昭和仕事人後半のバラエティ路線から平成仕事人は硬派でハードな原点回帰へ
必殺シリーズ復活への提言の前に、わたしなりの「東山紀之版必殺仕事人」、というより「ジャニーズ版仕事人」について述べてみたいと思います。
ジャニーズ版と述べたのは、主演の東山紀之さんをはじめとして、現レギュラーの松岡昌宏さんに知念侑李さんと、必殺仕事人の歴代殺し屋はほとんどジャニーズ事務所所属のタレントさんで占められているからです。
まず、脚本や演出などの部分は原点回帰といいますか、昭和必殺シリーズ後期のバラエティ路線からハードボイルド路線に戻ってきていたと思いますね。
昭和の必殺仕事人後半のバラエティ路線…というよりおふざけ路線は初期必殺ファンからは本当に見ていてつらかったです。なんせ「主水、ワープロを打つ」「りつ、ハウスマヌカンになる」ですからね。時代劇だっつうの(呆)
そういった部分から考えれば、平成版仕事人の脚本や演出等は硬派路線に回帰しようという意気が十分に見られました。コンプライアンスなどで規制の強い中で十分に健闘していたと思いますね。
主人公は唯一無二の藤田まことのハマり役・中村主水的キャラからの脱却を
脚本や演出には十分に原点回帰への意欲が見られましたが、そのこだわりが悪い方に出てしまったのが主人公の人物設定ではないでしょうか。
東山紀之さん演じる渡辺小五郎は南町奉行所の同心で渡辺家の婿養子で嫁と姑との三人暮らしという設定。
これは南町同心で中村家の婿養子で姑・せんと嫁・りつとの三人暮らしという必殺シリーズの顔といってもいい人気キャラクターの中村主水と全く同じキャラ設定です。
中村主水は確かに必殺が生んだ最強の人気キャラクターですが、その二番煎じといってもいい人物を主人公に据える必要があったのか?中村主水的フォーマットにそこまで拘る必要があったのか?
初期からのファンから言わせてもらえば、中村主水は中村主水、あの役は藤田まことさん以外では成立しないキャラクターです。二枚目では決してない藤田さんの男としての独特の色気、表の顔と裏の顔のギャップのカッコよさや哀愁は今の俳優さんで出せる人は残念ながらいないでしょう。
過去の必殺シリーズは中村主水の出る作品ばかりではありません。記念すべき第1作となった「必殺仕掛人」をはじめ、「助け人走る」「必殺必中仕事屋稼業」「からくり人シリーズ」など、非中村主水シリーズににも素晴らしい作品は山ほどありました。
もしもキャスティングを一新して必殺シリーズを継続するのであれば、次は中村主水的キャラではなく新たな必殺の顔ともいえる新機軸のキャラクターを主人公に据えてみてはいかがでしょう。藤枝梅安や念仏の鉄、市松、秀、勇次など主水以外にも素晴らしい殺し屋は山ほどいたのですから…
初期必殺キャラにあってジャニーズ版イケメン仕事人にないものとは?
最初に「ジャニーズ版仕事人」と述べましたが、主演の東山紀之さん以外のレギュラーメンバー達、仕事人メンバーもほぼジャニーズ事務所のタレントさんで占められていた東山版必殺仕事人。
現時点でのレギュラーである経師屋の涼次(きょうじやのりょうじ/松岡昌宏)にリュウ(知念侑李)をはじめ、過去にもからくり屋の源太(大倉忠義)や仕立て屋の匳(れん/田中聖)といった面々が仕事人として登場していました。
しかし、必殺初期ファンの立場から言わせてもらえば、どの殺し屋もどうにも薄すぎなんです。アイドルですからもちろんルックスはいいのですがいかんせん軽い。アクがないのです。アクの強い個性的な殺し屋たち、享楽的な奴もいればストイックな奴もいる、でもどのキャラもどこか影がありました。金を貰って人を殺めるという仕事人としての業を背負っていたという哀愁や深さがオーラとしてどのキャラクターも出ていました。これこそがまさに色気なのです。ルックスの良し悪しではない男の色気。今の必殺に最も欠けているといっていいのがここではないでしょうか。そしてこここそが必殺のキモといってもいい部分なのだと思います。
今の俳優さんにもこういった色気やオーラを感じさせる若手・中堅俳優さんはたくさんいます。新たな必殺シリーズではいっそのことジャニーズ中心のキャストを一新してみてはと思うのですがいかがでしょう。
ジャニーズの俳優さんを一括りに否定するつもりはないですし、今の必殺仕事人はドラマとして見ればありだと個人的には思います。しかしどうしても「必殺」という冠が入るのには違和感を禁じ得ないのです。
時代劇衰退の原因・名悪役の不足…しかし無名俳優の中にも適材はいるはず
最後にもうひとつ、これも必殺に限った話ではなく時代劇全般に言える事なのですが…
憎たらしい悪役のプロフェッショナルがいない
個性派悪役の不足…これも時代劇衰退の大きな理由の一つでしょう。特に必殺はやられる方のキャラや演技力もいい作品を作るうえで非常に重要な要素です。
最近の必殺では本来悪役ではない大御所がラスボスを務める事が多いのですが、やはり必殺の悪役にはなり切れていないなぁというのが正直な感想です。
昔の必殺の悪役は本当に憎たらしかった。まさに「絶対悪」といった感じの悪党ばかりでした。殺されても仕方ない…というか、早くやっちまってくれと思うような悪の権化のようなキャラばかりでしたね。
そういった「時代劇の悪役」のプロの皆さんも今や高齢化で引退状態の方や亡くなられた方がほとんどであり、時代劇の衰退もあってそういった俳優さんは絶滅危惧種といった現況です。
しかし時代劇の復興に素晴らしい悪役は欠かせません。
というわけで、悪役には大御所ではなく無名の個性派実力派俳優さんをピックアップしてみてはどうでしょう。大御所だとどうしても「絶対悪」は演じさせられないでしょう。制作側にもどうしても忖度が働いてしまう事は想像に難くありません。
実力はあるけどまだ世に出ていない名悪役になれる可能性のある人材を育てる…時代劇復興のために制作サイドにもそんな気概が欲しいですよね。
必殺シリーズ復活への提言(初期ファンの戯言?)まとめ
というわけでまとめます。必殺シリーズ復活への提言…というより初期必殺ファンの戯言と思っていただいて結構です(苦笑)
・キャストを一新する
・主人公は中村主水的キャラから離れる
・悪役には思い切って無名の実力派を抜擢
これでダメなら諦めますんでどうか一つヨロシクお願いします、テレ朝さん。
あと、あくまで個人的見解ですので意見の偏りはご容赦くださいね。
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