テレビが危機を迎えているといわれて久しいですが、そんな状況の中でも毎クール毎クール、各テレビ局は新しい連続ドラマを何本も制作して放送しています。連ドラ以外のスペシャルドラマなども頻繁に放送されていますし、一見すると視聴者にはほとんど変わっていないようにも見えます。
そんな中、タレント・コメンテーターなどで活躍するアメリカ人、デーヴ・スペクター氏がツイッターで呟いた内容がちょっとした波紋を呼んでいます。
埼玉県出身説も囁かれる謎のアメリカ人、デーブ・スペクターとは
デーブの発言をご紹介する前に、簡単にデーヴ・スペクター氏のプロフィールをご紹介しておきましょう。
デーブ・スペクター氏はアメリカ合衆国のイリノイ州シカゴの出身。年齢は非公表であり、家族は日本人のコラムニスト・エッセイストの京子夫人との二人暮らしです。。
デーブ氏の肩書は多く、先にご紹介したタレント・コメンテーターとしての仕事とは別に、元々の本業であるテレビプロデューサーとしての顔、さらには放送作家などの肩書も持つ才人であります。
日本語は本物の日本人以上に堪能といえるほどであり、そのボキャブラリーの豊富さは、デーブ・スペクター埼玉県人説を本気で信じる人がいる程にネイティヴな日本人といえるほどです。
来日以来、何十年にもわたって日本のテレビ業界にかかわってきた、日本とアメリカのテレビ界の内部に誰よりも詳しい立場にあるデーブ・スペクター氏の発言だからこそ波紋を広げているといえるでしょう。
デーブ・スペクター氏のツイッターでの日本の芸能界とテレビ界に対する苦言とは?
デーヴ・スペクター氏の話題になっているツイートは以下のものです。
つかぬ事を言いますが、全てのテレビ局が全てのドラマを止めた方がいいと思います。進化してないし海外ドラマから何も学習してないし、
相変わらず視聴者を無視する芸能プロダクション先行で不適切なキャスティング。2年間の休憩してリセットする事を勝手ながら勧める。
オチがなくてすみません— デーブ・スペクター (@dave_spector) April 23, 2017
うーん、辛辣ですねえ。
このツイートはかなりの反響を呼んでおり、それはリツイート数が12000オーバーというこの数字を見てもよくわかりますよね。
っていうか、「全ての局が全てのドラマを止める」ってのはなかなか過激ですよね。まあそれくらいの荒療治をしなければならないほどの状態なんですよっていう、現状に対する危機感の裏返しという事なのでしょう。
全ての局の全てのドラマとなると、自分の大好きな大河ドラマも無くすべきという事ですし、1クールに数本はある、素晴らしいクオリティのドラマも無くせという事です。それはちょっともったいないと思うんですけど、それくらい根本的に作り直さないとダメだという事なんでしょうね。
フジテレビ月9の視聴率低迷に見る日本のテレビドラマの現状
デーブがツイッターで言及した日本のテレビドラマの現状といえば、最近では特にネットなどで毎クールのように視聴率が話題となっています。話題といっても、高視聴率で話題になるというような景気の良い話はほとんど無く、多くは低視聴率にあえぐ各ドラマの苦戦状況といった、ドラマ界を取り巻く厳しい惨状にまつわる話題が圧倒的に多いです。
特にここ数年メディアを賑わせているのが、これまで数多くの名作ドラマを生み出し、数々の高視聴率ドラマを送り出してきたフジテレビの名門枠である「月9ドラマ」の苦戦ぶりです。
ドラマの代名詞ともいわれたかつての栄光は見る影もなく、2014年4月~6月に放送された「極悪がんぼ」が月九歴代最低視聴率となる初の平均視聴率一桁9.9%を記録したのが大きく取り上げられましたが、その後2016年1月~3月放送の「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」では平均視聴率9.7%と最低記録を更新。以降は「ラヴソング」、「好きな人がいること」、「カインとアベル」、「突然ですが、明日結婚します」と、5期連続で平均視聴率が1桁台という大苦戦を強いられているのです。
民法連続テレビドラマのトップの象徴として君臨して数々の視聴率記録を誇っている月9でさえこの惨状なのですから、いかに現在のテレビドラマが苦境にあるかがお分かりいただけると思います。もちろん月9以外の他局の各枠のドラマも軒並み苦戦を強いられているのが現状です。
今のドラマは題材よりもキャスティングありき?バーター出演の横行も?
このような日本のテレビドラマについて、デーブ・スペクター氏は「相変わらず視聴者を無視する芸能プロダクション先行で不適切なキャスティング」と断罪しています。
この後のデーブ氏の発言がないので、この発言のはっきりした意図はこの発言のみからくみ取らなければならないのですが、わたしは「芸能プロ主導によるキャスティングありきのドラマ作り」という意味だと解釈しました。
普通のドラマというのは、題材が決まって、その題材に合う俳優がキャスティングされるというのが普通です。というか当たり前ですよね。しかし、まずキャスティングありきだという意味なのではないでしょうか。下手すれば、先に主演俳優が決まっているとか・・ね。前にもネットニュースなどでは、「まだ内容は未定だが、タレントの○○が半年後(2クール後)の○○ドラマ枠の主演に内定している・・」なんてニュースが流れていましたね。んでもってその内容通りにその枠では内定しているタレントが主役で出ている、という事でした(今クール“2017年4月期”の話なんですけどね笑)。
こういった事実を見ていると、多くの連ドラはまずキャスティングから決まっているという都市伝説も信ぴょう性を帯びてきますよね。さらに、人気俳優主演のドラマには、かなりの高確率でその主演俳優と同じ芸能事務所のタレントがキャスティングされていますよね。いわゆる「バーター(同じ事務所の人気者とあまり人気のない人との抱き合わせ出演)」ってやつです。
まあこういった現状を見ていると、「芸能プロダクション先行」というデーブの発言の意味は見えてくるのではないでしょうか。
目に付く漫画原作ドラマの原作改悪。出演者サイドからの改編要求も?
後、個人的に最近のドラマで気になるのが、人気漫画原作の多さと、その人気漫画の原作改編の多さです。完全に原作通りというのは流石に無理だとしても、ハッキリ言って改悪といってもいいほどの改編をしている作品の多いこと、多いこと。どれとは敢えて言いませんが、本当に原作に対するリスペクト0って作品が目に付くのです。
そしてこれも、出演する俳優サイドからの原作変更依頼があるとの噂もあります。事実かどうかはわかりませんが、脚本への干渉が酷いといわれている某事務所の名前などもネットニュースなどでは出たりしていますよね。
ぶっちゃけ、原作や脚本を改編しようが、面白ければそれでいいんだと個人的には思っています。面白ければ、原作ファンからは批判されるでしょうが、それ以上に新規のファンを獲得出来、それが数字にも結び付くでしょうから。問題なのは、直したものが面白くないという事です。要は原作ファンも新規視聴者も、誰も幸せにならない作品になっているという事なのです。
以前は漫画原作のドラマでも本当に面白いものが多かったですよね。そういう意味でも時代は変わってきているんでしょうか。
「勝てば官軍、負ければ賊軍」結果的に面白いものが出来れば結果オーライ?
ハッキリ言って、原作を変えようが、キャスティングありきでドラマが作られようとも、どれだけバーター出演が横行しようとも、結局は面白ければそれでいいんだと思います。
一番の原因は、肝心要のドラマそのものが面白くないことなんでしょう。実際に面白いドラマはまだまだたくさん作られています。デーブがいうほどに日本のドラマは捨てたものではないと個人的には思います。しかし、デーブの指摘に日本のドラマの問題点の多くがある事もまた事実だと思いますね。
このサイトでも多くの名作ドラマのレビューを書いていますが、その中にもバーター出演バリバリ(推測ですが苦笑)の作品も多くあります。でも不思議なことにドラマが面白ければ全然気にはなりません。現金なものです(わたしだけかもしれませんが汗)。
まあ結論は簡単なことだと思います。
「勝てば官軍!」って事でしょう。面白いものが出来れば、結果(視聴率とか)が良ければ、そんな雑音も出てこないのではないでしょうか。やはり質の高い、視聴者満足度の高いドラマを作るという事を一番に心がけてほしいですよね。
あと、デーブ氏にひとついいたいのが、「芸能プロ先行の不適切なキャスティング」って、ドラマに限った事ではないと思うんですけどね。バラエティやその他の番組でも横行していると思うのはわたしだけでしょうか?出来ればその部分にも言及してほしかったですね。
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