「水戸黄門」や「大岡越前」、「必殺シリーズ」など数多くの名作を生んできた日本のテレビ時代劇。そんなテレビ時代劇の大人気作品の一つが、1978年(昭和53年)から2002年(平成14年)まで連続ドラマとして親しまれた「暴れん坊将軍」です。
松平健さん演じる徳川吉宗はもちろんのこと、彼を影ながら支える「御庭番衆」や、吉宗の市井での仮の姿である徳田新之助を愛する「め組」の人々など、長いシリーズ化の中で多くの名キャラクターたちが生まれていきました。
ここではそんな「暴れん坊将軍」の中の人気登場人物である、御側御用取次役(おそばごようとりつぎやく/愛称:じい)と大岡忠相(おおおかただすけ/大岡越前とも)を演じられた俳優さんたちを振り返ってみたいと思います。
有島一郎、船越英二、高島忠夫、名古屋章‥名優の御側御用取次役(おそばごようとりつぎやく)
まずは江戸城で将軍徳川吉宗に仕える歴代御側御用取次役を演じた俳優さんから参りましょう。御側御用取次役などと書いたら何やら難しいですが、早い話が、吉宗に口うるさい「爺(じい)」の事です。「じい」といえば暴れん坊将軍ファンだったら一発で分かってもらえますよね(笑)。
以下が暴れん坊将軍の“歴代じい”の面々です。
役名 | 俳優名 | 登場シリーズ |
---|---|---|
加納五郎左衛門 | 有島一郎(ありしまいちろう) | 吉宗評判記(1シリーズ)~2シリーズ |
田野倉孫兵衛 | 船越英二(ふなこしえいじ) | 3シリーズ~7シリーズ |
宍戸官兵衛 | 高島忠夫(たかしまただお) | 8シリーズ~9シリーズ |
有馬彦右衛門 | 名古屋章(なごやあきら) | 10シリーズ~12シリーズ |
以上が歴代の暴れん坊将軍のレギュラーシリーズで徳川吉宗に煙たがられていた爺の面々です(笑)。
ちなみに、レギュラーシリーズの合間に会ったスペシャル版、800回スペシャルと2003年の最終回スペシャルでは名古屋章さんが有馬彦右衛門を演じていらっしゃいました。
しかし見事なまでにベテランの実力派大物俳優さんが揃っていますね。
初代の加納五郎左衛門を演じられた有島一郎さんの演技でこの「じい」役は完全に方向性が定まりましたね。さすがは森繁久彌、三木のり平とともに名喜劇役者三羽烏と呼ばれた名優さんです。愛情あふれる小言で吉宗に疎まれるという「じい」のキャラクターを確立しましたね。
そしてそれを見事に踏襲していったのが、俳優・船越英一郎さんの父親の船越英二さん。わたしのような40代以上の世代には熱中時代の天城校長先生役があまりにも有名です。そして三代目爺を演じたのが、これまた高嶋政宏、政伸の高嶋兄弟の父親・高島忠夫さん。我々世代には「クイズ!ドレミファドン」の名司会、「イエーイ」でお馴染みでした。そして四代目が名古屋章さん。この方も名バイプレーヤーでしたね。ナレーションがすごく好きでしたし、「スクール・ウォーズ」など大映ドラマにもよく出演なさってらっしゃったので非常に身近な俳優さんでしたね。
皆さん素晴らしい「爺」っぷりでした。暴れん坊将軍の助演男優賞といっても過言ではありませんね。
2008のスペシャルドラマでは“オリジナル爺”が伊東四朗で復活!
前述した歴代御側御用取次役は第1シリーズからレギュラー放送最終の第12シリーズまでの爺でしたが、最終回スペシャル終了後に放送されたスペシャルドラマではまた別の大物俳優さんたちがこの「爺」役を演じられていますのでそちらもご紹介しておきましょう。
役名 | 俳優名 | 登場シリーズ |
---|---|---|
横川勘十郎 | 神山繁(こうやましげる) | 2004ドラマスペシャル |
加納五郎左衛門(二代目) | 伊東四朗(いとうしろう) | 2008ドラマスペシャル |
2003年に最終回スペシャルドラマで有終の美を迎えた暴れん坊将軍ですが、その後にも2004年と2008年、2本のスペシャルドラマが作られています。その時に爺を演じられたのが上記の俳優さんたちです。
2004年のスペシャル版で横川勘十郎を演じられたのが、先日お亡くなりになった名優・神山繁さん。コミカルな中にもどことない威厳を感じさせる爺でしたね。
そして2008スペシャルで初代を有島一郎さんが演じて以来の復活となった加納五郎左衛門の二代目を演じたのが、コメディアンであり名司会者であり、個性派俳優でもある伊東四朗さん。うん、今現役の俳優さんで爺役をするとしたらやっぱり伊東四朗さんはファーストチョイスですよね。さすがの配役ですね。
お亡くなりになられた俳優さん、そしてご存命の俳優さん、どの方の爺もそれぞれの味や個性があってよかったですよね。さすがは日本の演劇界を代表する実力派の方々ばかりという他はありません。
水戸黄門の格さん役の二人と、田村三兄弟の末弟が演じた大岡忠相(おおおかただすけ)
徳田新之助と名乗る風来坊が実は江戸幕府の八代将軍徳川吉宗であるという事実を知る「爺」に続いてもう一人、吉宗と知りつつサポートするレギュラーキャラクターをご紹介しましょう。
同時代の有名人、大岡忠相(おおおかただすけ)その人です。通称を「大岡越前(おおおかえちぜん)」ともいうこの名奉行は、加藤剛さんが主役として演じた「大岡越前」というドラマでもお馴染みですよね。その人物の事です。
徳川吉宗を陰日向で支え続ける忠臣・大岡忠相を「暴れん坊将軍」の中で演じてきた歴代俳優さんが以下の通りとなります。
役名 | 俳優名 | 登場シリーズ |
---|---|---|
大岡忠相(初代) | 横内正(よこうちただし) | 吉宗評判記(1シリーズ)~7シリーズ |
大岡忠相(二代目) | 田村亮(たむらりょう) | 8シリーズ~12シリーズ |
大岡忠相(三代目) | 大和田伸也(おおわだしんや) | 2008ドラマスペシャル |
以上のお三方がこれまでに暴れん坊将軍で名奉行・大岡忠相を演じてきた俳優さんたちです。うーん、爺に負けず劣らずこちらの面々も素晴らしい。演技派のベテラン実力派ばかりです。
レギュラーシリーズでは何といっても初代の横内正さんでしょう。1stシリーズから第7シリーズまでという、実に19年間という長きに渡って大岡忠相を演じられました。
横内さんの後任として第8シリーズから忠相役となったのが、田村三兄弟の末弟、二枚目俳優の田村亮さん。ロンブーの亮さんとは同姓同名ですのでお間違えなく(笑)。“バンツマ”こと昭和の映画スター・阪東妻三郎を父に、名優・田村高広、田村正和を兄に持つ、まさに演劇界のサラブレッドですね。
そして、連続ドラマ終了後の2008ドラマスペシャル版で大岡忠相を演じたのが、大和田伸也さん。最近ではバラエティ番組などでも活躍していらっしゃいますが、時代劇のキャリア豊富な実力派俳優さんです。
初代大岡忠相役の横内正さんと、三代目の大和田伸也さんといえば、何か思い浮かぶキャラクターがありませんか?
恐らく勘のいい方なら見た瞬間に気づかれたでしょう。
そう、お二人とも国民的な人気を誇ったTBS系列のテレビ時代劇、「水戸黄門」の格さん(渥美格之進)役を演じていらっしゃるのです。横内さんは初代格さんで大和田伸也さんが二代目格さんでした。こう見てみると、水戸黄門の格さんと暴れん坊将軍の大岡忠相は役柄的に親和性が高いのでしょうか(笑)。
なお、大岡越前こと大岡忠相を主人公とした作品におけるキャストについてはこちらをご覧ください。
テレビ時代劇「大岡越前」歴代キャスト一覧 大岡忠相を演じたのは?
BSで復活した水戸黄門と同じく、暴れん坊将軍もレギュラー再開を!
惜しまれつつも1時間ドラマとしてのレギュラーシリーズに終止符が打たれたのが2002年。そして翌2003年には最終回スペシャルが制作され、その後は2004年と2008年にスペシャルドラマがそれぞれ制作されたものの、その後は新作が作られていない「暴れん坊将軍」。
今や押しも押されもせぬ時代劇スターとなったマツケンこと松平健さんにとっては出世作となった作品なだけに思い入れも相当ですし、何より健さん自体が今の時代劇衰退に大きな危機感を持って、自ら時代劇復権を掲げて力を尽くしていらっしゃいます。
同じく惜しまれつつ2011年に42年間続いた歴史に終止符を打った「水戸黄門」がBS-TBSで2017年10月から復活します。この「暴れん坊将軍」もこれを機に復活の機運がこれまで以上に高まる事を期待しましょう。
暴れん坊将軍のその他の主要キャストについては以下の記事もご参照ください。
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