1972年に必殺仕掛人で放送が開始されて以来、TVシリーズ全31作が制作され、数多くの映画、テレビスペシャルなどが作られているテレビ朝日系の人気時代劇「必殺シリーズ」。
今でも年に一作ペースでスペシャル版が制作されている長寿時代劇でもあります。
そんな必殺シリーズの醍醐味ともいえるのが、様々な技を持つ個性豊かな「仕事人(便宜上こう呼びますw)」たち。そんな仕事人たちの中で最強の暗殺者は誰なのか?技の系統別に独断と偏見で選んでみたいと思います。今回は刀や長匕首などの刀系を武器に使う仕事人たちです。
刀系部門第3位 山田朝右衛門(必殺仕事人・激突!) 演:滝田栄
必殺後期シリーズ屈指のハードボイルド路線を貫いた名作「必殺仕事人・激突!」。そこで中村主水らとともに仕事人として働いたのがこの山田朝右衛門です。
山田朝右衛門とは、江戸時代から明治初期にかけて、代々江戸幕府、明治政府下で試し斬り、死刑執行人として働いていた山田浅右衛門という実在の人物をモデルとした仕事人です。この必殺シリーズの中でも公儀御試御用首切りとして登場している、中村主水にも匹敵する剣の使い手なのです。
朝右衛門を演じる滝田栄さんといえば、実際に戸山流抜刀術の使い手としても有名な剣士であり、作中では真剣を用いた試し斬りを披露することでも有名です。まさに朝右衛門を演じるのにこれほどピッタリな役者さんがいるでしょうか。
その殺陣はまさに本物が持つ凄みで満ち溢れています。作中ではあの中村主水にうかつに手を出せないと言わせるほどの仕事人。恐らくは真正面からぶつかり合えば中村主水もただでは済まないでしょう。しかし暗殺者としての能力では第3位としておきます。
刀系部門第2位 中山文十郎(助け人走る) 演:田村高廣
必殺シリーズ第3作の「助け人走る」の主人公・中山文十郎を2位に推します。
この「助け人走る」という作品は、中村主水の出ていない必殺シリーズだったのですが、この「助け人走る」の第12話「同心大疑惑」ではゲストとして登場しています。そこで中山文十郎と抜き合うシーンがあるのですが、その場面は必殺ファンの間では語り草になっているほどの超名場面なのです。ワクワクするような殺陣シーンであり、まさにこの文十郎の強さを示す場面でもあるのです。
中山文十郎は表の顔は気のいい素浪人。酒好きで憎めない人物です。しかし裏の顔は清兵衛の元で殺しを請け負う助け人。その剣技はまさに必殺の暗殺剣。大刀を用いたものから小刀を使ったものまで、あらゆる剣技を駆使して仕事を全うします。
最終回の「解散大始末」では追手の捕り方と大立ち回りを演じるのですが、それを見ていると、この文十郎がひょっとして歴代最強なのでは??と思ってしまいます。あの大立ち回りは見た事のない人には是非とも見てほしいですね。あと第6話の「上意大悲恋」で峰うちで追ってから男女を助けるシーンも凄いです。この2つは必殺ファンとしては押さえておきたい名場面です。
とにかく田村高広さんの殺陣の見事さに引き込まれてしまいます。まあそりゃあそうでしょう。なんたってお父さんはあの「阪妻」こと昭和の剣技王と呼ばれた映画界の大スター・阪東妻三郎なのですから。
晩年はあまり殺陣を披露する場面がありませんでしたが、この助け人走るでは、華も実もある素晴らしい殺陣を見せてくれます。個人的には中村主水の殺陣を暗とすれば、この中山文十郎の殺陣は明といえるかもしれません。華があるという点ではこの中山文十郎に匹敵する剣士はいないでしょうね。
必殺シリーズの殺し屋たちの中でもその実力は文句なしで、中村主水と並んでツートップを組むべき存在だと思います。ただしその割には知名度低いのが個人的には納得できません(涙)。
あ、ちなみに人気漫画「まほろまてぃっく」の原作者・中山文十郎さんのペンネームはこの「助け人走る」の中山文十郎から取ったものです。素晴らしいセンスですよね。
刀系部門第1位 中村主水(必殺仕置人他多数) 演:藤田まこと
すみませんねえ、何の捻りもなしで(笑)。でもやっぱり中村主水ですよね、1位は。主水を1位から外せばそれはそれで文句が来るのはわかってますし(笑)。
しかし、やっぱり中村主水しか1位はあり得ません。必殺=中村主水ですしね。
必殺後期の中村主水と言えば、油断した隙をついて仕留めるというのが主流となりましたが、必殺シリーズの初期作品においてはかなり真正面から相手に挑んでいくという殺陣も見る事が出来ます。
特に必殺シリーズファンの間で伝説となっているのが、「新必殺仕置人」の最終回「解散無用」での仕置シーンではないでしょうか。これはもう必殺ファンならば「知らなきゃもぐり」と言われるほどに有名な名場面です。
仲間である念仏の鉄、巳代松をやられた恨みを晴らすべく単身悪の巣窟に乗り込む中村主水。そして巳代松を拷問で廃人にした悪徳役人である上司の師岡(清水紘治)を成敗するという場面。
「そう・・あんたの思った通りだよ、諸岡さん・・」
と言って自らが最後の仕置人であることを明かした後からの殺陣は、今でも全て再現できるほどに何十回も見ています(笑)。普段は一突きで決める主水が、対峙した諸岡に向かい、胴払いから後袈裟掛け、壁にもたれかかったところを正面からの袈裟掛け、最後は命乞いするように瀕死で歩み寄る諸岡にとどめの突き、そのまま刀を抜かずに師岡もろとも戸をぶっ壊してさらに辰蔵の配下の大人数を相手に立ち回りを演じます。もうこの場面を見ただけで後期中村主水しか知らない人には信じられないかもしれません。ですが、これがまあカッコいいのです。わたしは中村主水の数ある仕事・仕置の場面の中でもやはりこの場面が一番好きです。見た事のない人は絶対に見てみてくださいね。
この「新必殺仕置人」の次の「必殺商売人」では、数あるシリーズ中、最も中村主水の大立ち回りが見られます。普段は騙し打ち系が多い中村主水ですが、これらの仕事場面を見れば、中村主水がいかに凄い使い手であるかがお分かりいただけるのではないでしょうか。
裏の家業として仕留める暗殺系技術と、その裏に隠された恐るべき剣術。二つを恐ろしく高いレベルで両立させている中村主水こそ、刀を使った必殺シリーズの殺し屋の中でナンバーワンであると言えると思います。
本当に、「・・恐ろしい男だ・・」 By やいと屋又右衛門(必殺仕業人最終回よりw)
「必殺仕舞人」の直次郎はワイルドで泥臭い!若き本田博太郎の豪快な殺陣にも注目
実は必殺シリーズって案外剣術で真っ向勝負を挑むタイプというのはあまりいないんですよね。
惜しくも選外となった中では第一作「必殺仕掛人」の西村佐内(林与一)や「必殺仕事人」の前期の畷左門(伊吹吾郎/後に怪力系の仕事人にモデルチェンジして背骨畳み折り笑)辺りでしょうか。
特に必殺初期ファンの中には西村左内を入れないなんてにわか確定!!(怒)という声もあるのかもしれませんが・・まあ独断と偏見によるものなのでお許しください。
あ、最強列伝には入らないかもしれませんが、個人的に大好きだったのが「必殺仕舞人」シリーズの直次郎(本田博太郎)。ワイルドでダイナミックな直次郎は、華麗という仕事ぶりからはかけ離れたものかもしれませんが、何とも言えない爽快感と泥臭いカッコよさがありましたね。必殺シリーズがマイルド路線になる前の最後の古き良き男くさい名キャラといってもいいかもしれません。
長匕首で相手を一太刀で一刀両断するという豪快な殺陣は、中村主水や中山文十郎とは全く違った魅力に溢れたものでした。水中からザバーンと現れての仕事が個人的には大好きでしたね。ふんどし一丁で現れるんですけど(笑)。
まあ異論反論ありますでしょうが、お許しください(汗)。
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コメント
やはり3位は西村左内かな。浅右衛門はちょっと影がなさすぎる。