数々の映画やドラマ、舞台を手掛けた三木聡氏が脚本・演出を手掛け、オダギリジョーが主演を務めたテレ朝の金曜ナイトドラマ枠で2010年に放映された「熱海の捜査官」。
「時効警察」でタッグを組んだ三木&オダジョー作品という事で話題を呼んだこのドラマ、放映後も多くの謎を残して終了した同作品の唯一無二といっていいその世界観は未だ多くのファンから伝説のドラマと呼ばれている名作です。
複雑怪奇、難解なこのドラマは前述したように多くの謎を残して終了し、多くのファンはこのドラマの謎解きを試みました。
ここではそんな「熱海の捜査官」の謎について考察してみたいと思います。
ドラマの舞台、実在しない架空の都市「南熱海市」こそドラマの根幹に関わる壮大なネタバレ?
どこか浮世離れした感のある「熱海の捜査官」の舞台となった架空の都市、「南熱海市」。そこに住む人々も実に一癖も二癖もある人物たちでしたよね。「熱海の捜査官」の数多ある謎に迫るために最も必要なのはまず、この「南熱海市」が一体何なのであるのか?一体南熱海市とはどこなのか?ということを解き明かすという事です。そこを押さえておかなければその後の謎解きに参加する資格さえ得られないといってもいいでしょう。
まずこの「南熱海市」ですが、前述したように「架空の市」です。実際には南熱海市などという都市は世界中のどこにも実在しません(静岡県熱海市は存在しますが…)。
実在しない架空の都市を舞台とした映画やドラマというのは多く存在しています。なので架空の都市「南熱海市」を舞台として進行するドラマのストーリーにわたし自身も最初は何の違和感も感じてはいませんでした。
しかしどこにも存在しない「南熱海市」をドラマの舞台にした事自体が、このドラマにとっては実はとても大きな意味があったのです。この設定自体がドラマの根幹にかかわる大きなネタバレ、ヒントでもあったという事なのです。
南熱海市は設定上の架空の都市ではなく、この世のどこにも存在しない場所なのである!!
「南熱海市」を舞台とした「熱海の捜査官」、薄皮に包まれたような「南熱海市」のそこに住む市民を含めた異様さ、違和感の答え、それは…
南熱海市がこの世のものではない
ということです。ドラマの設定上の架空の都市ではなく、実際にこの世のどこにも存在していない場所、それが南熱海市だという事なのです。
制作者側から回答が示されていない以上、ここで考察して記述する事も全ては推理の範疇を出ないというわけですが、この「南熱海市がこの世のどこでもない場所」という事はほぼ100%間違いないといってもいいでしょう。
この南熱海市については、架空の都市を舞台としてドラマが進行するというドラマとしてよくあるパターンの一つだとわたしは思いこんでいたのですが、この「熱海の捜査官」に関しては全く違っていたというわけですね。このドラマ自体がこの世の物語ではないからこそのこの世のどこにも存在しない「南熱海市」がドラマの舞台だったというわけです。
うーん、「熱海の捜査官」恐るべし。三木聡恐るべし、ですね。
熱海の捜査官第1話の道路看板と謎の老人・蛇川方庵のセリフで示唆される南熱海市の真実
南熱海市がこの世のどこでもない場所であるならば、一体南熱海とはどこなのか??
禅問答のようになってしまいましたが(苦笑)、その答えも実は第1話「広域捜査官 星崎剣三」で既に重大なヒントがいっぱい出ていました。初見からここに注目していた人は本当に凄いと思います。わたしは通しで一度見た後の二度目で「ああ、こういう事だったんか」と気づいたクチですから(爆汗)
まずは第1話の最初のシーン、スクールバス消失の場面。この壮大な物語の全ての幕開けとなるシーンです。
道路に倒れていた謎の老人、蛇川方庵(じゃがわほうあん/演:小野栄一)がスクールバスの運転手の新宮寺有朋(しんぐうじありとも/演:山中聡)にこう言いましたよね。
「わしは死んだのか?」「ここは死後の世界か?」
そして広域捜査官の星崎剣三(ほしざきけんぞう/演;オダギリジョー)と北島紗英(きたじまさえ/演:栗山千明)の初登場シーン。
二人が黒い自動車に乗って南熱海市を走っている場面で道路の脇にこんな看板があります。
「南熱海は天国かも~ようこそ南熱海へ~」
「死後の世界」「天国」、この2つのキーワードからもわかるように既に第1話の時点で南熱海市がこの世ではないことが示唆されているのです。
後で見返してみると、まさに「やられた!!」って感じでしたね。
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