生前に数多くの時代小説を残した、戦後・昭和を代表する時代小説作家・池波正太郎。
その人気時代小説の多くは映画化・ドラマ化されて多くのファンを獲得する事となったのですが、何度となくテレビドラマ化されている「剣客商売」(けんかくしょうばい)もそんな池波正太郎の数多ある代表作の一つです。
ここではこれまでにテレビドラマで主人公の秋山小兵衛・大五郎親子を演じた歴代俳優に加え、主要キャストである佐々木三冬やおはる、田沼意次、四谷の弥七、徳次郎、小川宗哲といった人気キャラの歴代キャストもご紹介していきたいと思います。
秋山小兵衛(あきやまこへえ)役歴代俳優
辻月丹を開祖とする剣術、無外流の宗家である辻平右衛門の弟子として教えを受けた老剣客であり、池波正太郎の人気時代小説「剣客商売」の主人公である秋山小兵衛(あきやまこへえ)。
道場主を退き隠居の身となってもなお剣で無双の強さを誇り、信望篤く正義感が強い、40歳以上も年下の妻と再婚までしてしまう洒脱で最高にカッコイイ“お爺ちゃん”、秋山小兵衛を演じたのは以下の俳優さんたちです。
作品名 | 秋山小兵衛役 | 俳優実年齢 |
---|---|---|
1973年版 | 山形勲 | 58歳 |
1982年SP版 | 二代目 中村又五郎 | 68歳 |
1998年版 | 藤田まこと | 65歳 |
2012年SP版 | 北大路欣也 | 69歳 |
※俳優の実年齢はドラマ第1話(第1シリーズ)放映時のもの
これまでに以上の4名の俳優さんが秋山小兵衛を演じているわけですが、ドラマの主人公であるだけあってどの方も重厚な大御所俳優さんばかりです(山形勲さんの1973年版だけは息子の秋山大治郎が主人公)。
特筆すべきは1982年のスペシャルドラマ版で小兵衛を演じた二代目中村又五郎さん。剣客商売の原作者である池波正太郎さんとは旧知の仲であり、生前池波氏は秋山小兵衛はこの中村又五郎さんをモデルとして描いたと述懐していらっしゃいます。小柄な体躯で小粋な雰囲気という部分など、又五郎さんがハマり役だったのも当然の話というわけですね。
秋山大治郎(あきやまだいじろう)役歴代俳優
小柄な体格だった父・小兵衛とは対照的に、大柄で筋骨隆々な見栄えのいい青年である秋山大治郎。言うまでもなく、この剣客商売におけるもう一人の主人公といっていい存在でもあります。
父も師事した辻平右衛門門下で父・小兵衛の弟弟子である嶋岡礼蔵に剣を教わり、諸国を回って剣術修行をした無外流の達人です。経験の浅い分、さらに生真面目すぎる分だけ父にはまだ劣るものの、秋山道場の道場主となり、剣士として成長するにしたがって江戸にその名を馳せる剣客へと育っていく人物です。そんな大治郎の歴代キャストは以下の通りです。
作品名 | 秋山大治郎役 | 俳優実年齢 |
---|---|---|
山形勲版 | 加藤剛 | 35歳 |
中村又五郎版 | 加藤剛 | 44歳 |
藤田まこと版 | 渡部篤郎※ 山口馬木也※ |
30歳 30歳 |
北大路欣也版 | 斎藤工 | 31歳 |
※俳優の実年齢はドラマ第1話(第1シリーズ)放映時のもの
※渡部篤郎は第1・2シリーズ、山口馬木也は第4シリーズ以降
記念すべき映像化作品の第1作目で大治郎役を演じた加藤剛さんは2作目のスペシャルドラマ版(中村又五郎版)でも同役を演じており、異なる作品で同じ役を演じた珍しい例となっています。なお、全5シリーズとスペシャルドラマが製作された藤田まことさん主演のフジテレビ版では途中で大治郎役が渡部篤郎さんから山口馬木也さんへと交代しています。
30歳前後で演じている俳優さんが多い中、1982年版で44歳にして大治郎役を演じた加藤剛さんはやはり凄いですね。そのお年であの爽やかさが嫌味なく出せるというのはやはり加藤さんならではですよね。
佐々木三冬(ささきみふゆ/秋山三冬)役歴代俳優
一刀流の名人である井関忠八郎に師事し、女性ながら道場では井関四天王の異名をとる剣の使い手でもある佐々木三冬。髪型や服装など男装の女流剣士は実は、時の江戸幕府老中・田沼意次を父に持つ娘(母は妾)であり、何かと娘を心配する父に反発する向こうっ気の強さも持ち合わせています。
後には秋山大治郎と結婚する佐々木三冬(結婚後は秋山三冬)を演じた女優さんをご紹介します。
作品名 | 秋山小兵衛役 | 俳優実年齢 |
---|---|---|
山形勲版 | 音無美紀子 | 24歳 |
中村又五郎版 | 新井春美 | 29歳 |
藤田まこと版 | 大路恵美※ 寺島しのぶ※ |
23歳 31歳 |
北大路欣也版 | 杏 | 26歳 |
※俳優の実年齢はドラマ第1話(第1シリーズ)放映時のもの
※大路恵美は第1~3シリーズ、寺島しのぶは第4シリーズ以降
以上の5名がこれまでに佐々木三冬を演じた女優さんです。藤田まこと版においては、大治郎役と同様に第4シリーズ以降はキャストが変更となっています。原作の年齢設定どおり、20代の若手女優が演じる事が多いのがわかります。
さて、皆さんはどの女優さんの男装が一番でしょうか。個人的には藤田さん版1~3シリーズの大路恵美さんです(苦笑)
おはる役歴代俳優
百姓の家の出で、隠居した小兵衛の家で奉公していたのが縁で、先妻に先立たれて男やもめだった41歳年上の小兵衛と再婚したおはる。
料理上手で舟漕ぎもこなすアクティブな、しかしちょっとばかり嫉妬深い大治郎より年下の大治郎の継母を演じた女優さんは以下の通り。
作品名 | 秋山小兵衛役 | 俳優実年齢 |
---|---|---|
山形勲版 | 梶三和子 | 25歳 |
中村又五郎版 | 星野浩美 | 不明 |
藤田まこと版 | 小林綾子 | 26歳 |
北大路欣也版 | 貫地谷しほり | 27歳 |
こちらも、三冬同様に20代中頃の若い女優さんが演じられています。中村又五郎版でおはるを演じた当時の新人女優、星野浩美さんだけは申し訳ありませんが年齢が分かりませんでした。このドラマの翌年に放映されたフジテレビの時代劇スペシャル「樅の木は残った」等にも出演していらっしゃったようですが、程なくして引退されたものと思われます。
「おしん」での主演によって一躍天才子役として国民的人気を得た小林綾子さんにとってこの作品でのおはる役は、おしん以降の代表作の一つといえるでしょう。本当にハマってましたよね。
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