。では見てみましょう。
22 1997年 毛利元就 23.4% 中村橋之助
23 1990年 翔ぶが如く 23.2% 西田敏行・鹿賀丈史
24 1974年 国盗り物語 22.4% 平幹二朗・高橋英樹
25 2002年 利家とまつ 22.1% 唐沢寿明・松嶋菜々子
26 1971年 春の坂道 21.7% 中村錦之助
27 1972年 新・平家物語 21.4% 仲代達也
28 2009年 天地人 21.2% 妻夫木聡
29 1984年 山河燃ゆ 21.1% 松本幸四郎・西田敏行
29 1998年 徳川慶喜 21.1% 本木雅弘
31 1970年 樅の木は残った21.0% 平幹二朗
31 1980年 獅子の時代 21.0% 菅原文太・加藤剛
33 2006年 功名が辻 20.9% 仲間由紀恵・上川隆也
このエリア(22位から33位)の各作品も軒並み平均視聴率20%以上をキープした作品ばかりです。やはり凄いです、大河ドラマって。
1970年代から2000年代まで各年代の作品がバランスよく並んでいるのが特徴ですね。現在でも非常に評価の高い司馬遼太郎原作の「国盗り物語」はここにいました。後世の高評価、そして比較的高視聴率の作品の多い戦国時代ものという部分を考慮すれば、意外と低いんだなというのが個人的な感想ですね。同じく現在の評価がすこぶる高い菅原文太と加藤剛のW主演「獅子の時代」もここにいますね。ちなみにこの「獅子の時代」の時代設定は大河ドラマに獲って鬼門とも言われた幕末から明治初期にかけての、いわゆる「幕末もの」です。
視聴率苦戦が叫ばれていた21世紀大河からは「利家とまつ」、「天地人」、「功名が辻」という3作がランクイン。この辺りは大健闘といってもいいでしょうね。ただ個人的には1998年の「徳川慶喜」が平均21.1%でここに入っているというのが凄いと思います。視聴率が取れないといわれる幕末物、しかも維新側の英雄ではなく、江戸幕府最後の将軍であり歴史家の評価も真っ二つに分かれている徳川慶喜という人物を取り上げてのこの数字ですから。武田信玄などを手掛けた名脚本家、故・田向正健氏の大河最後の作品として面目躍如といったところでしょうか。
34位~44位 大河1作目「花の生涯」の他、テレビ離れが進む2000年代の作品が多数
では、視聴率ワースト10の手前となる(爆汗)、平均視聴率34位から44位の作品をご紹介しましょう。
34 1963年 花の生涯 20.2% 尾上松緑
34 1999年 元禄繚乱 20.2% 中村勘九郎
36 2005年 義経 19.5% 滝沢秀明
37 1967年 三姉妹 19.1% 岡田茉莉子・藤村志保・栗原小巻
38 1977年 花神 19.0% 中村梅之助
39 2010年 龍馬伝 18.7% 福山雅治
39 2007年 風林火山 18.7% 内野聖陽
41 2001年 北条時宗 18.5% 和泉元彌
41 2000年 葵徳川三代 18.5% 津川雅彦・西田敏行・尾上辰之助
43 1985年 春の波濤 18.2% 松坂慶子
44 1993年 炎立つ 17.7% 渡辺謙・村上弘明
44 2011年 江 17.7% 上野樹里
半世紀以上にもわたる大河ドラマの歴史的な第1作目、「花の生涯」はここにいました。20.2%で第34位。意外と低かったんですね。まあ、まだ大河ドラマというブランドも大河ドラマ視聴習慣も根付いていない真っ新な状態での船出でしたでしょうから、それを考慮すればいい方なのかもしれませんが・・
それ以外で目立つのが2000年代の作品の多さです。これは、CSなどの多チャンネル化やインターネットの普及による視聴者のテレビ離れの動きとシンクロしているといってもいいと思いますね。
個人的には完全版で見てみたい作品の筆頭で、リアルタイムで視聴した大河ドラマファンからの評価もとても高い「花神」は平均19%でこんなとこに・・(涙)。大好きな「風林火山」「葵徳川三代」「炎立つ」もこのエリアです。しかし、ここにいる作品のメンツを見ると本当に思いますね。「視聴率の高さ≠作品の良し悪し」であるという事が。
平均視聴率11位~44位総括 やはり大河ドラマは凄い!モンスターである!
まあ何と言いますか・・。とにかく凄いドラマ枠ですよね。歴代11位の草燃えるで平均26.3%ですからね。平均ですよ、平均(笑)。さらには第34位の「元禄繚乱」までの作品のすべては平均20%以上を記録しています。下から11番目、上から44番目となる「炎立つ」と「江」でも平均17.7%です。平均2桁視聴率行けばいいといわれている近年のドラマの視聴率で考えると驚異的ですよね。しかも普通の連ドラのように1クール(3か月)の平均ではなく1年間の平均ですからね。
このランキングを見ていて思うのは、やはり2000年代以降の大河ドラマは視聴率的に苦戦傾向にあるなあという事ですね。
テレビの多チャンネル時代の到来や娯楽の多様化などの要因によって、テレビ視聴率というのは年々右肩下がりとなっているのが現状です。昭和の時代の頃のように信じられないような視聴率が乱発するようなことは今の時代には考えられませんし、そういう意味ではテレビの古き良き時代の視聴率と、現在のテレビの視聴率を比べる事はある意味ナンセンスといえるかもしれません。
しかし、そんな21世紀になってからのテレビ業界全体の苦境と視聴率不振という、社会全体の変化に伴う構造上の問題を孕んだある意味ドラマ業界にとってはどうにもならない問題に直面しながら叩き出した2008年の大河ドラマ「篤姫」の高視聴率は驚異的なものだと思いますね。
まあどちらにせよ、視聴率44位の「炎立つ」と「江」でも平均視聴率17.7%なのですから、やっぱり大河ドラマはモンスターなんですよ。凄い存在なのです。
大河ドラマ視聴率ランキングのベスト10、ワースト10の作品については以下の記事をご覧ください。
コメント
あちこちで口コミ見てると、真田丸が最強だと思います。
今まで大河になっていなかったのが不思議なくらい。
やはりこれからの時代は、岡田准一とか忍成修吾みたいな目がパッチリした顔の濃いイケメンの、いわゆる「今まで主流で人気だった俳優」より、
堺雅人、神木隆之介、星野源のような穏やかな顔つきの俳優のほうが人気が出る時代になっていくと思います。
真田丸は「革命」だったと思います。
やっぱ色々話聞いてると、「王道物」だと人気が出ないんですよね。
新選組も真田丸などの三谷作品も最近の若い人に人気だし、感動と笑い、どっちも入ってないとヒットしないんです。
軍師官兵衛なんて王道すぎて重苦しすぎたし、全く笑いが無い、官兵衛はキャストも色々とひどかった、松坂桃李だとか高畑充希だとか、速水もこみち・中尾明慶・濱田岳・塚本高史・忍成修吾、「王道キャスト」すぎる。これじゃヒットするわけがない。
これからの大河は笑いと感動の両方が入らないとだめだと思います。
笑いと感動が必要だとしても質が問われますよね。
寒いコメディ要素や安っぽい感動エンタメみたいな薄っぺらいものでは、仮に入れたとしても大河ドラマの視聴者にはなかなか受け入れられないのではと思います。
逆に言えば王道でもドラマとして面白ければ支持を得られると思います。やはり未だに王道大河を求める層はかなりいるのではと思います。個人的には「軍師官兵衛」は及第点の大河であったという評価です。
まあ当然ですけどやはりすべてはドラマの出来でしょう。しっかりしたものを作れば評価はされるんじゃないでしょうか。後世の評価になるかもしれませんが(苦笑)