「必殺シリーズ歴代殉職メンバー一覧①」では、必殺シリーズ初の殉職者となった「助け人走る」から、「暗闇仕留人」、「必殺必中仕事屋稼業」、「必殺仕置屋稼業」、「必殺仕業人」までの各シリーズの殉職メンバーをご紹介しました。
この記事ではその続き、「必殺からくり人」で散ったメンバーからご紹介していきましょう。
夢屋時次郎(緒形拳) 必殺からくり人第12話「鳩に豆鉄砲をどうぞ」(1976年)
全13話という短期間の放送ながら、その壮絶なからくり人たちの戦いぶりに今でも多くのファンからの根強い人気を誇る「必殺からくり人」。
過去に藤枝梅安(必殺仕掛人)や知らぬ顔の半兵衛(必殺必中仕事屋稼業)で必殺シリーズに主演した緒形拳さんが初めて脇に回って演じた夢屋時次郎でしたが、緒形さん初の必殺シリーズでの殉職キャラとなりました。
たった一人で幕末に実在した幕府の要人、鳥居耀蔵の狙撃での暗殺を仕掛けたものの、鳩による偶然の不運で失敗。全てを悟ったかのように「花いちもんめ」を口ずさみながら爆薬を自身に振りかけて跡形もなく自爆した最期は必殺史に残る壮絶且つ悲壮なものです。
八尺の藤兵ヱ(芦屋雁之助) 必殺からくり人第13話(最終回)「終りに殺陣をどうぞ」(1976年)
関西を代表する大物喜劇人、芦屋雁之助さんも必殺シリーズではお馴染みの俳優さんですね。
からくり人で芦屋さんが演じた藤兵ヱは、基本的には怪力を生かして素手で相手を仕留める素手・怪力系の殺し屋です。
最終回では自身が船頭を務める花乃屋の屋形船を仇吉(山田五十鈴)に届ける途中で曇り一家の襲撃を受け、銃や匕首で致命傷を負わされながらも船を仇吉に送り届け、その後絶命しました。必殺史に残る壮絶なからくり人最終回は藤兵ヱの死で幕を開けたといってもいいかもしれません。
ちなみに、同じく花乃屋一家の青年、八寸のへろ松(間寛平)の父親がこの藤兵ヱです。関西の新旧喜劇界の大物同士の親子役ですね。
仕掛けの天平(森田健作) 必殺からくり人第13話(最終回)「終りに殺陣をどうぞ」(1976年)
当時は青春スターとして絶大な人気を誇った、今や千葉県知事の森田健作さんもからくり人最終回で壮絶な殉職を遂げた一人です。
花火師である天平の殺し業は、小型花火を相手の口の中に放り込み、体内で爆発させるというある意味恐ろしいものです(笑)。
天平は最終回で曇り一味に自宅を襲撃され、火薬が引火して爆発を起こしたその影響で失明してしまいます。しかしそんな状態で天平は一人で曇りのアジトに殴り込みをかけ、自爆して果てます。天平とへろ松(間寛平)のやり取りがまた何とも・・ねえ・・、いいんです。
壮絶な爆死を遂げた天平ですが、その後に放送されたスペシャルドラマ「必殺シリーズ10周年記念スペシャル 仕事人大集合」では何事もなかったかのように元締め虎(藤村富美男)の配下として登場し、再度爆死したのはご愛敬という事で(ちなみに虎も二度目の死亡です笑)。
花乃屋仇吉(山田五十鈴) 必殺からくり人第13話(最終回)「終りに殺陣をどうぞ」(1976年)
山田五十鈴さんといえば多くの必殺ファンの方は後の「必殺仕事人シリーズ」での三味線屋おりくのイメージが強いかもしれませんが、わたし的には「必殺からくり人」での仇吉役が最も印象が強いですね。
前述したように、必殺からくり人最終回では藤兵ヱ、天平という花乃屋メンバーが曇り一味との抗争で命を落としますが、主人公の花乃屋仇吉も殉職するのです。仇吉の殉職により、からくり人はサポート役のへろ松(間寛平)、とんぼ(ジュディ・オング)以外の実行部隊である仇吉、藤兵ヱ、天平、時次郎全員が殉職するという壮絶なシリーズとなりました。
天平が爆死した後の曇り一味のアジトで曇りの銃弾を浴びながらも最期は三味線のバチを曇りに投げつけて相討ちとなった仇吉。
その後に嵐の中船で島抜けをする若き日の仇吉と時次郎、藤兵ヱ、そしてまだ子どものへろ松に天平にとんぼ・・いやあ、その展開は反則でしょーよ(号泣)
直次郎(浜畑賢吉) 必殺からくり人・血風編第11話(最終回)「夜明けに散った紅い命」(1977年)
蹴りや足指を使っての挟み技など、足技を駆使して悪を葬る直次郎(浜畑賢吉)は、必殺からくり人・血風編の最終回で殉職したからくり人です。
この必殺からくり人・血風編の目玉はやはりなんといっても土左ヱ門役の山崎努さんでしょう。必殺シリーズ屈指の人気キャラ、念仏の鉄以来の必殺シリーズ主役での登場という事で注目を集めたこのドラマ、幕末を舞台としたその中で直次郎は同じからくり人仲間であり友でもある土左ヱ門と仲違いしたまま商売仲間に裏切られて町方と大捕物の末に致命傷を負い、なんとか辿り着いた自宅でからくり人の元締めであり、直次郎が密かに想いを寄せていたおりく(草笛光子)に手紙を書き残して絶命しました。
その直次郎の亡骸を見つけたのが土左ヱ門。喧嘩したまま、和解する事のないままの永遠の別れ。考えただけで辛く切ない今生の別れに対して土左ヱ門は直次郎が憧れたおりくの着物に直次郎を包んで海へと葬り、新之介(ピーター)とともに直次郎の仇をとって何処へと去っていきました。
ちなみに、必殺仕舞人、新必殺仕舞人で同名の直次郎(本田博太郎)という殺し屋がいますが、全くの別人物です。
念仏の鉄(山崎努) 新・必殺仕置人第41話(最終話)「解散無用」(1977年)
出ました、初期必殺ファンの多くが最高傑作回に選ぶであろう新仕置人最終回の「解散無用」。とにかく壮絶、切ない、そしてカッコいい最終回でした。鉄も巳代松(中村嘉葎雄)も正八(火野正平)もおてい(中尾ミエ)、そして中村主水(藤田まこと)もみんな素晴らしかったですね。
まあこの「解散無用」での念仏の鉄の最期についてはリンク先に詳しい記述がありますのでそちらをご参照ください。とにかく徹頭徹尾、女好きの念仏の鉄らしい最後でした。鉄と松をやられたと知った主水の怒りの諸岡斬り(笑)も必見です。松のトラウマになる程の変わりようは怖くなってしまう程です。
とにかく見てない人は今すぐ見ましょう。この「解散無用」こそ必殺シリーズのレジェンド回です。
この続き、「新必殺からくり人」以降のシリーズ殉職者については以下の記事でご覧ください。
必殺劇場版(映画)での殉職者についてはこちらの記事で。
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