第6位 太閤記 1965年放送平均31.2%
放送期間 :1965年1月3日~12月26日
放送回数 :全52話
音 楽:入野義朗
原 作:吉川英治
脚 本:茂木草介
主 演:緒形拳
時代設定 :戦国末期~安土桃山
主 人 公:豊臣秀吉
平均視聴率:31.2%
最高視聴率:39.7%(第42話)
当時ほとんど世間一般では無名であった新国劇の若手俳優・緒形拳を主人公の豊臣秀吉役に大抜擢して大成功を収めたのがこの「太閤記」。制作は昭和40年、今から50年以上も前の作品です。若き無名の俳優に過ぎなかった緒形拳さん大抜擢の理由は「猿に似た顔」というのが一番の理由だったのだそうです。しかしこの主演のチャンスをものにして、緒形拳さんは名優への道を駆けあがっていったのです。その様はまさに主人公の豊臣秀吉と同じサクセスストーリーですよね。
さらにこのドラマで織田信長を演じた、同じくほぼ無名の存在だった高橋幸治さんもこの役をきっかけとしてスターダムにのし上がりました。
そしてこの信長・秀吉コンビが復活したのがこの作品から13年後の「黄金の日日」だったのです。粋な事しますな、NHKさんも(笑)。そして「秀吉」の所でも言いましたが、もう一回言います。やっぱり日本人は秀吉が好きなんですよ。
第5位 おんな太閤記 1981年放送平均31.8%
放送期間 :1981年1月11日~12月20日
放送回数 :全50話
音 楽:坂田晃一
原作・脚本:橋田寿賀子
主 演:佐久間良子
時代設定 :戦国末期~江戸初期
主 人 公:ねね(北政所、高台院)
平均視聴率:31.8%
最高視聴率:36.8%(第23回)
大河ドラマで3作品を手掛けた橋田寿賀子先生の大河ドラマ初作品となったのがこの「おんな太閤記」。
キャストは泉ピン子さんや赤木春恵さん、長山藍子さん、前田吟さん、東てる美さん、沢田雅美さんなど橋田ファミリーと呼ばれる俳優さんが多く出演していらっしゃいましたね。
これもまた豊臣秀吉の出世を陰ながら支えた妻・ねねを描いた物語です。何度でも言いましょう、本当に日本人は秀吉好きなんです(笑)。
第4位 赤穂浪士 1964年放送平均31.9%
放送期間 :1964年1月5日~12月27日
放送回数 :全52話
音 楽:芥川也寸志
原 作:大佛次郎
脚 色:村上元三
主 演:長谷川一夫
時代設定 :江戸時代
主 人 公:大石内蔵助
平均視聴率:31.9%
最高視聴率:53.0%(第47話)
芥川龍之介の長男・芥川也寸志が手掛けたオープニング曲はあまりにも有名です。聴いた事のない日本人はいないのでは?という程ですよね。まさに赤穂浪士といえばこの曲です。そしてそれは大河ドラマ第2作目となったこの「赤穂浪士」で生まれました。
大河ドラマの歴史の始まりは第1作目の「花の生涯」ですが、大河ドラマの人気とその後の流れを決定付けたのはこの2作目の「赤穂浪士」でしょう。大河枠を国民的ドラマとしての地位へ導いた大功労者といってもいいドラマですね。
この「赤穂浪士」で現存するものは7話の一部と吉良邸への討ち入りを描いた47話「討入り」のみだといわれています。唯一全部のこっているその第47話「討入り」は大河ドラマの各話最高視聴率の53%を記録しました。この最高視聴率は大河ドラマ史上最高視聴率であり、52年以上経った今も破られていません。恐らくこれから未来永劫破られる事のない記録でしょう。
第3位 春日局 1989年放送平均32.4%
放送期間 :1988年1月1日~12月17日
放送回数 :全50話
音 楽:坂田晃一
原作・脚本:橋田寿賀子
主 演:大原麗子
時代設定 :安土桃山~江戸初期
主 人 公:春日局(おふく)
平均視聴率:32.4%
最高視聴率:39.2%(第4話)
またまた橋田寿賀子先生の作品がランクイン。9位の「いのち」、5位の「おんな太閤記」に次いで歴代高視聴率10作品のうち3作品が橋田作品となります。凄いのは、橋田寿賀子が手掛けた大河ドラマは3作で、その3作全てを大成功させたことでしょう。こんな脚本家は後にも先にも橋田先生だけです。
驚くべきはこの歴代3位に入った「春日局」の初放送日。なんと、お正月元日の1月1日なのです。
この元日放送は結果的には大失敗に終わります。元日に放送された第1話「父の出陣」の視聴率は14.3%。平均視聴率32.4%のドラマなのにたったの14%だったのです。この後2話から30%に乗せて軌道に乗ったのはさすがですが、元日放送パターンはこの作品が最後となりました。そんなスタートだったのにこの平均というのが逆に凄いですよね。
第2位 武田信玄 1988年放送平均31.2%
放送期間 :1988年1月10日~12月18日
放送回数 :全50話
音 楽:山本直純
原 作:新田次郎
脚 本:田向正健
主 演:中井貴一
時代設定 :戦国時代
主 人 公:武田信玄(晴信)
平均視聴率:39.2%
最高視聴率:49.2%(第6話)
当時27歳だった中井貴一さんの大河ドラマ初出演作にして主演作がこの武田信玄でした。まさに大抜擢でした。しかも肖像画のイメージもあって恰幅のいい信玄のビジュアルイメージとは似ても似つかない細面の中井さんの起用はかなりインパクトがありましたね。
しかしそんな心配もどこ吹く風、始まれば大河初出演とは思えぬ重厚な演技によって若き日の武田家嫡男の武田晴信から信玄入道となって志半ばで倒れるまで素晴らしい武田信玄となりました。
この「武田信玄」ですが、とにかくその作風は質実剛健で硬派そのもの。俳優も重厚なベテランから脂の乗り切った中堅、そして生きのいい若手までバランスよく配置され、それぞれが生き生きとしていました。なぜ信玄が甲斐の虎と呼ばれ、郷里の甲斐では今でも「信玄公」と呼ばれて敬われているのかがよく分かるドラマでした。
それまでは人気において大きく引き離されていた感のあるライバル、上杉謙信との差は、このドラマによって確実に縮まった事は間違いありません。とにかく素晴らしい大河ドラマでした。山本正純さんのオープニングも神懸っていましたね。風から林、火、そして最後は山へと「風林火山」の旗を彷彿とさせる映像とドラマチックで壮大な音楽、まさにこれこそ大河のオープニングだという見本のような名曲です。
ま、全てにおいて凄いという事ですね(笑)。さすがは歴代2位の高視聴率を取ったドラマですよ。
第1位 独眼竜政宗 1987年放送平均39.7%
放送期間 :1987年1月4日~12月13日
放送回数 :全50話
音 楽:池辺晋一郎
原 作:山岡荘八
脚 本:ジェームス三木
主 演:渡辺謙
時代設定 :安土桃山~江戸初期
主 人 公:伊達政宗
平均視聴率:39.7%
最高視聴率:47.8%(最終話)
1963年から始まり、54年、55作品(2016年真田丸まで)の頂点に立った作品こそこの「独眼竜正宗」。「世界のワタナベ」こと渡辺謙さんの大河初主演作品です。
原作は山岡荘八、脚本はジェームス三木、音楽は池辺晋一郎という安定の布陣に加えて、まだ若手の脇役ながらもほとばしるようなオーラを放つ若き日の渡辺謙を主演に迎えたこの作品は、「山河燃ゆ」「春の波濤」「いのち」と3年続いた近現代史大河ドラマ路線によって戦国時代のドラマを求めていた大河ドラマファンの熱狂をもって迎えられました。まさに「大河ドラマの帰還」に相応しいほどのクオリティを持つ作品だったからこそのこの視聴率だったのです。
伊達政宗の幼少期、梵天丸(ぼんてんまる)時代を演じた藤間僚太君(現:8世藤間勘十郎)の「梵天丸もかくありたい」は名セリフとして人気になり、一気に人気が加速、その人気は衰えるどころかますます加速し続け、最高視聴率は最終回の47.8%でした。うなぎ上りとはこのことでしょう。
連ドラの視聴率が10%で御の字といわれる今の時代を考えても、ハッキリ言ってこの独眼竜政宗の記録が抜かれる日は訪れないと思います。それほどまでに前人未到の数字なのです。
1987年~1989年(昭和62年~平成元年)の3年の作品がトップ3の快挙
文中で何度も述べたように、テレビ離れが加速し始めた21世紀以降の作品はこの歴代視聴率トップ10には1本も入っていません。これはある程度予想していた方も多いでしょう。驚くべきはトップ3です。なんと、1987年、1988年、1989年という3年間の作品が1位2位3位なのです。年代別のトップ10内訳は以下の通りとなっています。
1960年代 2作品
1970年代 0作品
1980年代 6作品
1990年代 2作品
2000年以降 0作品
大河ドラマの良作が揃っている70年代の作品がないのが意外ですね。80年代が圧倒的に強いという印象です。
1位の独眼竜政宗の数字は無理としても、何とかこのトップ10に入る作品がこの21世紀に出てくるのを期待したいですね。
大河ドラマ視聴率ランキングの中位、ワーストについては以下の記事をご覧ください。
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