過去に6作品が製作されているNHK大河ドラマにおける、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけた源平争乱時代の作品。
様々な名優が熱演を見せてきたこの源平時代の大河ドラマ(準大河に分類される新大型時代劇も含む)における平氏や奥州藤原氏、後白河院ら朝廷勢力方等のキャストをここではご紹介していきたいと思います。
1966年放送第4作「源義経」(みなもとのよしつね)
平清盛 :辰巳柳太郎
平宗盛 :東千代之介
平知盛 :五代目中村富十郎
富樫泰家 :大友柳太朗
丹後局 :原泉
後白河法皇:十七代目中村勘三郎
藤原秀衡 :滝沢修
何と凄い面々でしょう。もちろんわたしのようなひよっこにはこの大俳優の皆さんの全盛期のご活躍など知る由もないのですが、そんなわたしでも名前はよく知っている程の超大物の方ばかりです。
主人公サイドとなる源氏方の義経主従は、2005年にタッキー(滝沢秀明)に破られるまでの大河最年少主演記録を持っていた尾上菊之助さんを初め、武蔵坊弁慶役の緒形拳さんなどの若手実力派を揃えていましたが、義経たちを取り巻く手管手練の猛者たちは大御所俳優さんで固めています。
まさにフレッシュな若手の演技と熟練のベテランの老獪な演技、双方が存分に楽しめる贅沢なドラマというわけですね。
1972年放送第10作「新・平家物語」(しんへいけものがたり)
平清盛 :内田喜郎→仲代達也
平時子 :中村珠緒
平忠盛 :十七代目中村勘三郎
平宗盛 :勝呂誉
平知盛 :松山政路
平時忠 :中村梅雀→山崎努
平敦盛 :十八代目中村勘三郎
信西入道 :小沢栄太郎
後白河法皇:滝沢修(白河法皇との二役)
崇徳天皇 :田村正和
藤原秀衡 :加藤嘉
いやはや、これまた大物揃いです。やっぱりこの時期の大河ドラマって凄いなとキャスト見るだけで思いますね。
平氏の棟梁として太政大臣にまで昇りつめた平清盛主役という事で、平家は本当に豪華です。中でも山崎努さんや田村正和さんという超大物コンビはこの作品以来、40年以上も大河ドラマへの出演がありません。現時点でこのドラマが最後の大河作品となっています。
中村勘三郎さんは十七代目と十八代目での親子共演となっています。六代目中村勘九郎さんと二代目中村七之助さん兄弟の祖父と父にあたる歌舞伎役者さんですね。
1979年放送第17作「草燃える」(くさもえる)
平清盛 :金子信雄
平宗盛 :西田健
平知盛 :神太郎
後鳥羽上皇:初代尾上辰之助
丹後局 :草笛光子
後白河法皇:二代目尾上松緑
源氏の棟梁で鎌倉幕府初代将軍の源頼朝とその妻で“尼将軍”と呼ばれた北条政子が主人公のため、平家一門との戦いは20話程で幕を閉じ、その後は鎌倉幕府成立に至る苦難、さらには頼朝死後の承久の乱まで描かれるため、源氏以外の面々も多岐にわたるこの「草燃える」。
中でも、後鳥羽上皇と鎌倉との戦いを描いた承久の乱の描写があるのはこのドラマだけというレアさを誇ります。その後鳥羽上皇を演じられたのが、初代尾上辰之助さん。1987年(昭和62年)に40歳の若さで急逝された人気歌舞伎役者さんですね。個人的には、大橋巨泉さん司会の「世界まるごとHOWマッチ」で見せる、二枚目なのにギャグセンス抜群なキャラクターが今でもハッキリと残っています。このドラマを見ても分かりますが、俳優さんとして非常に惜しい存在を亡くしたと思いますね。ちなみに、後白河法皇役の二代目尾上松緑さんとは親子共演となっています。
1993~1994年放送第32作「炎立つ」(ほむらたつ)第三部“黄金楽土(おうごんらくど)”
平宗盛 :斧アツシ
丹後局 :木村翠
後白河法皇:中尾彬
藤原秀衡 :渡瀬恒彦
藤原国衡 :三浦浩一
藤原忠衡 :角田英介
藤原泰衡 :渡辺謙
三部作のうち、源平争乱期を描いたのが、奥州藤原氏の四代目・藤原泰衡を主人公とした第三部「黄金楽土」。ここには源頼朝や義経、武蔵坊弁慶などお馴染みの人気キャラが登場します。もちろん、奥州藤原氏の四代記ですので、藤原氏にゆかりのある人物も多く出て来ます。
ただし、源平の戦いについてはほとんど描かれず、中心となるのは平家滅亡後の頼朝と義経の対立、それに連なる奥州征伐という事となるため、平清盛等は登場しません。
平家贔屓のファンにとっては少し物足りないドラマといえるかもしれませんね。
2005年放送第44作「義経」(よしつね)
平清盛 :渡哲也
平時子 :松坂慶子
平重盛 :勝村政信
平宗盛 :鶴見辰吾
平知盛 :阿部寛
富樫泰家 :石橋蓮司
後白河法皇:平幹二郎
丹後局 :夏木マリ
藤原秀衡 :高橋英樹
重厚ですね。渡哲也さんに平幹二郎さん、高橋英樹さん、松坂慶子さんと過去の大河主演経験者がズラリと名を連ねています。大河主演の大御所以外にも草刈正雄さん、石橋蓮司さん、阿部寛さん、勝村政信さんら個性派実力派が目白押しですね。
個人的には平家随一の猛将として清盛亡き後も奮戦した平知盛(たいらのとももり)を演じた阿部ちゃんこと阿部寛さんが最も印象深いですね。このドラマを見て知盛ファンとなった人は多いのではないでしょうか。歴代屈指のカッコよさを誇る阿部知盛は必見です。
2012年放送第51作「平清盛」(たいらのきよもり)
平清盛 :前田旺志郎→松山ケンイチ
平時子 :深田恭子
平忠盛 :中井貴一
平重盛 :窪田正孝
平時忠 :森田剛
平盛国 :上川隆也
信西 :阿部サダヲ
藤原頼長 :山本耕史
後白河法皇:松田翔太
崇徳上皇 :井浦新
鳥羽法皇 :三上博史
白河法皇 :伊東四朗
主演の松山ケンイチをはじめとして、山本耕史や井浦新、窪田正孝、松田翔太等、若手実力派を揃えて臨んだ大河ドラマ「平清盛」。伊東四朗さんや三上博史さん、上川隆也さん、阿部サダヲさんら中堅・ベテランの実力派とともにこのドラマを名作と呼ぶにふさわしいドラマに仕上げています。
脚本、演出、俳優、音楽とどれも素晴らしい出来を誇る本作ですが、敢えて一つだけ個人的に残念だったのが、主人公筋であるはずの平家一門、特に清盛の下の世代の存在感が希薄だったところでしょうか。長男・重盛役の窪田正孝さんの鬼気迫る熱演に全て持っていかれた感もありますが、それ以外の息子たちはイマイチ個々のキャラが立っていなかった感が強いです。もう少し各人を丁寧に描いていればもっと素晴らしいドラマとなったのではと思いますね。
平清盛に関しては、以下の記事において詳しく語っていますので是非ご覧ください。
[平清盛]面白いが低評価な名作大河ドラマ 脚本・キャストやOP
2022年放送予定第61作「鎌倉殿の13人」
平清盛 :松平健
平宗盛 :小泉孝太郎
平知盛 :未発表
後鳥羽上皇:未発表
丹後局 :未発表
後白河法皇:未発表
三谷幸喜氏による3作目の大河ドラマ作品となる「鎌倉殿の13人」。
鎌倉幕府二代執権となり、北条得宗体制を確立させた北条義時を含めた鎌倉幕府合議制の要となった御家人13人を描いた本作品においての平家は主に物語序盤で登場する事が予想されますね。
上記登場人物以外の追加キャストについては発表され次第追記していきたいと思います。
番外編:1986年放送新大型時代劇第3作「武蔵坊弁慶」(むさしぼうべんけい)
平清盛 :芦田伸介
平時子 :東恵美子
平宗盛 :長塚京三
平知盛 :隆大介
富樫家経 :児玉清
金売り吉次:寺尾聰
徳 :加藤茶
藤原泰衡 :津嘉山正種
藤原秀衡 :萬屋錦之介
芦田伸介さんにヨロキン(萬屋錦之介)、児玉清さん、寺尾聰さんにカトちゃんまで・・。バラエティに富んだ武蔵坊弁慶の平家、藤原氏、その他主要登場人物の方々ですね。
皆さん素晴らしいのですが、個人的にこの中では安宅の関の門番である富樫家経役の児玉清さんでしょう。鬼気迫る武蔵坊弁慶との勧進帳のやり取り。日本の時代劇史に残る名場面と言って差し支えないでしょう。さすが名優です。両者鳥肌が立つほどの名演です。
さらに平家の平知盛もまたカッコいい。隆大介さんはこういう役が本当に似合う俳優さんです。
ちなみに藤原泰衡役の津嘉山正種さんのセリフの声を聴いて、
「あ、この人クロスオーバーイレブンの人だ」(NHK-FMのラジオ番組で、津嘉山さんがパーソナリティを務めていました)
と一発でわかったというプチ自慢で〆ますね(笑)。
この「武蔵坊弁慶」の素晴らしさについては以下の記事で熱く熱く(笑)語っていますので、良かったらご覧下さい。
NHK新大型時代劇武蔵坊弁慶 よろきん、佐藤浩市、菅原文太、ジョニー大倉・・見事すぎるキャスト配役
NHK【武蔵坊弁慶】全話DVD発売記念!中村吉右衛門の「立往生」「安宅の関」「勧進帳」で号泣必至の名作時代劇
なお、大河ドラマにおける源平ドラマの歴代作品についてはこちらの記事を、
[NHK大河ドラマ]歴代源平内乱時代(平安末期~鎌倉初期)作品一覧 タッキーやマツケンら主演のあの作品も
源平争乱期大河ドラマの歴代源氏方キャストについてはこちらの記事をご覧ください。
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