1960年代後半から1970年代にかけて、世界を代表するロック・バンドとしてロック界に君臨した伝説的バンド・レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)。
1969年1月に1stアルバム「Led Zeppelin1」でデビュー後、ドラマーのジョン・ボーナムの急死によってバンド活動を終えた1980年12月までに発売したオリジナルアルバムは全8枚(ボーナム追悼盤であるCODAは含まず)。活動期間は約12年という短いものでした。
そんなレッド・ツェッペリンは一部洋楽ファンからはその音楽性を「拡散美」と呼ばれているほどに、様々な音楽性を垣間見せるバンドであり、アルバムごとにその音楽性を変化させていったバンドでもあります。
主にツェッペリンの音楽は前期・後期でくくられる傾向が強いのですが、ここでは前期ツェッペリン(1stから4thアルバム)の代表曲をご紹介したいと思います。
1969年「レッド・ツェッペリンⅠ」 グッド・タイムズ・バッド・タイムズ~コミュニケーション・ブレイクダウン、ゴナ・リーヴ・ユー
記念すべきレッド・ツェッペリンのデビューアルバムにして、現在までアメリカ国内だけでも800万枚以上を売り上げているといわれている、伝説の1stアルバムです。
そんなデビュー作の初っ端を飾るのがこの「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」であり、B面(死語w)3曲目に入っていたのが、今なおハードロックファンの間ではアンセム的な人気を誇る「コミュニケーション・ブレイクダウン」なのです。
どちらも凄い曲ですよね。1969年当時のロック・ファンが熱狂をもって迎え入れたのが手に取るようにわかる曲です。てか、自分もその時代にいれば熱狂してたでしょう(笑)
「コミュニケーション・ブレイクダウン」は初期のライヴでもド定番といえる曲であり、そのハードな疾走感で特にハード・ロックファンに愛されている曲ですね。
しかしわたしは熱狂的なHR/HMファンなのですが、一番このアルバムで好きなのは「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」の方だったりします(苦笑)。何度聴いても、「ダァーッ、ダッ!・・・ダァーッ、ダッ!!」ていうジミー・ペイジのリフが聞こえてくるだけでアドレナリンが噴出してしまいますね。
ジミー・ペイジのリフももちろんカッコいいんですけど、リズム隊の凄さも目立ちますね。うーん、やっぱりジョン・ボーナムとジョン・ポール・ジョーンズは世界最高のリズム隊かもしれません。とにかくジョンのセンスがいいんですよねえ。ボンゾのドラムはもちろん凄すぎだし。あんましライブでやらなかったのが残念でならない程の超名曲だと思います。
この曲でノックアウトされた後での2曲目「ゴナ・リーヴ・ユー」ですからねえ。そりゃあモンスターバンドになっちまいますよねえ。ああ、リアルタイムで聴いて熱狂したかったなあ・・
1969年「レッド・ツェッペリンⅡ」 胸いっぱいの愛を
セカンドアルバム「レッド・ツェッペリンⅡ」のオープニングを飾るのがこの曲、「胸いっぱいの愛を(Whole Lotta Love )」。ペイジのイントロのギターリフと、サビの「ウォナ、ホラロラ♪ウォナ、ホラロラ♪」はあまりにも有名ですね。
当時のミュージシャンたちは、アルバムを作ったらまずはそのアルバムから曲をシングルカットし、その少し後にアルバムを発売するという手法が一般的だったのですが、このツェッペリンに関してはそんな王道を歩まなかったことは有名です。
彼らが母国イギリスでシングルカットした曲は6thアルバム収録の「トランプルド・アンダー・フット」とこの2ndからの「胸いっぱいの愛を」の二曲のみなのです。ちなみにアメリカではこの曲はミリオンセールス(100万枚以上)となってツェッペリンのシングルとして最大の大ヒットとなり、最高位は全米4位を記録。それにつられるかのようにアルバムもチャートを席巻し、レッド・ツェッペリン初の全米1位を記録しました。ちなみにこの「レッド・ツェッペリンⅡ」が1位になる前に1位だったのが、あのビートルズのラストアルバムである「アビイ・ロード」。まさにロック界のレジェンドが世代交代した瞬間ともいえるのかもしれませんね。
にしても、やっぱりリフメイカーとしてもクリエイターとしても超一流のジミー・ペイジというアーティストの底力をこのアルバムでは感じざるを得ませんね。確かに技術的には評価されないアーティストなのかもしれませんが、ジミー・ペイジの凄さはそこじゃあないんだよという事をこのアルバムは教えてくれます。
この「胸いっぱいの愛を」と「ハートブレイカー」は、まさに現在にも通じるハードロックのお手本ともいえる名曲ですね。初めて聴いた時には「音がスッカスカじゃん」と思ったものでしたが、逆にそこがいいんですよね。このサウンドの隙間が。まあ絶妙なバランス感というか、味というか・・。これってやっぱり計算なんだろうか?それとも勢い?でもそんなの関係ねぇっ!!って感じですな(笑)。とにかくいいもんはいい!!そんな感じなのです。
そんなわたしの一押しはジョンのベースラインがうねる「レモン・ソング」なんですけどね(苦笑)。ベーシストには是非とも聞いてもらいたい一曲です。ロバート・プラント、ジミー・ペイジ、ジョン・ボーナムというきらめくスーパースターたちの影に隠れがちですが、やっぱジョンジーもすげーっすよ。
1970年「レッド・ツェッペリンⅢ」 移民の歌、貴方を愛し続けて
はい、1970年代から80年代のプロレスファンの皆様、お待たせいたしました。あの今は亡き超獣、ブルーザー・ブロディのテーマ曲としてプロレスファンの間でアンセムとも化しているのがこの「移民の歌(Immigrant Song)」なのです。
もうインパクト十分ですよね。ペイジの強靱なリフとともにフェードインしてくるプラントの「あああ~あぁっ!!あああ~あぁっ!!」うーん、ブロディのテーマ曲としてこれほどふさわしい歌があったでしょうか。この曲を入場曲として選ぶ時点で自己プロデュース力ハンパないですよね。ブロディが実はインテリだったというのがこれだけでもよくわかりますね。
今のプロレスファンには新日本プロレスの真壁刀義の入場曲としてのイメージが強いかもしれませんね。真壁ヴァージョンは布袋寅泰の曲ですが、原曲はもちろんこのツェッペリンです。布袋さんのはカヴァー曲という事ですね。
まあこの曲はツェッペリンがハード・ロックの元祖といわれる所以でもありますよね。この曲は4人の個性ががっぷり四つでぶつかり合って、その化学反応があり得ない爆発をもたらしているといってもいいほどの曲です。
ロバート・プラントのワイルドで雄々しいシャウトと、ジミー・ペイジの野太く革新的なリフ、ジョン・ポール・ジョーンズの静かながらに疾走するベースライン、あり得ない程パワフルなジョン・ボーナムのドラム・・
まあプロレス界でもアンセムですが、ロック界のアンセムといってもいい名曲ですね。
「移民の歌」はツェッペリンファンでなくともよく知られた神曲なのですが、このアルバムにはもう1曲神曲がありますね。
はい、4曲目の「貴方を愛し続けて(Since I’ve Been Loving You)」です。これもロックファンにはお馴染みの名バラードです。とにかく「心に染みる」。まさにこの一語に尽きるような曲ですね。個人的にはブルースロック史上最強のバラードだと断言します。
とにかくペイジのギターとプラントの表現力には脱帽。ぶっちゃけわたしはこの曲でブルース・ロックの凄さを初めて体感しました。聴いてない人は絶対に聞いてみてください。とにかく「心に染み」ます。
ところで、この「レッド・ツェッペリンⅢ」ですが、セールス的には前作「レッド・ツェッペリンⅡ」と同様に全米チャート1位を記録したものの、全体的な売り上げ的には大きく売り上げを下げてしまう結果となりました。
この原因は、このアルバムの、特にB面(6曲目以降の事っすw)での実験色の濃さによるものだと思いますね。アコースティックなナンバーが多く、前作までのダイナミズムを欲するファンにしてみればちょっと物足りなかったかもという心理はなんとなくわかりますね(笑)。
でも「移民の歌」や「貴方を愛しつづけて」、「祭典の日」などが詰まったA面(5曲目までっす汗)のクオリティの高さは特筆ものですし、前作の「Ⅱ」とこの次の「Ⅳ」が凄すぎるだけで、この「Ⅲ」も十分凄い作品だと思いますね。
1971年「レッド・ツェッペリンⅣ」 天国への階段、ロックン・ロール、ブラック・ドッグ
あい、レッド・ツェッペリン最大のヒットアルバムであり、ファンの間でも最高傑作との呼び声高いのがこの「レッド・ツェッペリンⅣ」です。
まあ一般的には「レッド・ツェッペリンⅣ」と呼ばれている本アルバムなのですが、正式名は四つのシンボルマークです。従って発音できません。ので便宜上「Ⅳ」と呼ばれているのです(フォー・シンボルズと呼ぶ場合もあり)。
アルバムタイトルとなっている4つのシンボルマークは左から順にペイジ、ジョーンズ、ボーナム、プラントという4人のメンバーそれぞれを現したシンボルとなっています。アメリカのスーパースター、プリンスが一時期プリンスからオリジナルのシンボルマークに名前を変えて、呼び方に困ったメディアが「元プリンス」と呼んでいたのと似たような感じですね(笑)。
タイトルも個性的ですが、アルバムの内容はとにかく凄いです。ちなみに売り上げはこれまでアメリカだけで2300万枚以上、全世界では3700万枚以上を売り上げているという、まさにモンスターアルバムです。
まあそれもそのはず、とにかく名曲がキラ星の如く!!ってやつですから。まずは初っ端から完全ノックアウトの「ブラック・ドッグ(Black Dog)」。これまたペイジの天才的リフメイカーが炸裂しているこのミドルナンバーは、後に様々な曲にインスパイアを与えて、ある意味ロックのひな型化してしまっている曲ですよね。まあとにかく凄いですわ。
んでもって続く2曲目がこの曲、これまたハードロックのアンセムと化している「ロックン・ロール」ですね。
ボンゾのドラミングからのギターイントロはほとんどの人がどこかで聴いた事あるのではないでしょうか。そんくらいにあらゆるところで使われまくっているロック・クラシックなのです。この曲の良さは言うまでもなく、「シンプル・イズ・ザ・ベスト」!!。もうこれだけです。特にあのイントロのドラムのカッコよさは凄いですね。中学時代に音楽室のドラムで真似したのが懐かしいですな(笑)。超がつくほどにドヘタでしたが(汗)。
んでもって、4曲目にはこのロック史上不朽の名バラードが待ち受けています。
そう、「天国への階段(Stairway to Heaven)」です。
このイントロもあらゆるところで聴く機会に恵まれている、超有名なものですよね。
アコースティックギターの静かで美しいメロディから入る起パートで幕を開け、ボンゾのドラムが入って承パートへ。ペイジのギターソロで転へと転じ、そして美しく儚く切ない結へ・・
まさにこれぞ「起承転結」。8分という時間を全く感じさせない名曲、神曲であります。まあ当たり前の表現となってしまいますが、まさに「ロック史に残る曲」ですね。
この曲、このアルバムについては散々語りつくされた感があるのでわたしごときがこれ以上グダグダいうのは止めておきましょう。とにかく聴いてください。
後期ZEPについてはこちらの記事をご覧ください
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