1972年に「必殺仕掛人」でシリーズ開始以来、現在に至るまで新作が作り続けられている人気時代劇、必殺シリーズ。
数多の名作の中にはレジェンド回と呼べるものも数多くありますが、ここではそんな中でも必殺仕業人第24話をご紹介しましょう。
中村主水に赤井剣之介、やいと屋又右衛門…「必殺仕業人」とは?
最初に簡単に必殺仕業人について簡単な説明を。
「必殺仕業人」は必殺シリーズ通算7作目の作品であり、いわゆる「中村主水シリーズ」の第4作目となる作品です。
仕業人のメンバーは赤井剣之介(中村敦夫)とその妻・お歌(中尾ミエ)、やいと屋又右衛門(大出俊)、捨三(渡辺篤史)、そして中村主水(藤田まこと)の面々となっており、殺しの実行部隊は剣之介、又右衛門、主水の3人ですね。
作風的にはシリーズ随一ともいえる暗さ…というか“やさぐれ感”というのが前面に出ている作品であり、殺しはあくまで仕事であり、仕業人仲間とはなれ合わないというハードボイルド感がこれでもかと漂っていますね。オープニングの口上の内容やナレーターに宇崎竜童さんを起用したのもそういった作風に拍車をかけています。後半のマイルドな必殺シリーズが好きな層にはちょっときついかもしれませんが、未だに前期ファンの多くは名作だと口をそろえるシリーズです。わたしも大好きですね。
最終回はそんな仕業人の作風を象徴するかのような衝撃的なラストとなりました。中村主水の裏稼業人生に大きな影響を与えるキー回としてもマニア間では人気となっています。この作品でのラストがあの伝説の名作、「新必殺仕置人」へと繋がっていく事となります。
必殺仕業人24話「あんた、この替玉をどう思う?」あらすじ・ストーリー
それでは、簡単に必殺仕業人第24話「あんた、この替玉をどう思う」のあらすじをご紹介しましょう。
仕業人のつなぎ役である捨三(渡辺篤史)の田舎の幼馴染であるお弓(夏純子)は、病に倒れた父親のために女郎に身をやつして働く事となっていた。
そんな時、お弓の働く女郎屋に、奉行所の捕り方に追われた女盗賊・お艶(夏純子・二役)が逃げ込んでくる。自分に瓜二つのお弓を替え玉にして捕縛させ、お艶はお弓に成り代わってまんまと奉行所の追及を逃れる事となった。
このからくりを知り、幼馴染のお弓を助けたいという捨三が頼み人となって仕業人が動き出す…
というストーリーです。
ラストは、普段は個人主義でバラバラな仕業人が珍しく(?)見事な連携を見せてお弓を奉行所から救い出し、お艶とすり替えて元の鞘に戻して獄門送りにするという痛快なストーリーとなっています。まあ虎の子の蓄えをむしり取られてしまった捨三に関しては気の毒すぎて同情してしまうのですが…(涙)
というのがこの仕業人24話「あんた、この替玉をどう思う?」の簡潔ストーリーです。
仕業人24話は必殺シリーズ通算200回記念で豪華特別ゲストがカメオ出演!
必殺シリーズの前期作品は脚本陣とキャストが超豪華なうえ、今よりはるかにテレビの規制が緩かったこともあって非常に見ごたえのある素晴らしい作品に仕上がっていました。この仕業人24話もご多分に漏れず素晴らしい作品となっています。
が、この必殺仕業人「あんた、この替玉をどう思う?」が必殺シリーズの中でもレジェンド回に数えられるのは本作の本筋の面白さとは別な理由があります。
実はこの「必殺仕業人」の第24話というのは、1972年(昭和47年)9月2日に必殺シリーズ第1作である「必殺仕掛人」の第1話「仕掛けて仕損じなし」が放送されて以来、シリーズ通じて通算200回目の作品というメモリアル回だったのです。
そして200回のメモリアル記念回という事で、仕業人のレギュラーメンバー以外の、過去の必殺シリーズ作品でレギュラーを演じた超大物俳優さんたちがゲストとして次から次へとカメオ出演(その作品に関わりの深い人や大物がごく短時間だけ特別出演する)しているという事から、この必殺仕業人第24話「あんた、この替え玉をどう思う?」がレジェンド回として語り継がれているという事なのです。
まあ、カメオ出演という事なのでどの俳優さんも出番はほんの一瞬なのですが、それが逆にゴージャス感を感じさせてくれるんですよねえ。「え?あの人がこんなチョイ役で??」的な。
緒形拳や石坂浩二、田村高廣、沖雅也、中村玉緒に野川由美子、草笛光子らも…
それでは、このドラマでカメオ出演している大御所俳優さんたちをご紹介しましょう。ここから先はネタバレになりますので、これから見る方で、自力で誰がどこで出ているかを探したい方はご覧にならないでくださいね。なお、出演作品はこの必殺仕業人までの作品に限定しており、この作品以降のシリーズレギュラー作品は含まれていません。
出演俳優名 | 出演作品名 | 仕業人24話の役 |
---|---|---|
中村玉緒 | 必殺仕掛人 必殺仕置屋稼業 |
水をかけた女 |
沖雅也 | 必殺仕置人 必殺仕置屋稼業 |
シジミ売り |
草笛光子 | 必殺必中仕事屋稼業 | 犬を連れた女性 |
中谷一郎 | 助け人走る | おでん屋の主人 |
大塚吾郎 | 必殺必中仕事屋稼業 | 岡っ引きの源五郎 |
野川由美子 | 必殺仕掛人 必殺仕置人 助け人走る 暗闇仕留人 |
入牢の亭主と七人の子を持つ女 |
田村高廣 | 助け人走る | ほっかむりをした屑屋 |
緒形拳 | 必殺仕掛人 必殺必中仕事屋稼業 |
針医者 |
三島ゆり子 | 必殺仕置人 暗闇仕留人 |
入牢している女囚人 |
石坂浩二 | 暗闇仕留人 | 町医者 |
どうでしょう。豪華すぎるキャストですよね。ちなみに登場順にご紹介しています。
それぞれの出番はほんの一瞬。ですが、各人の登場シーンではそれぞれが過去に出演した作品のBGMが流れたりしますので、必殺ファンなら恐らくすぐピンと来るはずです。仕掛人から仕留人までレギュラー出演していた野川由美子さんが出ているのなら是非とも秋野太作さんにも出てほしかったなあというのが一番の感想でしょうか。でも助け人の文さん(田村高廣)と平さん(中谷一郎)が揃ったのは本当に嬉しいですね。
皆さん、名前のないチョイ役での出演の中、大塚吾郎さんだけは「必殺必中仕事屋稼業」でのオネエ口調の岡っ引き・源五郎役というのがまた粋ですね(笑)。
とにかく遊び心満載だった当時の必殺シリーズスタッフの意気な演出が光る、まさにレジェンド回だと思います。
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