1980年代に立て続けに映画化、テレビドラマ化されて大ブームを巻き起こした小説家・本間洋平氏の「家族ゲーム」。
劇場版は大ヒットを記録し、テレビドラマは高視聴率を獲得したこの人気コンテンツは、昭和から平成にかけてキャストを変えながら未だ多くの人を魅了し続けています。
ここではそんな「家族ゲーム」の歴代作品や歴代主要キャストをご紹介していきたいと思います。
鹿賀丈史版スペシャルドラマ「家族ゲーム」(テレビ朝日/1982年)
ドラマ名 | ドラマ放送年 | シリーズ話数 | 放送曜日・時間 | テレビ局 |
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家族ゲーム | 1982年11月8日 1984年3月12日 |
2シリーズ | 月曜日21:02~22:48 | テレビ朝日 |
本間洋平氏の人気小説「家族ゲーム」の初映像化作品がこれ。テレビ朝日の2時間ドラマ枠「月曜ワイド劇場」で放送されたスペシャルドラマです。
以下がこのドラマにおける主要キャストです。
登場人物名 | 演じた俳優名 | 備考 |
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吉本義明 | 鹿賀丈史 | 茂之の家庭教師 |
沼田茂之 | 伊藤康臣 | 沼田家長男 |
沼田晶 | 岸本加世子 | 茂之の姉 |
沼田盛男 | ハナ肇 | 茂之の父 |
沼田妙子 | 南田洋子 | 茂之の母 |
原作やた作品との一番の相違点は、沼田家が兄弟ではなく姉弟であるという点でしょう。姉の晶がヒロイン的役割を果たす内容となっており、型破りで破天荒な家庭教師、吉本に惹かれていくという恋愛要素を含んだドラマとなっています。
主演の家庭教師・吉本役の鹿賀丈史さんの当時のヘアスタイルはアフロヘアであり、彼のトレードマークでもありました。
第1弾のスペシャルドラマが放映された約1年半後に同じ月曜ワイド劇場枠でSPドラマ第2弾が放映されました。
松田優作版映画「家族ゲーム」(ATG/1983年)
作品名 | 公開年月日 | 監督・脚本 | 製作/配給 |
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家族ゲーム | 1983年(昭和58年)6月4日 | 森田芳光 | にっかつ撮影所・NCP・ATG/ATG |
「キネマ旬報」の“1980年代の日本映画ベストテン”において堂々の1位に輝くなど、現在でも非常に評価の高い名作です。監督賞や主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞などにおいて各賞を総なめした文句なしの大傑作で、主演の松田優作さんはこの作品とこの1か月後に公開された「探偵物語」という大ヒット作での好演で一躍評価を高めました。
以下がこの劇場版における主要キャストです。
登場人物名 | 演じた俳優名 | 備考 |
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吉本勝 | 松田優作 | 茂之の家庭教師 |
沼田茂之 | 宮川一朗太 | 沼田家二男 |
沼田慎一 | 辻田順一 | 茂之の兄 |
沼田孝介 | 伊丹十三 | 茂之の父 |
沼田千賀子 | 由紀さおり | 茂之の母 |
家族とは何か、家族の在り方というのをシニカルに描いた本作品は衝撃をもって受け入れられ、数々の映画賞を受賞した傑作として現在でも高い評価を得ています。
新進気鋭の映画監督・森田芳光の名を世間に知らしめたこの映画ですが、演じた俳優陣も本当に凄かった。
不気味なオーラを醸し出す松田優作に何を考えているか分からない沼田家の人々…。松田優作さんの存在感は圧倒的だし、宮川一朗太さんのあの時代の若者のリアリティさ、そして映画監督としても名を成した伊丹十三さんは役者としても超一流だというのがこの作品を見て再認識してもらえるでしょう。
超一流の原作・脚本・演出・演技の全てが劇的な化学反応を起こして生まれた奇跡の名作だと思います。
長渕剛版連続テレビドラマ「家族ゲーム」(TBS/1983年)
ドラマ名 | ドラマ放送年 | シリーズ話数 | 放送曜日・時間 | テレビ局 |
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家族ゲーム | 1983年8月26日~9月30日 | 全6話 | 毎週金曜日20:00~20:54 | TBS |
家族ゲーム初の連ドラがこのTBS長渕剛版。時期的には鹿賀丈史版の1作目と2作目の間に制作されたものです。人気シンガーソングライターの長渕剛さんの初の連ドラ出演・主演という事で大きな話題となりました。
吉本と沼田家のキャスティングはこちらです。
登場人物名 | 演じた俳優名 | 備考 |
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吉本剛 | 長渕剛 | 茂之の家庭教師 |
沼田茂之 | 松田洋治 | 沼田家次男 |
沼田慎一 | 三好圭一 | 茂之の兄 |
沼田広造 | 伊東四朗 | 茂之の父 |
沼田紀子 | 白川由美 | 茂之の母 |
このドラマで茂之を演じたのは、人気実力派子役として10年のキャリアを誇った松田洋治さん。この茂之もまた良かったですよね。
兄の慎一を演じた三好圭一さんはあのジャニーズ事務所所属で、当時としては同事務所では珍しい俳優専門という立ち位置でした。その端正なルックスはこのドラマで大きな人気となり俳優としてブレイクしましたね。
なお、このドラマの続編として1985年4月5日にはスペシャルドラマ「家族ゲーム スペシャル アニキの家庭教師は花の女子大生・なのダ」が放映されました。吉本剛と沼田家のキャストはこのドラマと同じとなっており、本作以上に茂之の兄・慎一がフィーチャーされた内容となっています。これもまた三好圭一さんの人気の高さを示すものですね。
長渕剛版連続テレビドラマ「家族ゲームⅡ」(TBS/1984年)
ドラマ名 | ドラマ放送年 | シリーズ話数 | 放送曜日・時間 | テレビ局 |
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家族ゲーム | 1984年4月20日~7月13日 | 全11話 | 毎週金曜日20:00~20:54 | TBS |
長渕剛版家族ゲームの第二弾は第1作から8か月後に放送が開始されました。
同制作局による第2弾で主演の長渕剛さんや前作の沼田兄弟、その母親の配役は同じなのですが、ドラマ同士に一切繋がりはなく、吉本剛が主人公であるスピンオフ作品であることが番組冒頭でテロップにて説明されています。
登場人物名 | 演じた俳優名 | 備考 |
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吉本剛 | 長渕剛 | 茂之の家庭教師 |
殿村和人 | 松田洋治 | 殿村家次男 |
殿村豊 | 三好圭一 | 和人の兄 |
殿村作造 | 遠藤太津朗 | 和人の父 |
殿村泰子 | 白川由美 | 和人の母 |
スピンオフ作品という事で、このドラマの舞台は原作の沼田家ではなく殿村家の物語という事となっています。
1983年版と比べて変更となったのは父親役。この「Ⅱ」では時代劇の名悪役としても有名な遠藤太津朗さんが起用されています。ドケチで強欲なお父さん役がハマってましたね。このドラマや「銭形平次」での万七親分役が印象深いのでわたしの中での遠藤さんは「強面だが憎めないおじさん」というイメージなのです(笑)
母親役の白川由美さんによる長男・豊への呼び名「ユタちゃん」は一躍流行ワードとなり三好圭一さん本人へのファンからのニックネームとなった程です。
なお、このドラマには二谷友里恵さんが影のあるヒロイン的ポジション・殿村理恵役で出演。実母・白川由美さんと母娘共演を果たしています。郷ひろみさんとの電撃結婚はこの3年後の事ですね。
櫻井翔版連続テレビドラマ「家族ゲーム」(フジテレビ/2013年)
ドラマ名 | ドラマ放送年 | シリーズ話数 | 放送曜日・時間 | テレビ局 |
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家族ゲーム | 2013年4月17日~6月19日 | 全10話 | 毎週水曜日22:00~22:54 | フジテレビ |
雑誌「ザ・テレビジョン」のドラマアカデミー賞で作品賞や主演・助演男優賞など6冠を達成したのがこの櫻井翔版「家族ゲーム」です。現時点で家族ゲーム実写版の最新作品であり、平成時代唯一の映像化作品となっています。
人気アイドルグループ「嵐」の櫻井翔さんのサイコパスっぷりや壊れっぷりは本当に衝撃的でした。
こちらが平成版家族ゲームのキャストになります。
登場人物名 | 演じた俳優名 | 備考 |
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吉本剛 | 櫻井翔 | 茂之兄弟の家庭教師 |
沼田茂之 | 浦上晟周 | 沼田家次男 |
沼田慎一 | 神木隆之介 | 茂之の兄 |
沼田一茂 | 板尾創路 | 茂之の父 |
沼田加代子 | 鈴木保奈美 | 茂之の母 |
櫻井翔さんの怪演も素晴らしかったこのドラマですが、沼田家の面々も良かったですね。ドラマアカデミー助演男優賞の神木隆之介さんは文句のつけようのない名演。やはりこの人はものが違います。
茂之役の浦上晟周(うらがみせいしゅう)さんも子役としてキャリアを築いてきただけあって素晴らしい。兄との正反対のキャラも上手に演じましたね。大河ドラマ「真田丸」で真田大助役に決まった時にはテンションが上がりました。
結婚・出産・育児のため長らく女優業を休業していた鈴木保奈美さんはこのドラマで女優復帰。お笑い芸人の板尾創路さんは俳優として評価を高める好演でした。
名作と誉れ高い松田優作主演の映画で茂之を演じた宮川一朗太さんが、劇場版へのオマージュとして第1話と最終回でゲスト出演しているのも話題となりました。
平成という時代が終わり、令和という新時代に人気コンテンツの「家族ゲーム」は作られる事となるのでしょうか。だとしたら、次に家庭教師の吉本や沼田家の一家を演じるのは誰なのか。楽しみに新作を気長に待とうではありませんか。
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