1976年(昭和51年)に放送されたNHk大河ドラマの第14作目「風と雲と虹と」。加藤剛さん主演で平安時代の平将門を主人公としたこの大河ドラマは大きな人気を獲得し、放送から40年以上経った現在でも高い人気を誇る大河ドラマとなっています。
記事「風と雲と虹とは歴代最古の時代設定の大河ドラマ 加藤剛と緒形拳が平将門と藤原純友をW主役で演じる!」では主に主演の加藤剛さんやもう一人の主人公といってもいい藤原純友役の緒形拳さんの話をメインにお伝えしたのですが、ここではその他の登場人物や俳優・女優さんたちにテーマを絞ってみてみたいと思います。
美男美女大河と呼ばれた風と雲と虹と。軟弱なドラマだと思ったら大間違い
「風と雲と虹と」という大河ドラマは、日本を代表する正統派二枚目俳優の加藤剛さんが主演という事もあり、それだけで華やかな印象を受ける大河ドラマなのですが、このドラマが現在でも高い人気を誇るのは、加藤さん以外の出演者も非常に豪華である事です。
さらにただ豪華であるというだけではなく、出演者のルックスの偏差値が非常に高い事もまた揺るがしがたい事実であります(笑)。故に放送当時は「美男美女大河」と呼ばれていたといわれています(すみません、わたしはリアルタイムでその辺りは知らないので伝聞です汗)。
とまあこのような事実だけを見聞すると、中には「なあーんだ、少し前で言うところの“トレンディ大河”的な括りのやつってことね」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしこの大河ドラマがそんな薄っぺらい括りで語る事が出来る程しょーもない大河ドラマでない事はリアルタイムで見られた方や、全話DVDなどで視聴された方ならお分かりいただけるでしょう。
出演者の演技はどれも素晴らしく、役になりきっていてどのキャラも感情移入できるほど思い入れが強いです。脚本もひたすらハードで熱く、生ぬるさなどこれっぽっちもありません。とにかく40年以上経った今見ても素晴らしくて全く色あせない大河ドラマなのです。
吉永小百合が演じた衝撃的な汚れ役(?)貴子。無残な最期はあまりに衝撃的
とはいえ、出演者が美男美女揃いだったことは揺るがしがたい事実です(苦笑)。
そしてその象徴のような女優さんがあの吉永小百合さんです。そう、永遠のアイドルであり美女の象徴でもある大女優です。わたしの世代(40代)はリアルタイムでその凄さは知りませんが、我々よりも上の世代の吉永小百合という存在に対するリアクションの凄さから、間接的にその凄さを知る事は出来ます。
清純派というイメージの濃かった吉永小百合さんでしたが、この「風と雲と虹と」で演じた「貴子」という役はそんなイメージとは似ても似つかない程の役でした。ある意味では「汚れ役」といってもいいくらいに後半は落ちぶれて、最後はあまりに無残な最期を遂げる非業の女性です。
とにかく吉永小百合さんがこの貴子という役を演じたのは、特に小百合さんの熱狂的なファンである「サユリスト」にはかなりの衝撃だったそうです。それはそうかもしれません。この貴子という人物を少しご紹介しましょう。
元はれっきとした公家の出なのですが、京で落ちぶれていたところを主人公の将門と出会い恋に落ちます。しかし将門とはすれ違いが続き、そんな中で貴子は将門の従兄妹であるプレーボーイの平太郎貞盛(山口崇)に無理矢理手籠めにされて関係を持ち、それを機に貞盛とねんごろになってしまいます。その後は不幸が続いて遊女にまで身を落とす事になり、そこを何とか藤原純友によって助け出されたものの、今度は源扶(峰岸徹)に捕まり、結局その兵らの慰み者にされた挙句、命を奪われるという役こそが、貴子という女性なのです。
どうですか?かなり凄い役ですよね。ていうか、大河ドラマのヒロインとしては史上最強に不幸な女性といっていいかもしれません。そんな女性をあの吉永小百合さんが演じたのですからそれは衝撃的だったでしょう。
ちなみにこの時の吉永さんは31歳。見ていただければ一目瞭然ですが、その美しさは別格といってもいいものです。オーラが違います。一人だけ。こんな女優さん今じゃいないよなあ・・とため息が漏れるほどの気高き美しさです。それは世代ではないわたしでもわかります。それ程の存在でしたね。
男も惚れるほどイケメンでカッコいい若き日の草刈正雄
そして女性の代表格が吉永さんならば美男の代表格はこの男でしょう。ご存知、元祖男前・草刈正雄さんです。
草刈正雄さんが演じたのが、平将門と不思議な縁で結ばれた若者・鹿島玄明(かしまはるあき)。平将門が朝廷に反乱を起こすきっかけを作ったドラマ内での重要人物でもあります。
当時の草刈正雄さんは24歳。これ以降は昨年真田昌幸を演じた「真田丸」など計7作品に登場することとなるNHK大河ドラマですが、この「風と雲と虹と」が記念すべき草刈さんの大河デビューとなります。
とにかくため息が出る程カッコいいですね。それしか言葉が無いです。男の自分が見てもほれぼれするほどの美男子ぶり。そしてその爽やかでクールな二枚目っぷりは逆に、後年この爽やかな美男子が真田昌幸や本多正信、桂広澄や日野勝光といった一癖もふた癖もある食わせ物を演じる事となるそのギャップに驚く事にもなるでしょう。
モデルとして華麗にデビューを飾り、日米ハーフのその堀の深い精悍で爽やかと憂いをたたえたルックスとスタイルの良さで一躍人気者となり、その後は俳優に転身して個性派俳優、演技派俳優として大成功を収めた草刈正雄さん。そんな草刈さんの足取りを追ううえで、この「風と雲と虹と」での鹿島玄明役は絶対に書かす事の出来ない重要な役どころであると思いますね。
山口崇、真野響子、五十嵐淳子、多岐川裕美、星由里子‥美形揃いの脇役たち
その他のメインキャスト陣も美男美女揃いです。
まずは将門の宿命の敵ともいえる平太郎貞盛役には当時を代表する二枚目俳優の一人、山口崇さん。「クイズタイムショック」の司会などでもおなじみの元祖ハンサムガイ(死語すか?汗)です。
さらに主人公平将門が宿敵から略奪して妻とした良子役には真野響子さん。これがまた美しいのです。当時の真野さんは24歳。しかしすでにその演技は24歳のそれではなく、確かな実力を兼ね備えたフレッシュな美しさを画面いっぱいに放ってくれています。
物語りの重要なキーとなる源護の娘たち、小督(こごう)と詮子(せんこ)の姉妹も美人でしたね。小督は多岐川裕美さん、詮子は星由里子さんが演じてました。まさに小悪魔と呼ぶにふさわしい魔性の女役でした。
海賊の頭領の娘・千載役にはこの翌年に中村雅俊さんと結婚することになる理想のお嫁さん女優ナンバーワンの五十嵐淳子さんが出ていましたし、武蔵役の太地喜和子さんや傀儡のけら婆役の吉行和子さん、美濃の木の実ナナさんらも妖艶な魅力を放っていました。
本当に個性豊かな色男色女が揃っていましたね。目の保養にもなる大河ドラマなのは間違いありませんよね(笑)。
人気アイドル森昌子とまだ駆け出しの池波志乃も出ていた風と雲と虹と
主要キャストではありませんが、まだ17歳だった中三トリオの一人、森昌子さんも出演していました。その最期はある意味衝撃的でしたね。久々に登場したと思ったらあっという間に退場となってしまいました。この森昌子さんが演じた桔梗もそうですが、このドラマは女性がかなり無残な最期を遂げる場面が多いです。今の大河では絶対無理な描写だと思いますね。
さらに中尾彬さんの妻として現在バラエティなどでも活躍中の池波志乃さんも重要な役で出ていらっしゃいました。巫女として将門にお告げを告げる役で、将門の反乱を決定づけた役どころです。その鬼気迫る憑依シーンはさすが大女優といった感じでしたね。
この二人がこんなちょい役っぽい役で出ているのもこのドラマの凄さを逆に浮き立たせているのかもしれませんね。
太陽にほえろの山さん、露口茂が演じた俵藤太を始め大御所揃いの豪華キャスト
その他の俳優さんもまさに大御所・実力派揃いでしたね。
将門の父母役には小林桂樹さんと新珠三千代さんという超大物。将門の運命を大きく変える将門の叔父連中には佐野浅夫さん、長門勇さん、蟹江敬三さん、渡辺文雄さん。将門の宿敵の源護親子には西村晃さんと峰岸徹さん。
そして極め付きは、平将門の前に立ちはだかる俵藤太(たわらのとうた/藤原秀郷)。将門を討った英雄でもあるこの伝説の武人を演じたのが露口茂さん。
我々の世代では「太陽にほえろの山さん」としてあまりにも有名なあの露口茂さんです。
この露口さんの存在感も一際目立ってましたね。本当にすごい俳優さんばかりでした。今と比較するのは野暮ってもんなんでしょうけど、やっぱりこの時代の俳優さんたちは凄いなあといわざるを得ないほどの凄味というか懐の深さがありますね。
そんな部分を味わう意味でもやはりこのドラマはいい教材といえるかもしれません。
コメント
\「貴子という役…元はれっきとした公家の出なのですが」
とあるが、公家というより、「女王」の称号をもつれっきとした皇族。
当時は江戸時代と違って公家という感覚はない。武士もれっきとした朝廷の一員。農業経営を生業のひとつとしても、古い教科書にあるような農民ではない。士とは6位以下の官人をさす。
>元はれっきとした公家の出
やや誤りです。
貴子女王(ひめみこ)となっており、臣籍降下していないのでれっきとした皇族です。
父は兵部卿の宮で親王です。
当時は、皇族が増えすぎて、貴族より官位が低い者も多く、生活も大変だったようです。が、地方へ行けば、それなりに重宝され、婿養子の口もおおく武士の先祖となっていく。ドラマでもそんな人々がたくさんでてきます。