数ある連ドラ枠の中でも、フジの月9やTBSの日曜劇場などと共に老舗ドラマ枠として数多くの名作を生み出してきたフジテレビ木曜22時からの1時間ドラマ枠「木曜劇場」。
その中でも個人的に非常に思い入れの深い1993年放映「素晴らしきかな人生」についてここではご紹介したいと思います。
ちなみによく似たタイトルのウィル・スミスやキーラ・ナイトレイのハリウッド映画「素晴らしきかな、人生」とは何の関係もありません。向こうは「素晴らしきかな」と「人生」の間に「、」が入りますので(笑)
1946年のアメリカ映画でクリスマスの夜のちょっとした奇跡を描いた感動大作として未だに語り継がれるジェームズ・スチュワート主演の名作「素晴らしき哉(かな)、人生」とも何の関係もないです。紛らわしいタイトルで検索泣かせでもありますね(苦笑)
「親愛なる者へ」「この愛に生きて」と共に野沢尚脚本夫婦三部作ドラマの2作目
ではまず木曜劇場で放送されたフジドラマ「素晴らしきかな人生」の簡単な概要をご紹介しましょう。
放送期間:1993年7月1日~9月16日
放映時間:毎週木曜日22:00~22:54
ドラマ枠:木曜劇場
放送回数:全12話
制 作:フジテレビ
音 楽:山梨鐐平
主題歌 :井上陽水「Make-up Shadow」
挿入歌 :織田裕二「決心」
脚 本:野沢尚
主 演:浅野温子
プロデューサー:大多亮・喜多麗子
フジテレビ木曜夜10時の連続ドラマ枠である「木曜劇場」内で放送された「素晴らしきかな人生」。もう四半世紀(25年)以上も前になるんですねぇ(遠い目)。
このドラマ、リアルタイム視聴時は気にしてなかったのですが、今になって思えば脚本は野沢尚さんだったんですよね。そりゃあ面白いはず。後で納得しましたね。そしてプロデューサーにはフジテレビの大ヒット作を多く手掛けた名プロデューサーの大多亮さんと、野沢さんとは盟友ともいえる存在の喜多麗子さん。何度も言いますが、そりゃ面白いですよ。
野沢尚さん脚本の木曜劇場作品「親愛なる者へ」(1992年)「素晴らしきかな人生」(1993年)「この愛に生きて」(1994年)。夫婦の様々な形を描いたこの3作品は「夫婦三部作」と呼ばれており、現在でも名作と高い評価を得ている作品です。当時トレンディドラマ界の最高峰のキャスティングといわれた浅野ゆう子&柳葉敏郎W主演の「親愛なる者へ」や、豊川悦司と岸谷五朗の大出世作となった「この愛に生きて」に比べると影が薄い感もあるこの「素晴らしきかな人生」ですが、3部作全てリアルタイムで見た小生的にはこのドラマが3部作の中でも一番面白かったです。
見た事のない方には3部作の見比べを…とお薦めしたいのですが、残念ながらこの野沢尚さんの夫婦三部作はソフト化がされていないものもあり、難しいというのが現状なのが辛いところではあります。全部良作なので3部作全作のDVD化を是非お願いしたいのですが…
主題歌は井上陽水さんの「Make-up Shadow」(メイクアップ・シャドウ)。作詞の井上陽水特有の世界観に彩目映(あやめうつる/佐藤準さんの別名議)さんの軽快でポップ&キャッチーなメロディが踊ります。最高です。オープニングでこの曲のイントロがカットインすると毎週のようにアドレナリンが噴出して足でリズムとってたのを昨日の事のように覚えていますね。掛け値なしのJポップを代表する名曲ですね。
「素晴らしきかな人生」のあらすじ・ストーリー
度重なる夫の浮気癖が原因で穂坂新平(佐藤浩市)と離婚後、一人娘の遥(ともさかりえ)と二人で暮らすシングルマザーの高畑結女(浅野温子)。
しかしこの遥は新平との娘ではなく、新平との結婚前に付き合っていた永沢邦生(田中健)との間に出来た娘であり、その妊娠が発覚したのは既に邦生との恋人生活が破綻した後だったのである。その事実を知ったうえで新平は結女との結婚、そして遥の父親になる事を選んだのであった。
そんな遥の通う女子中学校、神岡女学館に赴任して遥の担任となったのが国語教師の芝木貢(織田裕二)。貢は邦生の実の弟であり、小学生の頃に兄と付き合っていた結女に密かな想いを抱いていた。
遥の母が結女だと知った貢。そして新平との結婚生活が破綻してシングルマザーとなった憧れの女性・結女に対して猛アタックを仕掛ける貢。しかし貢には同棲生活を送っている恋人、神岡女学館中学校の同僚音楽教師である伊藤初音(富田靖子)がいた。
頑なに閉ざしていた心を貢に徐々に開かれて貢に惹かれていく結女と、貢と結女の距離が近づく程に徐々に精神が壊れていく初音。そして結女と貢には最悪の悲劇が襲い掛かる…
結女は果たして“素晴らしき人生”と心から言える人生を手に入れる事が出来るのか?
W浅野の浅野温子が苦難に立ち向かうシングルマザーの主人公役
主演は浅野温子さん。「W浅野」と呼ばれた浅野ゆう子さんとのダブル主演となった「抱きしめたい!」でトレンディドラマというジャンルを確立した大人気女優です。このドラマ放映時は32歳。ホントに“イイ女”でしたね。男から見ても女から見ても「イイ女」という女優さんって本当に数少ないですが、そんな数少ない女優さんの一人です。
浅野さんにとっては彼女の代表作の一つでもある「101回目のプロポーズ」以来約2年ぶりの連ドラ出演がこの「素晴らしきかな人生」であり、その意味ではファンにとっては待ち焦がれた作品となりました。
1980年代後半から90年代前半にかけては“カッコイイ女”や“コメディエンヌ”的な役が多かった浅野さんにとって、このドラマにおける高畑結女役は珍しい役柄といえるでしょう。このドラマにおける結女は、乳がんという病魔や離婚、身近な人物の自殺といった数々の降りかかる不幸を抱えながらもそれを乗り越えて生きるという、それまでとはベクトルの違った「強い女」であるからです。
ともさかりえさんとの母娘役は本当の母と娘のようなリアリティを感じさせてくれます。富田靖子演じる初音や織田裕二の貢といった「濃い」キャラ達に囲まれて、普通なら埋没しがちな結女のポジションでも流石の存在感でしたね。
最後にこの結女が選んだ男たち、貢に新平に邦生…。結女って男見る目が特殊というか、結女の苦労の源泉は結女の男のチョイスだと思うのはわたしだけでしょうか(笑)
完治や司馬役で大人気の織田裕二は肉食系中学校教師役でコンプラ違反??
浅野さんの相手役は織田裕二さん。「東京ラブストーリー」の完治役、「振り返れば奴がいる」の司馬役で一躍トップ俳優に躍り出た彼の「振り返れば…」の次作となったのがこの作品というわけです。まあ浅野温子さんと織田裕二さん、この二人が出演というだけでどんだけ豪華なんだよ…てドラマだったわけです。
でこの織田さんが演じた芝木貢ですが…まあわたしには全くといっていいほどに感情移入できない人物なわけです(笑)。
初音という同棲相手がいながら子供の頃に恋焦がれた初恋の結女にガンガンアプローチしていく様は、現在の「草食系男子」は爪の垢を煎じて飲め!!とでも言いたいくらいの肉食系なのですが…その言動からはかなり自己中心的な部分が散見され、わたしのような「草食系」から見たら全く同意できないし理解できないのであります。一言で言えば「うぜー」て感じでしょうか(あくまで個人的意見です汗)
自分の夢のために結女を捨てた兄の永沢邦生は文句なしの自己中&社会適合性ゼロな男でしたが、そんな兄を忌み嫌う貢もなかなか香ばしいんですけど…といった感じでしょうか(笑)。ただし、この貢の思い込んだら一直線という熱血ぶりはわたしのような人間には見習うべき部分も多いのかもしれません。
しかし、結女と接近するために教師の立場を利用して結女をPTA役員に選出したり、家庭科教師の代役の料理講師を結女に頼んだりするのは明らかに教師としての立場を利用した職権濫用であり、現在なら明らかなコンプラ違反案件です。現代だと大問題となるでしょうね。まあまだコンプライアンスとか緩い時代だったという事で…(苦笑)
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