浅見光彦や竹村岩男(信濃のコロンボシリーズ主人公)など、数々の名キャラクターを生んだ日本を代表する推理小説家・内田康夫氏原作の登場人物たち。その活躍は特に2時間ドラマなどで見る事が出来るのですが、そんな内田康夫作品ではお馴染みの人気キャラクターの一人が岡部和雄警部でしょう。
「信濃のコロンボシリーズ」ではレギュラー出演者としてお馴染みの岡部警部ですが、自身が主人公のドラマも数多く作られており、様々な名優が岡部和雄という人物を演じてきました。
ここではそんな岡部警部が登場する2時間サスペンス作品をご紹介したいと思います。
TBS/恋はミステリー劇場「女子大生危険な片思い」主演:西郷輝彦(さいごうてるひこ)
2時間ドラマ最初の岡部和雄の主演作品は、昭和62年(1987年)に放映されたこちらの作品となります。
ドラマ作品名 | 制作本数 | 放送日時 | 主演 | 放送局 | ドラマ枠 |
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女子大生危険な片思い | 1作 | 1987年(昭和62年)7月12日 | 西郷輝彦 | TBS系列 | 恋はミステリー劇場 |
原作は内田康夫氏の「倉敷殺人事件」で、正式タイトルはサブタイトルを含めて「女子大生危険な片思い~倉敷殺人事件」となっています。放送枠の「恋はミステリー劇場」というドラマ枠は毎週水曜日の9時からの1時間半というかなり中途半端な(汗)ドラマ枠であり(後枠は水曜ドラマスペシャル)、その意味では厳密に言うとこのドラマは2時間ドラマではないといえます(しかし敢えて単発2時間ドラマとして扱います)。以下主要キャストです。
岡部和雄役
西郷輝彦
草西英役
手塚理美
白神紀夫役
寺田農
上田刑事役
高岡健二
岡部警部役には元祖御三家で時代劇などで大活躍中だった西郷輝彦さん、そしてヒロイン役である草西英役には、山田太一原作・脚本の「ふぞろいの林檎たち」シリーズで大ブレイクした手塚理美さんという当時の超売れっ子コンビが起用されています。岡部警部初の主人公作品に相応しい大物起用といえるでしょう。
日テレ/火曜サスペンス劇場「吉備路殺人事件」主演:佐藤慶(さとうけい)
続いては、日テレの伝説の2サス枠「火曜サスペンス劇場」で放送されたこちらの作品です。
ドラマ作品名 | 制作本数 | 放送日時 | 主演 | 放送局 | ドラマ枠 |
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吉備路殺人事件 | 1作 | 1989年(平成元年)5月23日 | 佐藤慶 | 日本テレビ系列 | 火曜サスペンス劇場 |
原作は西郷輝彦さん主演ドラマと同じく、内田康夫氏の「倉敷殺人事件」です。サブタイトルを含めた正式タイトルは「吉備路殺人事件 東京-倉敷-富山 ラブホテル街の殺人に隠された恩讐のしがらみ」となっています。タイトルに含まれる「吉備(きび)」というのは倉敷を含む岡山県全域の旧国名のことですね。主な登場人物及び俳優さんはこちらとなっています。
岡部和雄役
佐藤慶
草西英役
加納みゆき
白神紀夫役
綿引勝彦
神谷刑事役
大杉漣
個性的な名脇役、さらには名悪役としても数々の作品を残された佐藤慶さんが主演というのがまず個人的には驚きました。それだけで見てみたいと思わせてくれるドラマです。ヒロインの草西英を演じた加納みゆきさんは1986~1987年(昭和62年~63年)に放送されたNHK連続テレビ小説(通称:朝ドラ)、「都の風」のヒロインを演じられた女優さんですね。
注目すべきは岡部シリーズのレギュラー登場人物といっていい神谷刑事役で、まだ俳優として今のようにブレイクする前の大杉漣さんが出演されている事ですね。北野武監督の映画「ソナチネ」で大きく注目を集める4年前のドラマです。38歳当時の大杉漣さんの演技にも注目したいですよね。
TBS/月曜ミステリー劇場「萩原朔太郎の亡霊」主演:高嶋政宏(たかしままさひろ)
続いての岡部警部シリーズは、21世紀に入って初の岡部警部主人公作品となります。
ドラマ作品名 | 制作本数 | 放送日時 | 主演 | 放送局 | ドラマ枠 |
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萩原朔太郎の亡霊 | 1作 | 2002年(平成14年)2月18日 | 髙嶋政宏 | TBS系列 | 月曜ミステリー劇場 |
原作は内田康夫氏初期作品の人気作、「萩原朔太郎の亡霊」です。サブタイトルを含めた正式タイトルは「内田康夫サスペンス 萩原朔太郎の亡霊 八王子-前橋-渋川 朔太郎の詩が呼び起こす3連続殺人!無実を訴える母が獄中出産した子供の復讐なのか」(長くてすみません涙)となっています。ちなみに萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)という人物は、大正~昭和初期にかけて活躍した偉人で、「日本近代詩の父」とも呼ばれている詩人です。以下配役をご紹介しましょう。
岡部和雄役
高嶋政宏
岡部ひで子役
田中律子
神谷刑事役
大仁田厚
岡部刑事ものではお馴染みともいえる、岡部刑事の部下、神谷刑事役にはなんと、元国会議員でプロレスラーの大仁田厚さんを起用するという大胆なキャスティングで攻めているドラマです(笑)。その他キャストとしては、現在は自民党所属の参議院議員の三原じゅん子さんとその夫である(2002年当時。2007年に離婚)コアラさんも夫婦で出演されています。やはり攻めたキャスティングですね(笑)。
フジ/金曜プレステージ「岡部警部シリーズ」主演:近藤真彦(こんどうまさひこ)
日テレ、TBSに続き、フジテレビが放送した岡部警部シリーズがこちらです。
ドラマシリーズ名 | 制作本数 | 放映期間 | 主演 | 放送局 | ドラマ枠 |
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内田康夫旅情サスペンス 岡部警部シリーズ | 4作 | 2006年~2009年 | 近藤真彦 | フジテレビ系列 | 金曜プレステージ等 |
フジテレビの金曜エンタテイメント(第1作目)及び金曜プレステージ(第2~4作目)というドラマ枠で4作品が放送されました。原作は3度目のドラマ化となった「倉敷殺人事件(1作目)」の他、「多摩湖半殺人事件(2作目)」「十三の墓標(3作目)」「シーラカンス殺人事件(4作目)」が採用されています。岡部警部を主人公とした映像化作品としては初のシリーズ化となった記念すべきドラマであり、なんといっても主人公があのマッチ(近藤真彦)というのが凄いですよね。近藤真彦さん以外の俳優さんは以下の通りとなります。
岡部和雄役
近藤真彦
上田刑事役
植草克秀(少年隊)
神谷刑事役
泉谷しげる
後輩の上田刑事役には主役の近藤さんと同じくジャニーズ事務所所属の少年隊の“カッちゃん”こと植草克秀さん、もう一人の岡部警部シリーズのレギュラー出演者、神谷刑事にはフォークシンガーの泉谷しげるさん。いやあなかなか濃いメンツです(笑)。しかし、ミュージシャンとしては当然として、俳優としての泉谷しげるさんもやはり素晴らしいです。個人的に演者としての泉谷さんの大ファンなのでもっともっとドラマや映画で活躍してほしいんですけどね。
TBS/月曜名作劇場「警視庁岡部班」主演:高橋克典(たかはしかつのり)
そして、岡部警部シリーズのファンにとっては待望の岡部主人公ドラマの新作が登場します。そのドラマが以下の作品です。
ドラマ作品名 | 制作本数 | 放送日時 | 主演 | 放送局 | ドラマ枠 |
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警視庁岡部班~倉敷殺人事件~ | 1作 | 2017年(平成29年)11月27日 | 高橋克典 | TBS系列 | 月曜名作劇場 |
TBSの月曜名作劇場で長らくシリーズ化されている、寺脇康文さん主演の「信濃のコロンボ」シリーズではレギュラーとしてすっかりお馴染みとなった高橋克典さん演じる岡部警部を主人公に据えた待望のドラマです。この第1作目の前の週(11月20日)には寺脇さん主演の「信濃のコロンボ」シリーズの第5作目が放映されており、そこには当然高橋克典さんも出演していらっしゃいます。2週連続の登場ということになるわけです。しかも、寺脇さん演じる竹村岩男は、次週の「警視庁岡部班」にもゲスト出演しているため、寺脇康文さんも2週連続の月曜名作劇場出演ということになるわけです。内田康夫作品ファンにはこたえられないコラボです。TBSさんもなかなかやりますな。
以下キャストをご紹介しましょう。
岡部和雄役
高橋克典
草西英役
朝倉あき
神谷幸助役
佐野史郎
坂口隆太郎役
田口浩正
松岡千秋役
中村静香
佐藤俊役
鈴木貴之
岡部和雄(高橋克典)を中心とした“警視庁岡部班”の面々は、佐野史郎さん、田口浩正さん、中村静香さん、鈴木貴之さんです。記念すべき第1作の原作は、西郷輝彦版、佐藤慶版、近藤真彦版でも実写化された「倉敷殺人事件」。他の俳優さんの以前のドラマと見比べてみるのも面白いかもしれません。と同時に、この岡部警部主演の岡部班も好評を得、高視聴率をマークしてシリーズ化されるのを祈りたいですね。
岡部警部が主人公ではなく、脇役として登場する2時間ドラマもあります。それらの作品についてはこちらの記事をご覧ください。
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