[懐かし刑事ドラマ]特捜最前線(とくそうさいぜんせん) 殉職含め歴代全刑事や番組情報(初期OP動画有)

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1970年代から1980年代にかけてのテレビドラマ界で大きな勢力を誇っていたジャンルが「刑事ドラマ」。

現在でも「相棒」や「科捜研の女」などの人気シリーズものを中心として毎クールのようにどこかしらの局で放送される程日本人にはお馴染みの刑事ドラマというジャンルですが、その人気が最高潮に達していた時代こそ1970~80年代といってもいいでしょう。

ここではそんな刑事ドラマ黄金期に人気を博した「特捜最前線」(とくそうさいぜんせん)についてご紹介したいと思います。

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木下忠司「私だけの十字架」や秀逸な脚本が視聴者の心を打つテレ朝の名作

まずは特捜最前線の簡単な番組データからご紹介しましょう。

放送期間:1977年4月6日~1987年3月26日
放送回数:全509話
放送制作:テレビ朝日
制作会社:東映
音  楽:木下忠司
主題歌 :F・チリアーノ「私だけの十字架」
主  演:二谷英明(にたにひであき)

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いやあ、素晴らしいオープニングテーマ(厳密には二代目OP。初代OPはED曲のインストバージョン)ですね。やっぱり今聞いてもアドレナリンが噴出してくる名曲です。オープニング&エンディングを含む音楽は、名作曲家の木下忠司さん。この勇壮なオープニングとは対照的に、イタリア人歌手のファウスト・チリアーノが歌うエンディング曲、「私だけの十字架」は日本人の琴線に触れるメロディラインで、まさに“哀愁”を感じさせるこれまた名曲なのです。

制作はテレビ朝日と東映。テレ朝の昭和の刑事ドラマといえば石原軍団の「西部警察シリーズ」ですが、放送開始は約2年半ほどこちらの「特捜最前線」の方が早いです。

「西部警察」や「太陽にほえろ」といった刑事ドラマを“陽”とするならこの「特捜最前線」は“陰”という表現がピッタリくるドラマだと思います。

派手なアクションやスター性あふれる若手刑事のカッコイイ活躍といった部分は前記作品には劣りますが、その分しっかりした人間心理の深層を描いた素晴らしい社会派ドラマを見せてくれます。拳銃を発砲するようなシーンや刑事たちの殉職シーン等は殆どなく、その意味でも西部警察や太陽にほえろとは対極に位置するといえるかもしれません。

数々の名作を手掛けてきた長坂秀佳(ながさかしゅうけい)さんをはじめとして、石松愛弘さんや塙五郎さん、竹山洋さんら実力派脚本家を揃えたストーリーは秀逸という言葉しか見当たりません。まさにこのドラマが名作と呼ばれている一番の原因なのではないでしょうか。この辺りは同じテレ朝の刑事ドラマ「相棒」などに今でも受け継がれている伝統ともいえると思いますね。

太陽にほえろや西部警察とは対極の刑事像はリアルさを追求した本格派の裏返し

最後まで視聴者を引き付ける素晴らしい脚本に加え、「特捜最前線」のもう一つの大きな人気の要因はやはり実力派俳優を配した刑事たちでしょう。

この特捜最前線の主役である、“警視庁特命捜査課”の刑事たちには、「太陽にほえろ」や「西部警察」のようなニックネームはありません。「ジーパン」「ボス」「団長」「リキ」とかそういった刑事仲間で呼び合う呼び名です。

基本的に特命捜査課の刑事たちはスーツ姿であり、ジーンズ等のオシャレでカジュアルな格好をしている刑事は基本いません。その辺りがある意味本作を“地味”と捉える人が多い主原因の一つなのでしょうが、それは逆にドラマとしては「リアルさ」の裏返しでもあり、リアリティを追求した地に足のついた脚本と併せてこのドラマが「本格派」の刑事ドラマであるという事の裏返しともいえるのではないでしょうか。

リアルタイムで見ていた(山陰にはテレ朝のネット局が無いので、この辺りで特捜最前線は土曜のお昼に放送していました汗)小学生の頃には、太陽にほえろや西部警察の方に心を奪われていたわたしですが、大人になった今となってCS等で特捜最前線の再放送を見ると、今さらながら当時このドラマが人気を博していた理由がよーくわかりますね。ホントに大人の、大人による、大人のためのドラマなんです。

主人公・二谷英明他、大滝秀治、西田敏行、藤岡弘ら実力派揃いの初代特命捜査課メンバー

というわけで、警視庁特命捜査課に所属していた刑事たちを全員ご紹介しましょう。まずは、記念すべき第1回の特命捜査課メンバー6人の一覧です。

刑事名(役名) 演じた俳優名 階級 登場話数 退場理由
神代恭介 二谷英明(にたにひであき) 警視正 第1回~最終回
93~96、99~109回以外
特命部部長就任
船村徹 大滝秀治(おおたきひでじ) 警部補 第1回~430回
129~169、397~400回以外
退職
高杉陽三 西田敏行(にしだとしゆき) 巡査部長 第1回~84、92、105回 所轄係長に栄転
吉野竜次 誠直也(まことなおや) 巡査長 第1回~435回 殉職
津上明 荒木しげる(あらきしげる) 巡査長 第1回~147回 殉職
桜井哲夫 藤岡弘(ふじおかひろし) 警部→警部補 第1回~52、103~341、348~最終回 特命捜査二課長就任

以上の6名が「特捜最前線」の初代メンバーという事になります。どの顔もこの「特命最前線」の顔といってもいい刑事ばかりですね。

この6名のうち最終回となった509回までレギュラーで出演したのは、主人公である神代警視正(二谷英明)と桜井警部補(藤岡弘、)だけとなっています(両名とも途中退場期間有り)。二谷英明さんといえば、元タレントで現在は実業家へと転身された“リー”の愛称でも有名な二谷友里恵さんの父親、女優の白川由美さんの夫としても有名です。妻の白川由美さんはこのドラマにおいて、金沢歯科大学の冷泉教授役で出演して夫婦競演を果たしています。

大滝秀治さん演じる船村刑事は途中で刑事を退職、西田敏行さん演じる高杉刑事は所轄の係長に異動という形でドラマから去っています。西田さんに関しては、スケジュールが忙しすぎての降板という裏事情がありました。まあ致し方ないという気もします。猪八戒を演じた日テレの西遊記やNHKの大河ドラマなどともろに被っていますし、西田さんが俳優として大ブレークした時期ですからね。

大滝秀治さんはこのドラマでも流石の存在感を放っていましたね。関根勤さんの物まねが有名になるのはもう少し後の事ですね(笑)

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誠直也、荒木しげるが唯一のレギュラー殉職刑事だが、長門裕之も?

尚、特捜最前線というドラマは刑事があまり殉職しない刑事ドラマとしても有名なのですが、10年の歴史の中で殉職したレギュラー刑事2人はともに初期メンバーの吉野刑事(誠直也)と津上刑事(荒木しげる)でした。

「太陽にほえろ」の影響などにより、この頃の刑事ドラマの花形シーンがレギュラー刑事たちの「殉職」回でした。それまで活躍していた刑事たちの華々しい殉職によるドラマ退場箱の時代の刑事ドラマの様式美といっても良かったのです。太陽にほえろのジーパン刑事(松田優作)やマカロニ刑事(萩原健一)の衝撃の殉職回などはその典型といえるでしょう。

しかしこの「特捜最前線」は敢えてそういったトレンドに背を向け、刑事の殉職をほとんど描きませんでした。レギュラーで殉職したのは前述した吉野刑事と津上刑事の二人だけです。それも、津上刑事の場合は演じていた荒木しげるさんのスケジュールの都合で降板するという事になったのですが、荒木さんのたっての希望で爆死という形をとっての殉職になったというのはファンの間では有名な話ですね。

貴重だからこそより一層その価値も高まったこの「特捜最前線」における吉野竜次刑事と津上明刑事の壮絶な殉職。津上刑事の殉職となった146話(殉職Ⅰ・津上刑事よ永遠に!)・147話(殉職Ⅱ・帰らざる笑顔!)と吉野刑事の殉職回である435話(特命課・吉野刑事の殉職!)はリアルな人間ドラマの中での殉職だからこそ輝く非常にレアな名作回となっています。

ちなみに、レギュラー刑事の殉職はこの二人だけなのですが、準レギュラークラスとして特捜最前線の初期から後期までお馴染みとなった蒲生大介警視(長門裕之)も殉職しています。窓際警視と呼ばれ、神代課長の代理として特命捜査課の指揮も執った蒲生刑事も459話、460話で壮絶な殉職を果たしました。レギュラークラスと遜色ないほどにキャラの立った刑事でした。長門裕之さんは本当にはまり役でしたね。

横光克彦、本郷功次郎らに加えて建物探訪の渡辺篤史、スッキリレポーター阿部祐二も

それでは次に第1期メンバーの後から警視庁特命捜査課に加わった、途中加入の刑事たちを加入順にご紹介しましょう。

刑事名(役名) 演じた俳優名 階級 登場話数 退場理由
紅林甚一 横光克彦(よこみつかつひこ) 警部補 第52回~最終回 特命捜査一課へ
橘剛 本郷功次郎(ほんごうこうじろう) 警部 第53回~最終回 特命捜査一課長就任
滝二郎 桜木健一(さくらぎけんいち) 巡査 第108回~169回 退職
叶旬一 夏夕介(なつゆうすけ) 警部補 第148回~最終回 特命捜査二課へ
時田伝吉 渡辺篤史(わたなべあつし) 警部補 第436回~最終回 特命捜査一課へ
犬養清志郎 三ツ木清隆(みつぎきよたか) 巡査部長 第436回~最終回 特命捜査二課へ
杉敏夫 阿部祐二(あべゆうじ) 巡査 第441回~最終回 特命捜査二課へ

うーん、個性溢れる俳優さんが揃っています。

紅林刑事役の横光克彦さんは立憲民主党所属の現役の国会議員(衆議院)さんですね。本郷功次郎さんはひたすらシブいいぶし銀で、この特捜最前線では神代課長に次ぐ特命課のナンバー2といってもいいポジションでした。叶刑事役の夏夕介さんはとにかくカッコよかった。まさに二枚目を絵に描いたような正統派の美男子でした。

桜木健一さんは得意とする元気系キャラの滝刑事を演じていましたね。時田刑事と犬養刑事は、吉野刑事殉職後に特命捜査課に同時に加わりました。時田刑事役の渡辺篤史さんは、若い人たちには「渡辺篤史の建もの探訪」が有名かもしれません。ナレーションも秀逸な俳優さんです。

そして、最後に特命課に加わった若手刑事の杉敏夫を演じた阿部祐二さん。

そうです、「事件です!!」でお馴染みのあの阿部レポーターです(笑)。現在は日テレ系「スッキリ!!」等のテレビレポーターの他、そのキャラを生かしてバラエティでも大活躍していらっしゃいます。娘の阿部桃子さんが2017年ミス・ユニバース・ジャパンに輝いた事でも話題になりましたよね。

そう、昔はれっきとした俳優さんでした。しかもこの人気刑事ドラマにレギュラー出演する程の俳優さんだったのです。ちなみに特命捜査課に加入した当時の阿部さんは27歳でした。でもビジュアル面で今とそんなに変わってないというところが凄いです。

特命捜査課歴代婦警一覧 関谷ますみ演じるカンコ、アイちゃん、玉ちゃん役の女優は?

特命捜査課といえば、男臭い(おっと失礼!w)職場に咲く一輪の花、歴代婦警さんもご紹介しておきましょう。

婦警名(役名) 演じた女優名 通称・あだ名 登場話数 ドラマ退場理由
児玉雅子 槙葉子 不明 第1回~14回 不明
玉井光子 日夏紗斗子 みっちゃん・玉ちゃん 第16回~108回 結婚による寿退職
高杉幹子 関谷ますみ みきちゃん・カンコちゃん 第109回~441回 病気の母のために退職
江崎愛子 愛田夏希 アイちゃん 第442回~最終回 不明

10年間で特命捜査課の紅一点を務めたのがこの4人の婦警さんたちです。

とはいえ、初代婦警役の槙葉子さんに関しては、愛称不明でほぼセリフ無しの14話で自然退場という事で、記憶の無い方も多いかもしれません。

二代目の玉ちゃんから婦警キャラが立ってきたという感じですね。滝刑事と同時に特命捜査課に加わった玉ちゃんこと玉井婦警は囮となって犯人を捕まえるといった武勇伝も披露してくれたりしました。

玉ちゃん寿退職後に加入したのが高杉婦警。西田敏行さんが演じた高杉刑事の姪っ子という設定だった、関谷ますみさん演じるこの「カンコ」が最も特捜最前線の婦警イメージであるという方も多い事でしょう(自分もそうです笑)。特命課の刑事達や多くの視聴者を虜にした「カンコ」こと関谷ますみさんは特捜最前線終了後しばらくして結婚して芸能界を引退。その後は旦那さんと一緒にベルギーチョコレート販売の「レオニダス柏店」と旅行代理店「ホーリーツアーズ」の経営で大忙しのようです。プライベートが順調そうでホッとしたと同時に芸能界復帰の目はなさそうなのがちょいと残念です(笑)

4代目、最後の婦警さんは愛田夏希さん。特捜最前線のオープニング映像では堂々と杉刑事(阿部祐二)とのツーショットで登場しています(笑)。残念ながらドラマ降板後しばらくして芸能界は引退されているようで、引退後の現在の動向はわかっていません。

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仮面ライダーやゴレンジャー、円谷プロ作品等で特撮ヒーローを演じた特命捜査課刑事達

というわけで、ここまで1970年代~80年代に人気を博したテレ朝の刑事ドラマ「特捜最前線」に出演した俳優さんや刑事・婦警、番組情報などをご紹介しましたが、このドラマで刑事を演じた俳優さん13名のうち、6名の方にある共通点があるのをご存知でしょうか。わたしより上の世代の方にはこの記事を読みながら「ん?」と思われた方も多いかもしれません。

その共通点とは、6名の俳優さんに特撮物での主演経験があるという事です。以下が特撮番組と主演した俳優さんの一覧です。

刑事名(役名) 演じた俳優名 主演した特撮番組 演じたキャラクター 放映期間
神代恭介 二谷英明 マイティジャック 当八郎(マイティジャック隊長) 1968年
桜井哲夫 藤岡弘、 仮面ライダー 本郷猛(仮面ライダー1号) 1971~1973年
吉野竜次 誠直也 秘密戦隊ゴレンジャー 海城剛(アカレンジャー) 1975~1977年
津上明 荒木しげる 仮面ライダーストロンガー 城茂(仮面ライダーストロンガー) 1975年
叶旬一 夏夕介 突撃!ヒューマン
宇宙鉄人キョーダイン
岩城淳一郎(ヒューマン)
葉山譲治(スカイゼル)
1972年
1976~1977年
犬養清志郎 三ツ木清隆 光速エスパー
白獅子仮面
東ヒカル(光速エスパー)
剣兵馬(白獅子仮面)
1967~1968年
1973年

上の6名の刑事たちがかつて特撮ヒーローとして子供たちを沸かせた面々です。

藤岡弘、さんや荒木しげるさんの仮面ライダーや誠直也さんのアカレンジャーはもう超有名といってもいいですよね。

夏夕介さんと三ツ木清隆さんは共に2作品で特撮ヒーローを演じていらっしゃいます。特に三ツ木さんの光速エスパー役はまだ14歳の時ですから驚きですよね。

さらに意外だったのが二谷英明さん。ウルトラマンシリーズでお馴染みの円谷プロが手掛けたSF特撮番組「マイティジャック」に主演されていたことは意外と知らない方も多いのではないでしょうか。

特命捜査課のシブい刑事たちが演じた特撮ヒーロー。これはこれでギャップがたまらないのです(笑)

 

というわけでいかがでしたか、昭和の名作刑事ドラマ「特捜最前線」。

ド派手な刑事ドラマが多かった昭和後期の刑事ドラマの中でも人間ドラマとしての側面を大きく打ち出して異彩を放っていた「特捜最前線」は、未だに多くのファンからの支持を得ている刑事ドラマでもあります。数年前、この「特捜最前線」の映像を使った「家庭教師のトライ」のCMが流れていましたが、オールドファンにはたまりませんでしたね(ちなみにトライの社長は二谷英明さんの娘・二谷友里恵氏)。

しかし個人的には今の時代だからこそもっともっと評価されてもいい刑事ドラマだと思いますが、やはり西部警察や太陽にほえろに比べるとまだまだ一般的な知名度が低いなあという印象です。まあそんなところもまた「特捜最前線」らしくていいんですけどね(笑)。

コメント

  1. リキ太 より:

    マイベスト時代劇が「大岡越前」に対してマイベスト刑事ドラマは「特捜最前線」でした!これは今後も揺らがないと思います。地味なのが最高ですよね!笑
    神代警視正や桜井警部がカッコ良い事は衆目の一致する所だと思いますが、特に好きだったのは橘刑事や紅林刑事、叶刑事です。特捜最前線らしい地道な捜査や社会派のテーマによるほろ苦い結末など…学校帰りの再放送で気がつくと夢中になっていました。ただ大人なってからはまだ未見なので手を付けるべきか悩むところなんですよね〜。

    • りぞっと より:

      うちの親父が見てましたね、「特捜最前線」。うちの地域はテレ朝ネット局がないんで日曜夜11時くらいにやってたりしてたんですけど、当時はまだ面白さがわかりませんでしたね。やっぱド派手な「太陽にほえろ」や「西部警察」、あと香港シリーズの「Gメン75」の方が好きでした。でも大きくなってから「特捜最前線」の深さにハマったクチです。
      わたしも橘刑事が一番好きでした。
      思えば本郷功次郎さんも夏夕介さんも二谷英明さんも大滝秀治さんも鬼籍に入られているんですよね…みなさん素晴らしい俳優さんでした。