[おすすめ名盤/PV動画有]ホワイトスネイク「スライド・イット・イン」捨て曲無しの名作にはコージーやJ・ロードも

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1980年代前半という時代は、ハード・ロック、ヘヴィ・メタル(以下HR/HM)バンドたちにとってはなかなか苦戦を強いられた時代といえるのではないでしょうか。80年代後半から90年代前半まで、グランジブームが来るまではHR/HMにとっては黄金期ともいえる時代だったため、その比較でそう思えるだけなのかもしれませんが・・。

そんな80年代前半のハード・ロック・アルバムにももちろん名盤はたくさんあります。

そんな名盤のうちの1枚がホワイトスネイクの「スライド・イット・イン」です。

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元ディープ・パープルのデイヴィッド・カヴァデールのワンマンバンド、ホワイトスネイク

ホワイトスネイクについて簡単にご紹介しておきますと、バンド結成は1977年。今年で結成40年を迎えた大ベテランバンドです。

このホワイトスネイクの中心メンバーがヴォーカル担当のデイヴィッド・カヴァデール。世界的ロックバンドのディープ・パープルのフロントマンとして一躍世界に名を轟かせたハード・ロック界を代表するヴォーカリストです。そんなデイヴィッドがディープ・パープル解散後に結成したのがこのホワイトスネイクです。

リーダーというよりも、デイヴィッド自身がこのホワイトスネイクそのものなのであり、デイヴィッド以外のメンバーはあくまでサポートメンバーであるという見方もできる絶対的な存在です。言うなれば、「ホワイトスネイク=デイヴィッド・カヴァデール」といっていいと思います。「レインボー=リッチー・ブラックモア」と同じといっていいかもしれませんね。

1984年発売のM・バーチプロデュースの6thアルバム「スライド・イット・イン」

そんなデイヴィッド・カヴァデールが絶対的存在として君臨するホワイトスネイクが1984年1月に発売した6thアルバムが「スライド・イット・イン」です。

こちらが収録曲となっています。

No. タイトル名 Title 作詞・作曲 分数
1. ギャンブラー Gambler David Coverdale, Mel Galley 3:57
2. スライド・イット・イン Slide It In Coverdale 3:20
3. 孤独の影 Standing in the Shadow Coverdale 3:32
4. ギヴ・ミー・モア・タイム Give Me More Time Coverdale, Galley 3:41
5. ラヴ・エイント・ノー・ストレンジャー Love Ain’t No Stranger Coverdale, Galley 4:13
6. スロー・アンド・イージー Slow an’ Easy Coverdale, Micky Moody 6:09
7. スピット・アウト Spit It Out Coverdale, Galley 4:11
8. オール・オア・ナッシング All or Nothing Coverdale, Galley 3:34
9. ハングリー・フォー・ラヴ Hungry for Love Coverdale 3:57
10. 愛の掟 Guilty of Love Coverdale 3:18

全10曲、全ての曲作りにデヴィッド・カヴァデールが関わっており、さらに二人のギタリスト、ミッキー・ムーディーとメル・ギャレーも何曲か関与していますね。

プロデューサーにはマーティン・バーチを起用しています。これまでのホワイトスネイクのアルバム全てを手掛けていた名プロデューサーですが、このアルバムがホワイトスネイクとの最後の仕事となりましたね。

 捨て曲なしの名盤「スライド・イット・イン」の1stシングルはポップな売れ線狙い??

とにかくこのアルバムの凄いところ、それは「捨て曲が1曲もないどれをシングルカットしてもそん色ないほどの名曲揃い」であるという事。

そしてこれが、「スライド・イット・イン」アルバムからの1stシングル「Guilty of Love」(邦題:愛の掟)です。

Whitesnake – Guilty Of Love (Whitesnake Commandos, Donington 1983)

いやあ、デビカバ若いしセクシーですなあ(笑)。そてにしても、それまでのホワイトスネイクのファンからしてみればこの先行シングル曲を初めて聞いた時には衝撃が走ったでしょうね。それまでのホワイトスネイクの曲と比べると明らかにテイストの違う曲だったからです。シン・リジィの曲だといわれても信じてしまうくらいシン・リジィっぽい曲で、シン・リジィ好きなわたし的には大好きなんですけど、ポップすぎるとかという批判が相当あったであろうことは容易に想像できますね。ブルージーなハード・ロック路線の今までの作品から見れば売れ線狙いと取られても仕方ないくらいに異質な曲です。

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ジョン・ロードとコージー・パウエルの超大物にツインギターとベースの編成

上でご紹介した「ギルティ・オブ・ラヴ(愛の掟)」のPVに出演しているライブメンバーが「スライド・イット・イン」発売時のホワイトスネイクのメンバーです。ご紹介しておきましょう。

デイヴィッド・カヴァデール(Vo)
ミッキー・ムーディー(G)
メル・ギャレー(G)
コリン“ボマー”ホッジキンソン(B)
ジョン・ロード(Key)
コージー・パウエル(Dr)

うーん、いいメンツですな(笑)。ディープ・パープル時代の同僚であるジョン・ロードと、ロック界の渡り鳥、コージー・パウエルという誰もが知るビッグ・ネームに加えて、実力者のミッキー・ムーディーとメル・ギャレーのツイン・ギターとベーシストのコリン・ホッジキンソンという体制は、まさに「仕事人集団」といえる実力派揃いの玄人受けするメンバー構成ですね。

ディープ・パープルでは重要なソングライターだったジョン・ロードの作った曲もこのアルバムで是非聞いて見たかったという気もしますが、そこはデビカバの、デビカバによる、デビカバのためのバンドであるホワイトスネイク、そこはまあしゃーないとこですね。ちなみにジョン・ロードはこのアルバム発表後まもなく、そのディープ・パープルの再結成に参加すべくホワイトスネイクを脱退する事となっていくのであります。

コージーのパワフルなドラミングが炸裂するミディアムナンバー「スロー・アンド・イージー」

ハード・ロック界一といわれたコージー・パウエルのパワフルなドラミングを存分に堪能できる曲がこの曲、「スロウ・アンド・イージー」です。

Whitesnake – Slow & Easy

どうですか?もうこの曲はコージーありきの曲ですよね(笑)。コージー以外のドラムでは違う曲になっちまいますね。このコージー独特のドラミングの際の顔の向きとかスティックさばきは中坊の頃に音楽室でよく真似してました。唯一無二のドラマーとはこのコージーの事でしょう。同時にやはり最強のドラマーだという事を再認識させてくれます。

ところで「スロー・アンド・イージー」のPV見てて最初の「ギルティ・オブ・ラヴ」の時とメンバーが違うのに気づかれましたか?

そうです、実は「スライド・イット・イン」発表後すぐにメンバーチェンジが行われています。

ミッキー・ムーディー(G) → ジョン・サイクス(G)

コリン・ホジキンソン(B) → ニール・マーレイ(B)

シン・リジィやタイガース・オブ・パンタンで大ブレイクした若き天才、ジョン・サイクスと、山本恭司率いる日本のハード・ロックバンド、VOWWOWのメンバーだったことでも有名なニール・マーレイが加入しました。ニールは出戻りですね。

そしてその新メンバーのジョンとニールの新メンバーによる演奏に差し替え、サウンドをアメリカ仕様にしたアメリカ国内での発売用のUSリミックスバージョンを発売しました。この動きはホワイトスネイクのアメリカでのブレイクに大きな貢献をしました。

その後はジョン・ロードとメル・ギャレーもバンドから脱退してホワイトスネイクは4人体制になりました。このPVで4人しかいないのはその時期に撮影したPVだからでしょう。まあジョン・サイクスの性格やプレイスタイルからしてもツイン・ギターバンドはうまくいかないだろうって感じでしたからまあこの辺りは想定内というか既定路線だったのかもしれませんね。

ジョン・サイクスの加入で得たアメリカでの大成功と引き換えに失ったもの

デビュー以来のとにかくブルージーでシブい玄人好みのハード・ロック路線から、7thアルバムの「白蛇の紋章~サーペンス・アルバス」でのゴージャスなアリーナロックへと路線変更してアメリカでの大成功を収めたホワイトスネイク。この「スライド・イット・イン」というアルバムはその狭間での大きな転換点となったアルバムとも言えますし、その過渡期におけるアルバムとも言えます。故にどちらの要素も入っていて、またその微妙なバランスが個人的にはたまりません。まさにこの時期のホワイトスネイクにしか作れないアルバム、その奇跡の化学変化ともいえる名盤こそがこの「スライド・イット・イン」なのです。

先にご紹介した動画の曲以外にも、「ギャンブラー」や「孤独の影」、「ラヴ・エイント・ノー・ストレンジャー」などとにかく捨て曲なしの名曲が粒ぞろいです。ハッキリ言いましょう。わたしは次の大ヒットアルバムの「白蛇の紋章~サーペンス・アルバス」よりこのアルバムの方が好きです。もちろん「白蛇~」も素晴らしいスケール感の大きな歴史的名盤ですが、このアルバムの完成度の高さには敵いません。

まあジョン・サイクスの加入によってアメリカでの大成功を得る事が出来たのは間違いない事実ですし、その意味でミッキーを切ってジョンを入れたのはバンドにとって大正解だったのでしょう。ただし、得たものと同じくらいに失ったものも大きかったこともまた間違いない事実だと思います。誤解のない様に言っておきますが、わたしはジョン・サイクス大好きです。ブルー・マーダーの1stなんて何百回聴いたか分からないくらいです。でもホワイトスネイクでは功罪が大きかったメンバーチェンジでしたね。

最後にこれまた大好きな曲、「ラヴ・エイント・ノー・ストレンジャー」をご紹介して終わりとしましょう。いやあ、この曲もホントに素晴らしい曲だ・・。この頃のホワイトスネイクにはなんつーか、こう…哀愁がありましたよね、うん。

Whitesnake – Love Ain't No Stranger

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