「太陽にほえろ」や「Gメン75」、「特捜最前線」等、数々の名作刑事ドラマを世に送り出した1970年代から1980年代のテレビ界。
テレビドラマ界で刑事ドラマが流行った一因には、個性あふれる刑事達の活躍とともに、その壮絶な殉職シーンが人気を博したという部分もあるでしょう。特にジーパンやマカロニなど、太陽にほえろの人気刑事たちの殉職シーンは社会現象とまでなりましたね。
しかし、太陽にほえろと並ぶ当時の人気刑事ドラマ、石原裕次郎率いる石原軍団が大挙登場した「西部警察」の個性派刑事たちの殉職場面も当時は大きな話題となりました。
ここでは西部署の刑事たちの最期を順を追っていきたいと思います。
第30話 タツ(巽総太郎) 演:舘ひろし
記念すべき(?)西部警察における殉職刑事の第1号となったのが、西部警察第30話(1980年5月4日放送)での「タツ」こと巽総太郎刑事(舘ひろし)です。
幼稚園の送迎バスに仕掛けられた爆弾を外し、バスを守るために爆弾を持って離れたところで爆弾が爆発し、その爆風を受けて殉職しました。
西部警察を見ていた、あるいは見ているファンであれば、「え?」となるでしょう。そうです、舘ひろしさんは大門軍団の刑事として最終回までバリバリ出ていたからです。
実を言いますと、舘ひろしさん演じるタツは西部警察30話で殉職しましたが、第109話には同じく舘ひろしさんの演じる「ハト」こと、鳩村英次刑事が登場し、鳩村は最終話まで大門軍団の中心的存在として活躍するのです。
そう、皆さんの多くが印象として覚えている西部警察の舘ひろしさんといえば、ハトこと鳩村英次刑事の方なのです。しかし、ハト登場の前に舘さんは壮絶な殉職を一度遂げていた・・というわけです。今では珍しいパターンですが、昔は同じドラマに違う役どころで同じ役者さん、というのは割とありましたね。まあ古き良き時代だったという事でツッコむのは野暮ってもんですかね(笑)。
殉職したタツの代わりに大門軍団入りしたのが、「リュウ」こと桐生一馬刑事(加納竜)です。
第54話 ジン(兼子仁) 演:五代高之(ごだいたかゆき)
第1話からの西部警察署・大門軍団のオリジナルメンバーであるジンこと兼子仁刑事も殉職した刑事の一人です。
若手の爽やかなイケメン刑事なのですが、いかんせん団長をはじめ、タツやリキ、ゲンさんなどアクの強い個性派揃いの大門軍団の中では影が薄かった感は否めません。正統派過ぎたという事でしょうか。でもそれが逆説的にいうと、ジンの存在価値を高めていたともいえます。わたしはアクの強い大門軍団の一服の清涼剤的存在として凄く好きな刑事でしたね。
結婚を約束した婚約者がおり、本庁昇進試験も目前に控えた充実の時に婚約者の父が絡んだ密輸事件を単独で捜査、犯人グループとの壮絶な銃撃戦の末に銃弾を浴びて殉職しました。死の間際に婚約者への指輪を大門に託して絶命するシーンは感動ものです。
殉職したジンの代わりに大門軍団入りしたのが、あの「ジョー」こと北條卓刑事(御木裕)ですね。
第122話 リキ(松田猛) 演:寺尾聡(てらおあきら)
このリキも大門軍団オリジナルメンバーの一人です。演じたのは今じゃ超大御所俳優、当時は「ルビーの指輪」のミリオンヒットで超人気歌手でもあった寺尾聡さん。超大物俳優、宇野重吉さんの息子さんという超サラブレッドでもあります。
レイバンのでっかいグラサンがトレードマークで、初期メンの中では大門軍団の飛車角的存在といってもいい程重要な刑事でしたね。
そのリキの最後は壮絶でした。
警視庁への栄転話が持ち上がったが大門軍団への愛着や強い想いから悩むリキ。そんな中で発生した、凶悪犯罪組織による無差別狙撃事件。組織の仕掛けた爆破時間が迫る中で、自動車で敵地へと突っ込んだリキは自動車から出たところを全身に銃弾を浴びて壮絶な死を迎えました。まさに壮絶・・そんな言葉がぴったりの殉職シーンでした。
リキの殉職によって、西部警察の一つの時代の節目が終わったという感じでした。それだけの存在感を放った刑事でしたね。その証拠に、リキが殉職したわずか3週間後に、西部警察part1は最終回を迎えたのです。
PART235話 ハマさん(浜源太郎) 演:井上昭文(いのうえしょうぶん)
西部警察では各シリーズで必ずベテランのおやっさん的なベテラン刑事がいました。PART1では、「谷さん」こと谷大作刑事(藤岡重慶)、あしたのジョーの丹下段平役でも有名な個性派俳優さんですね。PARTⅢでは「チョーさん」こと南長太郎刑事(小林昭二)、初代ウルトラマンの科学特捜隊のムラマツ隊長役や仮面ライダーシリーズの立花藤兵衛役で、特撮ファンにはレジェンド級の人気を誇る俳優さんです。
そんなベテラン刑事枠の浜さんでしたが、ベテラン刑事の中では唯一の殉職となりました。これは演じた井上昭文さんのスケジュールの都合もあったのだとか。
ともあれ浜源太郎刑事は、西部警察PartⅡ35話で警察に恨みを抱く元警察官の連続殺人犯を追い詰めて銃撃戦を演じ、殉職します。最期は養女を気遣い、謝罪の言葉を述べて息を引き取りました。若い刑事の殉職もカッコいいですが、ベテラン刑事の殉職はまた別の味がありますね。必見の1話です。
Part3最終回(第69話) 団長(大門圭介) 演:渡哲也(わたりてつや)
ド派手なカーチェイスや銃撃戦、テレビドラマとは思えないような大掛かりなセットでのアクションシーンなど、この「西部警察」シリーズはしばしば刑事ドラマの歴史を変えた革命的ドラマとも言われています。
そんな西部警察の大門軍団を率いてきた団長こと大門圭介にも最期の時が訪れました。当然、大門の死をもって西部警察という名作にも幕が降ろされることとなります。最終回という事です。
大門団長の最期の敵は国際テロ組織の藤崎礼次。演じるのはあの原田芳雄さん。まさに大門の最期の敵に相応しい超大物俳優です。
国際テロ組織の藤崎たちと凄絶な銃撃戦を演じ、その一派を壊滅させたと思ったその時に、大門の体を一発の銃弾が貫きます。致命傷となったその銃弾を受けた大門の周りに大門軍団が駆け寄ります。
ハト(舘ひろし)、大将(柴俊夫)、チョーさん(小林昭二)、イッペイ(峰竜太)、ジョー(御木裕)、ジュン(石原良純)・・大門軍団の刑事たちに見守られながら、大門は息を引き取ります。そして捜査本部では小暮(石原裕次郎)の元にも大門殉職の報がもたらさるのでした・・
最終回は何と3時間スペシャル!!DVDなどでも見ることが出来ますが、最終回の名に相応しい豪華さです。とにかくスケールがデカいのです。まさに時代を作ったドラマの最期を飾るのにふさわしい力作ですね。
ところで、2004年に制作された西部警察のスペシャルドラマでは捜査課長として渡哲也さん演じる大門圭介の生存が確認できます(苦笑)。団長は「ハト」(鳩村刑事)が引き継いでいます。細かいツッコミは野暮という事にしておきましょう(笑)。
番外編:Part3第5話 オキ(沖田五郎) 演:三浦友和(みうらともかず)
番外編としたのにはわけがありますが、それは後述します。
まずはオキこと沖田五郎刑事について。オキはPart2からレギュラー入りした元キャリア組の刑事で、演じたのは当時30代だった三浦友和さん。角刈りがカッコよかったですね(笑)。
沖田刑事の体の中(腰部)には以前被弾した銃弾による爆弾を抱えていました。骨膜炎を発症するのは時間の問題といわれており、ある意味いつ爆発してもおかしくない時限爆弾のようなものだったのです。
そしてその時は来ました。Part3の第5話でついに骨膜炎を発症。死期を悟った沖田は、一人雪の積もる雪山へと姿を消したのです。その後沖田がどうなったのか・・ドラマでそれを示唆する事はありませんでした。
番外編としたのはこの理由からです。殉職というのはどうか?さらに生死も不明であるという事からです。もちろん西部警察ファン的立場としては、オキは殉職として扱いたいですが、一般的には「?」という意見もあろうかという事でこのような扱いとさせていただきました。
刑事の殉職シーンといえば「太陽にほえろ」だけじゃなく「西部警察」も忘れるな!
というわけで、西部警察署の大門軍団の殉職した6人(5人?)の刑事達をご紹介しました。
殉職シーンといえばなんといっても「太陽にほえろ」が有名なのですが、実はこの西部警察シリーズもかなりの殉職者を出しているんですよね。
西部警察はやはりその特色からも、派手なアクションや銃撃戦、カースタントなどが注目されがちなのですが、壮絶に散っていった大門軍団の刑事たちにももっと注目してもらいたいというのが、当時リアルタイムで西部警察見てた世代の正直な感想ですね。
それにしても、スーパーZやマシンX、RS-1、2、3のプラモデルにハマっていたころを思い出してしまいますね。あれ全部残ってたら価値あったと思うんだけどなあ・・東京に出ている間におかんに全部捨てられてしまったんだよなあ・・(涙)。
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