NHK大河ドラマ「武蔵MUSASHI」再放送・DVD等ソフト化無しの黒歴史作品?キャストや評価・感想

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1963年(昭和38年)から放送開始され手以来、50年以上、作品にして50作以上の歴史を誇るNHK大河ドラマ。

フィルムの残っていない昔の作品は別として、最近の作品は放送終了後に再放送されたりDVD化されるなどして楽しむことが出来るものがほとんどとなっています。ところが、21世紀以降の作品でDVD化も再放送もされておらず、NHKアーカイブスでの視聴も出来ないという作品が1作品だけあります。

その作品こそ、2003年に放送された第42作目の大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」です。

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漫画「バガボンド」で武蔵ブームの2003年(平成15年)放送の42作目大河ドラマ

まずは2003年(平成15年)の大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」の番組概要をご紹介しましょう。

ジャンル :歴史ドラマ
放送期間 :2003年1月5日~12月7日
放送時間 :毎週日曜日20:00~20:45
ドラマ枠 :大河ドラマ
放送回数 :全49話
制 作 局:日本放送協会(NHK)
音   楽:エンニオ・モリコーネ
原   作:吉川英治
脚   本:鎌田敏夫
主   演:七代目市川新之助(現:十一代目市川海老蔵)
主 人 公:宮本武蔵(みやもとむさし)
時   代:江戸時代初期
平均視聴率:16.7%

平均視聴率の16.7%というのは、このドラマが放送された2003年の時点では、歴代大河ドラマの中でも1994年「花の乱」、1968年「竜馬がゆく」に次ぐ歴代ワースト3位という低調な数字でした。歴代大河ワースト視聴率についてはこちらの記事をご参照ください。

[NHK大河ドラマ]歴代低視聴率ランキング

この「武蔵 MUSASHI」が放送された当時というのは、主人公の宮本武蔵がちょっとしたブームとなっていた時期でもあります。その理由が井上雄彦の漫画「バガボンド」の大ヒットです。宮本武蔵を主人公として描いたこの大人気漫画の影響によって、特に若い世代において宮本武蔵ブームが巻き起こっていました。

いってみれば、武蔵主人公のドラマを作るには最高の追い風を受けて始まったこのドラマ。しかしその追い風に乗る事無くドラマは終わりました。ハッキリ言って、バガボンドで武蔵を知った若者を意識した結果、従来の大河ドラマ視聴者層にはそっぽを向かれ、尚且つ肝心なバガボンドファンからの支持も得られなかった・・といった印象のドラマでしたね。

バガボンドで宮本武蔵ブームという追い風に乗れなかった大河ドラマの武蔵

断っておきますが、わたしがこのドラマを見たのは後にも先にも1度きりです。本放送の時、つまりリアルタイムで見た1回のみです。録画はしていませんでしたし、前述したとおりソフト化も再放送も一切行われていないからです。

というわけで、14年前の記憶をたどりながらというわけで若干の記憶違いがあるかもしれませんので先にお断りしておきます(爆汗)。

1度見たっきりで再視聴の機会がなく14年経った今、当時見た記憶を辿っていきついたわたしの個人的なこの作品への結論は、「期待外れ」といわざるを得ないものでした。バガボンドはわたしも最新刊の発売日には書店に買いに走る程のファンでしたし、1984年に役所広司さん主演でNHK新大型時代劇として1年間放送された「宮本武蔵」も毎週テレビにかじりつきながら見ていたほどにこの吉川英治の「宮本武蔵」は大好きでした。だからこそ見る前から異常なまでにハードルが上がっていたというのも原因としてあるかもしれません。

しかしそんなどうでもいい個人的事情を抜きにしてもやはり・・

残念ながらネットなどを見る限りでは大河ファン、時代劇ファンなどからの評価も芳しいとはいえないこの「武蔵 MUSASHI」。わたしもそんな世間の大方の評価に同調せざるを得ません。

蛇足だった巌流島以降のストーリー。柳生宗矩役の中井貴一がもったいない‥

文豪・吉川英治の原作が素晴らしい事は疑いの余地がありません。日本における宮本武蔵の映像化作品はほとんどがこの吉川英治の小説を原作としている事からもそれは明らかでしょう。

ではなぜNHK大河ドラマの「武蔵 MUSASHI」は期待外れだったのでしょうか。

やはり最大の原因は演出と脚本といわざるを得ません。

このドラマは原作にはない佐々木小次郎との巌流島の決闘の後の武蔵の人生を描いています。武蔵と小次郎の巌流島の戦いを描いたのが第38話。その後の39話から最終話となった49話までの2ヵ月以上の間はオリジナルストーリーとなっているのです。

このオリジナル部分が本当に退屈でした。ハッキリ言ってしまえば「蛇足」という表現がピッタリといいますか・・。小次郎亡き後は柳生宗矩がラスボス的ポジションになるのですが、武蔵とは関係のない大坂城の豊臣家のシーンがフィーチャーされたりして、かなり散漫な内容となっています。ハッキリ言って中井貴一(柳生宗矩役)の無駄使い感が凄かったです(涙)。

せめて物語のクライマックスとなる巌流島をガッツリやった後であればわかるのですが、巌流島での戦いは数分間ほどのもので、本当にあっさりとしたものだったので余計に巌流島後の蛇足感が凄いのかもしれません。やはり武蔵ものは巌流島で終わるのがベストなのだなあ・・と改めて思わせてくれた作品でしたね。

主人公の心境をナレーションに丸投げ‥市川海老蔵と松岡昌宏、外見は良いけど‥

さらに個人的に凄く気になったのが、やたらとナレーションに武蔵の心境や心情を語らせるという演出。

「武蔵は・・・・と思った」といったような語り(ナレーション)で武蔵のその時々の内面を説明する場面の何と多い事か。それがまあ耳障りというか・・そこをナレーション無しでいかに視聴者に伝えるかってのがドラマってもんとちゃうんかい!!と何度ツッコミを入れそうになった事か(苦笑)。

キャスティングに関しては、主人公の宮本武蔵を演じた市川新之助さんは当時まだ25歳。いかに歌舞伎界の貴公子といえどもやはりまだこの役を演じるには早かったという感もありましたね。表情や所作などところどころでは流石といった部分はあったのですが、武蔵の持つ奥深さや、荒くれ物の「武蔵(たけぞう)」から皆が知る剣豪「武蔵(むさし)」への成長過程のようなものは出せていなかったように感じます。一面的な部分のみ・・とでも言えばいいのでしょうか。まあこの辺りは個人的見解ですし、もう一度見ればまた違った印象を持つのかもしれませんが・・

さらにライバル役である、TOKIOの松岡昌宏さんが演じた佐々木小次郎にも物足りなさを感じました。

これは脚本・演出によるものが大きいのでしょうが、佐々木小次郎が「剣豪」というよりも「ちゃらい女たらしの色男」にしか見えなかったのです。この辺りは小次郎の女性関係を普通の作品よりも多く丹念に描いたのが完全な失敗となったと思いますね。「巌流・佐々木小次郎」としてのカリスマ性がほとんど感じられませんでした。もっと小次郎の剣の凄さやストイックさの方に焦点を当てるべきだったでしょう。

ともかく、武蔵も小次郎もビジュアル的にはかなり様になっていただけに、演出や脚本がもう少し良ければ‥とかなり残念に思いましたね。

お通役・米倉涼子の八頭身スタイルは時代劇に合わず、堤真一の又八はさすが

吉川英治の「宮本武蔵」というと、武蔵と小次郎の次に大切なキャラとなるのがお通。物語のヒロインとなる女性です。このお通を演じたのが、今や大女優といっても過言ではない視聴率女王・米倉涼子さん。

結論から言うと、代表作である「ドクターX~外科医・大門未知子~」をはじめとして、「強い女」「カッコイイ女」の代名詞ともいえる米倉さんにこのお通役は合わなかったという印象ですね。お通は健気に武蔵を想い続ける一途な女性。米倉さんのパブリックイメージとは真逆といってもいい役です。個人的には演技力云々というよりも、米倉さんのあの完璧すぎるスタイル、日本人離れした八頭身のプロポーションがすでに当時の日本人女性には見えなかったというのも大きかったと思いますね。

逆に、お通と同じく武蔵におけるキーパーソンの本位田又八を演じた堤真一さんははまり役といっていいほどでした。流石でしたね。この人がこのドラマの中で一番輝いていたといってもいいと思いますね。このドラマの主要キャストの中で唯一株を上げた俳優さんなのではないでしょうか。

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若手スターから中堅、ベテラン、大御所までの豪華キャストのDVD化や再放送は??

この「武蔵 MUSASHI」、ここまで紹介した主要キャスト以外も、とにかくこのまま歴史の闇に封印されるには惜しい豪華キャストなのです。主だった配役をご紹介しておきましょう。

宮本武蔵  :市川新之助
佐々木小次郎:松岡昌宏(TOKIO)
本位田又八 :堤真一
お通    :米倉涼子
お杉    :中村玉緒
沢庵宗彭  :渡瀬恒彦
新免無二斎 :ビートたけし
朱実    :内山理名
お甲    :かたせ梨乃
お篠    :宮沢りえ
八重・琴  :仲間由紀恵(二役)
城太郎   :三浦春馬
武蔵の幼少時:増田貴久(NEWS)
原田休雪  :遠藤憲一
柳生石舟斎 :藤田まこと
柳生宗矩  :中井貴一
柳生兵庫助 :高嶋政伸
おりん   :和久井映見
亜矢    :寺島しのぶ
吉野太夫  :小泉今日子
本阿弥光悦 :津川雅彦
吉岡清十郎 :榎木孝明
吉岡伝七郎 :光石研
祇園藤次  :阿部寛
夢想権之助 :大柴邦彦
宍戸梅軒  :吉田栄作
かつ    :水野美紀
淀殿    :若尾文子
大野治長  :近藤正臣
大野治房  :佐々木主浩
千姫    :橋本マナミ
真田幸村  :中村雅俊
徳川家康  :北村和夫
徳川秀忠  :中村獅童
本多正信  :西郷輝彦
細川忠興  :夏八木勲
児島備前  :宇津井健
池田輝政  :中村勘九郎
伊達政宗  :西村和彦
半瓦弥治兵衛:哀川翔
お菊    :広末涼子
大鳥追松  :寺島進
茂介    :中村梅雀
内山半兵衛 :西田敏行
あかねや絃三:江守徹

まあ凄いメンバーです。これだけのメンツは当然ながら大河ドラマ以外ではまず集まらないでしょう。若手・中堅・ベテラン、大御所までとにかく凄いとしか言いようがありません。西田敏行さんや中村梅雀さん、寺島進さんなど、中には1話ゲスト的扱いの大物俳優さんも何人か含まれています。贅沢なキャスティングですよね。

確かに演出や脚本に不満はありますが、何とかもう一度見てみたい作品なのです。もう一度全話通して見たうえで評価してみたいですね。14年前には見えなかったものが見えてくるのかも・・という淡い期待もありますし。違った景色というか、ね(苦笑)。

再放送やDVD、Blu-ray化といったソフト化に関しては色々と厄介な問題が立ちはだかっている作品なのかもしれませんが、何とか色々な壁を乗り越えてもう一度再放送なりソフト化するなりで日の目を見る事を切に祈りたいですね。

コメント

  1. 真田丸ファン より:

    えーー真田丸でいいよー

    新・新選組!

    -キャスト-
    近藤勇 – 堺雅人(主演)
    土方歳三 – 山本耕史
    沖田総司 – 神木隆之介
    斎藤一 – 佐藤健
    永倉新八 – 藤本隆宏
    藤堂平助 – 浅利陽介
    山南敬介 – 今井朋彦
    原田左之助 – 迫田孝也
    井上源三郎 – 小日向文世

    芹沢鴨 – 藤原竜也
    桂小五郎 – 内野聖陽
    高杉晋作 – 新納慎也
    坂本龍馬 – 佐藤浩市

  2. 放送当時、全話見ていた者です。
    オープニング曲が好きで、時々YouTubeで聴いていましたが
    最近は海外輸出版(?)の映像が全話アップされているのに気づき
    かなり見入ってしまいました。
    藤田まこと演じる石舟斎と武蔵の絡みがとてもよいですね。

  3. てっかんあたま より:

    もう一度見たいものとしては、16%の視聴者は、多分、味わいがある作品と思っているね。原作にない良いものがある。巌流島だけとか、小次郎や又八、あるいはその時の他の出演者を主役にした取り上げ方に共感をえたからだろう。16%もあったのだから。なお、わたしはえびぞうファンではない。竜馬伝は陳腐だがみたい人もいるのだろうし。西郷どんは退屈だが歴史事実を教えてくれているのだなあというもどころがあり、録画後にハイスピードでみているがドラマとしては演出も出演者もおおかたへたなので削除する。まあ、全ての大河ドラマの作品でよいところは、スタジオセットやね。それから脇役と端役の演技やね。こんかいの西郷では、奄美の風景と音楽がよかった。主役と主な役どころがど下手。
    この武蔵は、主役より、わきがうまかった。新之助よりも、米倉よりもわきと端役がが見どころ。なんでNHKは自分で作った作品に。NHKやら評論家やらの勝手な判断で再放送したたり、見れなくなったりするんか、さっぱり理解できんわ。
    しかし、あなたのようにこうして取り上げることはいいことです。。