[NHK大河ドラマ]歌舞伎俳優が主人公の作品「山河燃ゆ」~「いだてん」まで梨園のスターが主人公に

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時代劇

1963年(昭和38年)に第1作目の「花の生涯」で幕を開けて以来、半世紀以上の歴史を誇るNHK大河ドラマ。

そんな大河ドラマでは幾多の名優が主演してきましたが、中でも歌舞伎界の世界からの主役抜擢も数多く行われ、多くの作品でその素晴らしい演技を目にすることが出来るのも大きな特色の一つと言えるでしょう。

そこでここでは、歴代の大河ドラマ主演俳優の中で歌舞伎界出身の俳優さんとそのドラマを作品順ご紹介していきたいと思います。この記事では「山河燃ゆ」以降の作品をご紹介します。それ以前の作品についてはこちらの記事をご覧ください。

[NHK大河ドラマ]歌舞伎俳優主演作品一覧➀

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第22作「山河燃ゆ(1984年)」主演:松本幸四郎(九代目)

作品データ
放送期間 :1984年1月8日~12月23日
放送回数 :全51話
音   楽:林光
原   作:山崎豊子
脚   本:市川森一・香取俊介
主   演:九代目 松本幸四郎
      西田敏行
主 人 公:天羽賢治・忠兄弟
時   代:昭和時代
最高視聴率:30.5%
平均視聴率:21.1%

主演俳優データ(松本幸四郎のみ)
名  前:九代目 松本幸四郎(まつもとこうしろう)
襲名歴 :二代目 松本金太郎
     六代目 市川染五郎
     九代目 松本幸四郎
     二代目 松本白鴎
本  名:藤間昭暁(ふじまてるあき)
生年月日:1942年(昭和17年)8月19日

1984年から始まった、近現代史大河ドラマ3部作の第1作目となったのがこの「山河燃ゆ」。主演は西田敏行さんと九代目松本幸四郎さんのW主演という形となりました。九代目 松本幸四郎さんというのは、この6年前に「黄金の日日」で主演した六代目 市川染五郎さんが1981年に襲名された名跡です。

半世紀以上に渡るNHK大河ドラマの歴史の中で、異なる大河ドラマにおいて複数回主演した俳優さんというのはごくわずかしかいらっしゃいません。中でも歌舞伎役者で2度も大河主人公を演じたのは後にも先にもこの九代目 松本幸四郎さんだけです。まさに偉業というべきでしょう。

番外編?新大型時代劇「武蔵坊弁慶(1986年)」主演:中村吉右衛門(二代目)

作品データ
放送期間 :1986年4月9日~12月3日
放送回数 :全32話
音   楽:芥川也寸志・毛利蔵人
原   作:富田常雄
脚   本:杉山義法・下川博・松島としあき
主   演:二代目 中村吉右衛門
主 人 公:武蔵坊弁慶
時   代:平安末期(源平争乱期)
最高視聴率:18.9%

主演俳優データ
名  前:二代目 中村吉右衛門(なかむらきちえもん)
襲名歴 :中村萬之助
     二代目 中村吉右衛門
本  名:波野辰次郎
生年月日:1944年(昭和19年)5月22日

1984年からの大河ドラマが近現代史となった関係上、従来の時代劇を渇望するファンのために水曜夜8時から新大型時代劇というドラマ枠が作られ、「宮本武蔵」「真田太平記」「武蔵坊弁慶」という新大型時代劇三部作が製作されました。この3作品がまあどれもこれも最高に素晴らしい作品なのですが、そのトリを飾ったのがこの「武蔵坊弁慶」。主人公の弁慶を演じたのがご存知、中村吉右衛門さんでした。「黄金の日日」「山河燃ゆ」で主演を務めた現:松本白鴎(二代目)さんの実弟です。

とにかくまあ素晴らしい武蔵坊弁慶でした。「安宅の関」と「衣川立往生」の回では大号泣させられました。ドラマの詳細は「武蔵坊弁慶」←このリンク先からどうぞ。

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第36作「毛利元就(1997年)」主演:中村橋之助(三代目)

作品データ
放送期間 :1997年1月5日~12月14日
放送回数 :全50話
音   楽:渡辺俊幸
原   作:永井路子
脚   本:内館牧子
主   演:三代目 中村橋之助
主 人 公:毛利元就
時   代:戦国時代
最高視聴率:28.5%
平均視聴率:23.4%

主演俳優データ
名  前:三代目 中村橋之助(なかむらはしのすけ)
襲名歴 :中村幸二
     三代目 中村橋之助
     八代目 中村芝翫
本  名:中村幸二
生年月日:1965年(昭和40年)8月31日

1984年「山河燃ゆ」以来、歌舞伎俳優さんが主人公を演じるのは実に13年振りという事となった「毛利元就」。主人公の毛利元就を演じたのが当時32歳だった三代目 中村橋之助さん。前年に放送された大河第35作目の「秀吉」の大ヒットを受けて制作された本作ですが、平成期の大河ドラマとしてはかなりの高視聴率を記録した作品となりました。

知謀の限りを尽くして中国地方の覇者にまで上り詰めた謀略王・元就としての面はもちろんのこと、妻や子想いの家庭的な一面、さらに年を取ってからのぼやき魔・元就まで毛利元就という人物の多彩な面をこれだけの若さで演じ分けた橋之助さんは素晴らしいとしかいいようがありません。どちらかというと影の薄い感もあるこのドラマ、未見の大河ファンの方には隠れた名作として是非おススメしたい1作ですね。

第38作「元禄繚乱(1999年)」主演:中村勘九郎(五代目)

作品データ
放送期間 :1999年1月10日~12月12日
放送回数 :全49話
音   楽:池辺晋一郎
原   作:舟橋聖一
脚   本:中島丈博
主   演:五代目 中村勘九郎
主 人 公:大石内蔵助
時   代:江戸時代(元禄年間)
最高視聴率:28.5%
平均視聴率:20.2%

主演俳優データ
名  前:五代目 中村勘九郎(なかむらかんくろう)
襲名歴 :四代目 中村梅之助
     十八代目 中村勘三郎
本  名:波野哲明(なみののりあき)
生年月日:1955年(昭和30年)5月30日
没年月日:2012年(平成24年)12月5日(満57歳没)

この「元禄繚乱」の2年前の大河ドラマ「毛利元就」で主演を務めた三代目中村橋之助(当時)さんの義兄(橋之助さんの姉・好江さんが勘九郎さんの妻)、五代目中村勘九郎さんが主演を務めたこの作品、勘九郎さんは幾多の名優がこれまで演じてきた大石内蔵助役を演じられました。

なお、このドラマで内蔵助の嫡男・大石主税を演じたのが勘九郎さんの二男である二代目中村七之助さんでした。そして実は勘九郎さん自身もこのドラマから遡る事24年、1975年の大河ドラマ「元禄太平記」では大石主税役で出演されています(内蔵助役は江守徹さん)。時空を超えた親子の運命的なキャスティング、まさに大河ドラマじゃないですか。

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第39作「葵 徳川三代(2000年)」主演:尾上辰之助(二代目)

作品データ
放送期間 :2000年1月9日~12月17日
放送回数 :全49話
音   楽:岩代太郎
原作・脚本:ジェームス三木
主   演:津川雅彦
      西田敏行
      尾上辰之助(二代目)
主 人 公:徳川家康・秀忠・家光
時   代:安土桃山~江戸初期
最高視聴率:22.6%
平均視聴率:18.5%

主演俳優データ(尾上辰之助のみ)
名  前:二代目 尾上辰之助(おのえたつのすけ)
襲名歴 :二代目 尾上左近
     二代目 尾上辰之助
     四代目 尾上松緑
本  名:藤間あらし
生年月日:1975年(昭和50年)2月5日

徳川幕府初代将軍の家康の天下取りから三代・家光の治世までを描いたこの「葵徳川三代」。津川雅彦さん、西田敏行さんという当代きっての名優とともにトリプル主演の一人、徳川家光役を演じたのが二代目尾上辰之助(現:四代目尾上松緑)さんです。当時は市川新之助(現:市川海老蔵)さん、尾上菊之助さんとともに「平成の三之助」と呼ばれて歌舞伎界のニューウェーブと脚光を浴びました。そしてこの「葵 徳川三代」には三之助のうち、辰之助さんの他に尾上菊之助さんも豊臣秀頼役で出演されています。

なお、辰之助さんの祖父は記念すべき大河ドラマの第1作目、「花の生涯」で主人公を務めた二代目 尾上松緑さん。37年後にその孫である二代目 尾上辰之助さんが再び主人公として大河ドラマの舞台へと戻ってきました。ミレニアム(2000年)に相応しいメモリアルなキャスティングといえますよね。

第42作「武蔵 MUSASHI(2003年)」主演:市川新之助(七代目)

作品データ
放送期間 :2003年1月5日~12月7日
放送回数 :全49話
音   楽:エンニオ・モリコーネ
原   作:吉川英治
脚   本:鎌田敏夫
主   演:七代目 市川新之助
主 人 公:宮本武蔵
時   代:江戸時代初期
最高視聴率:24.6%
平均視聴率:16.7%

主演俳優データ
名  前:七代目 市川新之助(いちかわしんのすけ)
襲名歴 :七代目 市川新之助
     十一代目 市川海老蔵
本  名:堀越寶世(ほりこしたかとし)
生年月日:1977年(昭和52年)12月6日

この「武蔵 MUSASHI」が製作された当時、世はちょっとした宮本武蔵ブームでした。その火付け役は人気漫画家・井上雄彦の描いた「バガボンド」。宮本武蔵を描いたこの大ヒット漫画に続けという事かどうかはわかりませんが、大河ドラマでも武蔵を主人公としたこのドラマが放映される事となりました。

主人公に抜擢されたのが、七代目市川新之助(現:十一代目市川海老蔵)さん。野性的なルックスと舞台仕込みの演技力は、まさに野生児・宮本武蔵にピッタリでしたね。

完全版はおろか、総集編さえも一切のソフト化がされていない幻の作品と化しているこの「武蔵 MUSASHI」。もう一度しっかりと見てみたいと思うのはわたしだけではないはずです。なんとかなりませんかね、NHKさん…

第58作「いだてん~東京オリムピック噺~(2019年予定)」主演:中村勘九郎(六代目)

作品データ
放送期間 :2000年1月~(予定)
放送回数 :全47話(予定)
音   楽:大友良英
脚   本:宮藤官九郎
主   演:阿部サダヲ
      中村勘九郎(六代目)
主 人 公:金栗四三・田畑政治
時   代:大正時代~昭和時代

主演俳優データ(中村勘九郎のみ)
名  前:六代目 中村勘九郎(なかむらかんくろう)
襲名歴 :二代目 中村勘太郎
     六代目 中村勘九郎
本  名:波野雅行(なみのまさゆき)
生年月日:1981年(昭和56年)10月31日

2019年大河ドラマに予定されているのは、2020年の東京オリンピックイヤー前年という事で、1964年の東京オリンピックを描いた近現代史大河ドラマの「いだてん~東京オリムピック噺~」。脚本を担当するのが、「あまちゃん」で世間に一大ブームを巻き起こした鬼才・宮藤官九郎。まさに待望の大河初登場となります。

そしてそんな大河ドラマで阿部サダヲさんとともにダブル主演に抜擢されたのが、六代目 中村勘九郎さん。父の十一代目 中村勘三郎さんに続き、親子二代にわたる大河主演となりました。

勘九郎さんが演じるのが、「マラソンの父」と呼ばれた日本人初のオリンピック選手、金栗四三(かなくりしそう)。クドカン×勘九郎でどんな化学反応を起こしてくれるのか…楽しみでなりません。

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