少女コマンドーIZUMI(いずみ) 五十嵐いづみ主演・スケバン刑事後継枠も打ち切りになった幻のドラマとは?

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ドラマ

1980年代後半といえばアイドル黄金期の晩年期といわれています。来たるべき90年代のアイドル氷河期に向けて、アイドルたちが最後に光輝いた時代といってもいいかもしれません。

そんな80年代後半にはアイドル主演のアクションドラマが多く作られてブームを巻き起こしました。高視聴率を記録して話題になったものもあれば、話題にも上らずに消えていったものも当然あります。

ここではそんな80年代後半アイドルアクションドラマのひとつ、「少女コマンドーIZUMI(いずみ)」についてご紹介したいと思います。

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スケバン刑事になれなかった?視聴率一桁で打ち切りとなった悲運のドラマ

作 品 名:少女コマンドーIZUMI
放送期間 :1987年11月5日~1988年2月18日
放送時間 :毎週木曜19:30~20:00
放送回数 :全15話
音   楽:A-JARI
主   演:五十嵐いづみ
主 人 公:五条いづみ
最高視聴率:9.3%(第10話)
平均視聴率:7.12%
制   作:フジテレビ、東映

フジテレビと東映の製作で、毎週木曜日の夜7時30分からのアイドルアクションドラマといえば、アラフォー世代にはピンとくるでしょう。そう、大ヒットして3シリーズが放映された「スケバン刑事」ですね。この「少女コマンドーIZUMI」はスケバン刑事の後継番組だったのです。

本来この枠は「スケバン刑事4」が予定されていたといわれていますが、「スケバン刑事Ⅲ少女忍法帖伝奇」でシリーズ継続が途切れる事態となります。Ⅲで完全にスケバン刑事原作者の和田慎二氏の手から離れたドラマの、あまりに原作の趣旨から外れた内容に和田氏が激怒し、スケバン刑事はⅢで終了したというものです。それとは別としてⅢは視聴率的にも終盤で伸び悩んで尻すぼみに終わったというのも大きいかもしれませんね(序盤で20%以上を記録したが、終盤は一桁を記録)。

まあ確かにシリーズⅠが好きだったわたしも、Ⅲの特撮ヒーローものか??と思わせるような展開(学園ものの範疇から大きく逸脱)には「うーん…」な立場だったんで原作者の想いは何となくわかるような気がします。特にⅠが一番好きな人にはこういった気持ちは強いのではないでしょうか。スケバン刑事Ⅲに関しては、ドラマとしては面白いのですが「スケバン刑事シリーズ」として出すべきではなかったのかなというのが個人的感想ですね。

とにもかくにも、そんな中で「スケバン刑事Ⅳ」が頓挫したこの枠で始まったのが「少女コマンドーIZUMI」というわけなのです。

上記ドラマデータを見てもらえばわかる通り、平均視聴率は7.12%と大惨敗を喫し(スケバン刑事Ⅲは平均13.98%)、当初は1年間の放送という予定だったこの「少女コマンドーIZUMI」は、わずか3ヶ月半、話数にして全15話で打ち切りという憂き目を迎える事となってしまったのです。2月半ばで終了という緊急事態を受けて、後継番組には元おニャン子クラブで当時大人気だった渡辺美奈代さんを主演に据え、藤子・F・不二雄さん原作の「夢カメラ」を制作・5話放送して3月末の改変期まで繋げました。そして、1985年の「スケバン刑事」から始まった木曜夜7時半の東映実写ドラマ枠は終了という事となったのです。

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スーパーアイドル候補の美少女・五十嵐いづみ 吹き替えなしのアクションにも注目!

「少女コマンドーIZUMI(いずみ)」で主演したのが、五十嵐いづみさん。このドラマの始まる約7か月前に、映画「ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎行進曲」でデビューしたばかりの19歳のアイドルです。このドラマの始まる約4ヵ月前には1stシングルの「スカイバレー」で歌手デビューも果たしている、まさに期待のアイドルだったのです。

黒のロングヘアに目鼻立ちのハッキリしたエキゾチックな顔立ち…ハッキリ言ってこの時代の同世代のアイドルの中でもその美形ぶりは飛びぬけていたといってもいい、この五十嵐いづみさん。タイプ的には間違いなくカワイイ系ではなく美人系に分類されるでしょう。どこか影のあるそのオーラは、この「少女コマンドーIZUMI」における、殺人事件の犯人という汚名を着せられたうえにバイオフィードバック戦士に改造されるという過酷な運命に立ち向かう主人公の五条いづみ役にピッタリとシンクロしていたと思いますね。演技面では、最初はまあ「…??」な感じでしたが(汗)、回が進むごとに目に見える程上達していきましたね。アクションシーンに関して言えば、吹き替えなしで実際にこの五十嵐さんが演じているアクションは完全にスケバン刑事シリーズの歴代ヒロインたちを凌駕していると思います。地味ですが五十嵐さんの素晴らしいアクションシーンにも注目してもらいたい作品ですね。

同枠のドラマで主演した斉藤由貴さんや南野陽子さん、浅香唯さんに比べるとブレイクしたとは言い難かった五十嵐さんですが、この後もドラマのバイプレーヤーとして2001年頃まで芸能界で活躍し、2001年(平成13年)の結婚を機に芸能界を引退されました。その後は芸能界と一切の距離を取っており、完全引退といった状態ですね。

ハッキリ言って、五十嵐さんのデビュー作が予定通りのスケバン刑事シリーズだったら、或いはこの「少女コマンドーIZUMI」がスケバン刑事並みのヒット作となっていたら…スケバン刑事の主演三名に劣らないアイドルとなっていたのは間違いないでしょう。それだけの素材であったことは間違いないと思います。まあこの辺りの“運”も含めての芸能界での成功なんですよねえ…(涙)

三人組は引退した幻のアイドル、土田由美(つちだゆみ)と桂川昌美(かつらがわまさみ)

同枠の「スケバン刑事Ⅱ」と「スケバン刑事Ⅲ」では主人公サイドが三人組の女子高生だったのですが、そのプロットはこの「少女コマンドーIZUMI」でも受け継がれました。前述した主人公・五条いづみ(五十嵐いづみ)には二人の力強い仲間が加わって物語が展開していきます。

一人は五条いづみの親友であり最も信頼できる仲間となる「闇の学生中央委員会」の現役委員長、湯浅恵子役の土田由美さん。土田さんもこの年(1987年)デビュー組です。しかも映画で主演デビューという華々しいものでした。映画は人気ラジオ番組「三宅裕司のヤンパラ」の人気コーナーから生まれた「恐怖のヤッちゃん」で、主題歌も歌っています。期待の高さがヒシヒシと伝わる土田さんでしたが、そののちは目立った活躍もなく、シングルもこの「恐怖のヤッちゃn」だけで引退してしまいました。

もう一人の仲間が、お嬢様の三枝佐織。演じたのは桂川昌美さんでした。この桂川さんも土田さんと同じく、この「少女コマンドーIZUMI」以降は1988年にフジテレビで放送された大映テレビの「ザ・スクールコップ」にゲスト出演したくらいでその後は活動記録が途絶えています。恐らくは引退したのだと思われますね。

この五条いづみの仲間二人も、放送開始当初の演技力は「??」状態でしたが、徐々にフィットしていきましたね。当時のアイドルの中では普通の演技力だったのではないでしょうか。

ともあれ、この二人もこのドラマが当たって人気シリーズとなっていれば…と思わずにはいられない存在ですね。

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1980年代の隠れた名曲が並ぶ少女コマンドーIZUMIの歴代主題歌&挿入歌

続いては、主題歌と挿入歌です。スケバン刑事シリーズでは歴代の主題歌及び挿入歌はドラマ出演者の歌う曲が使用されていましたが、この「少女コマンドーIZUMI」ではどうだったのでしょうか。

少女コマンドーIZUMIの歴代主題歌 A-JARI(アジャリ)だけどセーラー服反逆同盟じゃないよ(笑)

A-JARI「JUST FOR LOVE」(第1話 – 第10話)
五十嵐いづみ「素直になれなくて」(第11話 – 最終第15話)

この「少女コマンドーIZUMI」の主題歌はもちろん主演の五十嵐いづみ…ではなく、当時大人気だった日本のロックバンド、A-JARI(アジャリ)でした。A-JARIで主題歌といえば、同時代に青春を送った人たちといえば、「セーラー服反逆同盟」の主題歌となったデビューシングル「SHADOW OF LOVE」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。「セーラー服反逆同盟」も高校を舞台とした女子高生主人公の実写アクションドラマでしたね。実はこの「SHADOW OF LOVE」、第1話でちょっとだけBGMとして流れております。他局のライバルドラマの主題歌を敢えて流す「少女コマンドーIZUMI」、そこにしびれる、あこがれるぅっ!!って感じでしょうか(笑)。まあ今ならまずありえない事ですが、さすがは80年代ですな。

すみません、前置きが長くなりました…で、この「JUST FOR LOVE」ですが、「SHADOW OF LOVE」で見せたメロディセンスはそのままに、さらに洗練されたサウンドを聞かせてくれます。特にキーボードなどはいかにも80’sって感じでたまりませんな(笑)。

ドラマ後半でようやく主演・五十嵐いづみさんの「素直になれなくて」が主題歌に登場です…が、個人的には挿入歌だった「エスケイプ」の方を主題歌にすればよかったのに…と思いますね。

少女コマンドーIZUMIの挿入歌一覧 朝倉紀幸作曲の隠れた名曲「エスケイプ!」

ちなみに挿入曲一覧もご紹介しておきましょう。

五十嵐いづみ「エスケイプ!」
五十嵐いづみ「スカイバレー」
五十嵐いづみ「未完成」
五十嵐いづみ「さよならの迷路」
五十嵐いづみ「あなたを見ていたい」

デビュー曲の「スカイバレー」、2ndシングルの「エスケイプ!」が使用されたりするなど、五十嵐いづみファンにはたまらん内容となっています。ちなみに「未完成」は「スカイバレー」のB面、「さよならの迷路」は「エスケイプ!」のB面、「あなたを見ていたい」は3rdシングルでドラマ主題歌の「素直になれなくて」のそれぞれB面となっています。

個人的イチオシはやっぱり「エスケイプ!」。ミュージシャンにして作曲家の朝倉紀行さん(当時は朝倉紀幸)作曲のノリのいい佳曲です。これもドラマがヒットしてれば間違いなく大ヒットしてた曲なんだろうなあ…なんて思ってしまう程に素晴らしい楽曲です。いやあ、やっぱり80年代っていいですね(笑)

湯江健幸や地井武男、渡辺裕之も…2007年にDVD化されてようやく日の目を

というわけで、フジテレビ木曜夜7時30分の東映製作アイドルアクションドラマ枠最後の作品となった「少女コマンドーIZUMI」をご紹介しました。キャストにおいては上述した五十嵐いづみさん、土田由美さん、桂川昌美さんの主人公三人組の他にも、相手役のイケメン役に湯江健幸さん、シブい刑事役には“チイチイ”こと地井武男さん、敵のラスボス役には渡辺裕之さん、となかなかの実力者が揃っていましたね。

シュワちゃんの出世作の一つでもある「コマンドー」やドン・ジョンソン主演の人気アメドラ「マイアミ・ヴァイス」など、当時大人気だった要素を大いに取り入れたうえで練られたドラマでしたね。ずっと前から歴史に埋もれてしまうには惜しいドラマだと思ってましたが、番組終了から19年を経た2007年にようやくDVD化が実現しました。さすがは天下の東映さん、フジテレビさんです、感謝感謝ってやつです(涙)。

DVD化を意外と知らない人が多いようなので、一人でも多く知ってもらえてまた再評価されるようだったら非常に嬉しいですね。

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