数多くの個性あふれるキャラクターを生み、放送開始から40年以上を経た現在でも根強い人気を誇る長寿時代劇、必殺シリーズ。
必殺ファンであれば誰もが一度は考えるのが、果たして一番強い奴は誰なのか??という事ではないでしょうか。
ただ、数多い仕事人たちの中には、刀を使う人物、素手で倒す人物など様々なキャラがいます。ひとくくりに最強は語れないというのも必殺ファンならばよくご存じだと思います。
というわけで、ここでは急所突き系の仕事人たちの中の最強を、あくまで「独断と偏見」で選んでみた
急所突き系第3位 おばさん(翔べ!必殺うらごろし) 演:市原悦子
身体能力は必殺シリーズの仕事人中最弱レベルといっても過言ではないおばさんを3位に挙げます。
恐らく真正面からの戦いになれば誰にも勝てないでしょう。しかし、相手を油断させての不意打ちならば間違いなくおばさんは必殺歴代最強候補に名を連ねる事となります。個人的には標的を確実に仕留める事が必殺シリーズの中では最も強い人物という価値観ですので。
おばさんの相手の倒し方は至ってシンプルです。
普通の身なりをしたおばさんが世間話などで相手を油断させ、その隙に懐に忍び持った出刃包丁で急所をブスリ、というものです(笑)。
なーんだ、よえーしwww
などと言うなかれ。一度おばさんの仕事っぷりを見ればおばさんを最強候補に加える意味が必ずや分かってもらえると思います。それほどまでにおばさんは鬼気迫っています。
油断させる際の世間話の時のふつーのおばちゃんオーラと、相手を刺した後の鬼気迫る捨て台詞(決め台詞)のオーラの落差は恐ろしいです。ハッキリ言って軽いホラーと言ってもいいかもしれません(笑)。
おばさんの演技力と素の時のオーラを見てみれば、間違いなくどんな相手でも簡単に油断させてしまうでしょう。そうなればもうおばさんから逃れる術はありません。それが証拠に不意を突かれて刺された相手は一瞬何が起こったのかわからないような表情をします。
暗殺者としては非常に優れた長所であり、それは技術やフィジカルを補って余りある武器ともいえるでしょう。
見た事ない人は一回見てほしいです。おばさんの恐ろしさを体感してほしいです。個人的には全キャラクター中でも屈指の恐ろしさです。他のキャラクターたちとは基本的に恐ろしさのベクトルが違います。
本当に市原悦子さんは凄い女優ですよ。
急所突き系第2位 市松(必殺仕置屋稼業) 演:沖雅也
必殺シリーズの全キャラクター中で最もクールで最も美しく華麗なのがこの市松でしょう(あくまで個人的見解です笑)。
そして、十分に必殺歴代最強に名を連ねる資格のある仕置屋であると思います。
市松の職業は竹細工師であり、仕置の際の武器は竹串。竹串を相手の急所に突き刺して仕留めます。離れた相手に対しても、折り鶴に竹串を結び付け、飛ばして相手を仕留めたり、竹とんぼの要領で飛ばして相手の喉を狙うというような応用も見せている、かなりの実力者です。
最初に書いたように性格はあくまでクールでドライ。仲間である中村主水(藤田まこと)や印玄(新克利)、捨三(渡辺篤史)らとはあくまで裏稼業での付き合いという事で、必要以上になれ合う事もない孤高の存在です。主水たちとの仕事以外にも別口で裏稼業をしているという部分も市松の特異さを物語っていると言えるでしょう(最終回はこれが仇となるのですが・・)。
請け負った仕事であれば育ての親も手にかけるなど、そのプロ意識の高さはまさに孤高の仕事人というにふさわしく、この稼業をしていくに当たっての覚悟という点では間違いなく歴代最強ともいえるでしょう。とにかく仕事に私情は挟まない。まさにプロ中のプロ、それがこの市松です。この点においては中村主水や念仏の鉄に匹敵する暗殺者ですね。
それにしても、必殺シリーズでの沖雅也さんといえば、この市松と「必殺仕置人」の棺桶の錠が有名ですが、棺桶の錠が情に厚い熱血漢であるのに対して、市松は全く正反対のキャラクター。当時の沖雅也といえばまだ二十歳過ぎの若者です。それがこの二人をあそこまで演じ分けられるというのが凄いですよね。つくづく同年代の今の俳優にこんな芸当出来る人がいるのかと考えてしまいますね。
最後に個人的な市松のベストシーンを挙げておきましょう。
最終回の「一筆啓上 崩壊が見えた」のラストで旅に出たシーン。主水からもらった握り飯をぼおばって小判を見つけたシーンでの流し目での「ニヤリ」。
これはもう男でも惚れてまいますわ(笑)。
急所付き系第1位 藤枝梅安(必殺仕掛人) 演:緒形拳
記念すべき必殺シリーズの第1作「必殺仕掛人」に登場した藤枝梅安が個人的には第1位ですね。
藤枝梅安と言えば、必殺シリーズ以外でも映画・ドラマで何度も実写化された池波正太郎文学の人気キャラクターです。
梅安の表の顔は腕のいい針医者。しかし裏の顔は元締である音羽屋半右衛門(山村聡)に雇われた法で裁けぬ悪をさばく闇の仕掛人。
仕掛の際の道具は針治療に使うよりも大型の針。これでターゲットを確実に仕留めます。他の武器を使って仕掛ける事を嫌う超一流の仕掛人であり、性格も冷静沈着で、情に流されやすい相棒の西村左内(林与一)を嗜めることもしばしば。市松と並んでこの藤枝梅安も超一流のプロ意識を持つプロ中のプロなのです。
そのことは必殺仕掛人第23話の「おんな殺し」を見てもらえればお分かりいただけるはずです。幼い頃に生き別れとなった実の妹(加賀まりこ)を手にかけるその姿は得も言われぬ無常観に溢れていた一方で、真のプロフェッショナルであることも十分にご理解いただけることと思います。
梅安の凄いところは仕留めた相手に一切の痕跡を残さないところではないでしょうか。針医者としての技術と知識を駆使して自然死に見せてしまうという事です。ですから足はつきません。当然です。自然死なのですから。
これぞプロの仕事といってもいいでしょう。
まさに
仕掛けて仕損じなし!
ですな。
前期ハードボイルド路線と後期マイルド路線・・偏ってるけどお許しください(爆汗)
最初に断った通り、この記事はあくまで私個人の「独断と偏見」によるものです(苦笑)。
後期必殺シリーズのお好きな必殺ファンの中には、超有名人気キャラである「飾り職人の秀(三田村邦彦)」や「鍛冶屋の政(村上弘明)」が入っていないことに納得できない人もいるでしょう。
確かに彼らは強いです。身体能力は高いですし、技術も持ち合わせています。単に仕事の力量だけならば十分に最強クラスでしょう。
しかしここに挙げた三人(おばさん、市松、藤枝梅安)らと比べると、どうしても勝てそうな気がしないのです。
ハッキリ言えば「凄み」が足りないと言えばいいのでしょうか。実力ははるかに上かもしれませんが、裏稼業の人間としては致命的な「甘さ」が見え隠れしてしまうのです。「ひ弱」といってもいいかもしれません。覚悟やプロ意識が欠如してしまっているように思ってしまいます。
個人的にわたしが初期必殺シリーズのファンだからかもしれませんが、どうしても後期必殺の作風は甘ったるく感じてしまうんですよね。もちろんマイルド路線になったからこそ必殺シリーズの全盛期があったわけなんですけど(汗)。
やっぱり前期のキャラクターたちの方がプロって感じがしてしまいますね。
もう一回前期必殺のハードボイルド路線で作品作って欲しいんですけど、規制の厳しい現在のテレビ界を考えればもう無理なんでしょうかねえ(涙)。
必殺生みの親の山内久司さんもお亡くなりになってしまいましたしね・・(合掌)。
こちらの記事も良ければご覧ください。
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