戦後を代表する時代小説作家として数多くの名作を世に残した文豪・池波正太郎。その作品はテレビドラマや映画として多くの作品が映像化されています。
ここではそんな池波作品の中でも幾度となく映像化されている人気作、「雲霧仁左衛門(くもきりにざえもん)」の歴代映像化作品を全作ご紹介したいと思います。
1978年公開映画「雲霧仁左衛門」(松竹・俳優座)
制 作:松竹・俳優座
監 督:五社英雄
脚 本:池上金男
音 楽:菅野光亮
主 演:仲代達也
ナレーター:横森久・小沢栄太郎
劇場公開日:1978年(昭和53年)7月1日
記念すべき池波正太郎作「雲霧仁左衛門」の初映像化は松竹制作の劇場版でした。
この作品の最も特筆すべき点はやはりその豪華すぎるキャストでしょう。
主人公の雲霧を演じた仲代達也さん以外にも、八代目松本幸四郎・六代目市川染五郎(現:二代目松本白鴎)親子に岩下志麻、丹波哲郎、加藤剛、田中邦衛、松坂慶子、倍賞美津子…と主演級の超大物が顔を揃えます。贅沢かもしれませんが、このメンツで連続テレビシリーズを見てみたかったというのが本音ですね。やはり映画では尺が短すぎて原作の細部が表現しきれないのが残念です。それに、原作からはかなり改変してあるので、原作ファンには辛いかも…(特にラストとか)
でも単純に時代劇映画としては面白い作品に出来上がっていますので一見の価値はありかと個人的には思います。
1979年連続テレビ時代劇「雲霧仁左衛門」(関西テレビ・松竹)
放送期間 :1979年7月3日~9月25日
放送時間 :毎週火曜日22:00~22:54
放送回数 :全13話
放 送 局:フジテレビ系列
脚 本:宮川一郎
音 楽:田中正史
主 演:天知茂
ナレーター:横内正
制 作:関西テレビ、松竹
関テレ夜10時の時代劇枠で放送されていた「雲霧仁左衛門」が映像化作品2作目となります。「雲霧仁左衛門」初のテレビドラマ化作品でもあります。私事で恐縮なのですが、小学生の頃に両親と一緒に見ていたのをうっすらと覚えてますね。
関西テレビ制作の火曜夜10時時代劇枠といえば、田村正和さん主演の「眠狂四郎」や千葉真一さん主演の「柳生一族の陰謀」「影の軍団シリーズ」などが放映されていた、昭和を代表する時代劇枠でしたよね。
“ニヒル”の代名詞・天知茂さんと安部式部役の名優・田村高廣さんの対決には痺れました。
1987年傑作時代劇「雲霧仁左衛門」(テレビ朝日・東映)
放送日時 :1987年7月23日(江戸編)7月30日(名古屋編)
放送時間 :木曜日20:00~20:54
放送回数 :全2回(江戸編・名古屋編)
放 送 局:テレビ朝日系列
脚 本:安部徹郎(江戸編)野上龍雄(名古屋編)
音 楽:津島利章
主 演:松方弘樹
ナレーター:福田豊土
制 作:テレビ朝日、東映
1987年(昭和62年)の4月から9月までの約半年間、テレビ朝日系列の毎週木曜夜8時から週代わりで1話完結の1時間時代劇枠として放映されていた「傑作時代劇」。ここで2週連続で「江戸編」「名古屋編」に分けて放送されたのがこの松方弘樹さんがお頭の仁左衛門役で主演した「雲霧仁左衛門」でした。
江戸編では越後屋、名古屋編では松屋からの盗みを描いている本作ですが、準主役ともいえる安部式部や仁左衛門の兄である辻蔵之助、密偵のお京といったお馴染みのキャラクターが登場しない異色作といってもいいでしょう。まあこの作品の世界を表現するのに1時間+1時間では短すぎると言わざるを得ませんね。
コメント
時代劇専門チャンネルは時間がないこともあり、観たい(=保存版にしたい)番組しか視聴していませんでした。ましてや今まで全く未視聴の番組は尚更です。そんな中、番宣で山崎努さんの「雲霧仁左衛門」をみかけました。
恥ずかしながら原作の雲霧仁左衛門もあらすじも全く知識が無かったのですが、瞬間的に「これはメチャクチャ面白そう」と視聴しました。
いや〜面白かったです!どっぷりと物語の世界に浸ることが出来ました。
あまりに面白かったので他のシリーズも観てみましたが、やはり山崎さんのシリーズが最高傑作ですね!
おっしゃる通り、山崎さんを始め、皆さん神キャストですよねー‼︎
あと画面から伝わる空気感が江戸情緒豊かで、このあたりは鬼平と共通の質の高さを感じます。
そうなんですよね。本当に山崎努版雲霧は歴史的名作だと思います。当時のフジテレビの時代劇はクオリティが素晴らしく、特に池波正太郎作品は忠実にその世界観を再現して見せていましたよね。
この名作時代劇が低視聴率で最後まで放送できなかったというのは当時のスタッフのモチベーションを大いに下げたであろう事は容易に想像できます。これだけの作品を作っても…という気持ちだったでしょうね。時代劇ファンにとっても実に残念でもっと多くの方に見ていただきたい作品ですし、歴史に埋もれさせてはならない傑作だと思います。