最近、4歳になるうちの娘が
「あさ~のそらをみあ~げて きょうといういちにちが~」
とよく口ずさんでいます。
「なんの歌??」
って聞いたら
「あさが来たの主題歌」
って答えたので、NHKの朝ドラ「あさが来た」の存在を知りました。
人気らしいですね。少し前に人気になった同じ朝ドラ「マッサン」や「花子とアン」の視聴率を早くも超えているというだけでもその人気の高さが分かるというものです。
さて、そんな「あさが来た」にまつわる気になるニュースをネットで見かけたのでちょっとご紹介します。
「あさが来た」は、実在の人物である広岡浅子という人物をモデルに描いた作品です。この広岡浅子という人物は戦前を代表する女性実業家であり、女性教育者としても名を残した女傑です。
そんな広岡浅子はもともと妾の子であるのですが、ここまでの放送ではそんな事情は全く触れられていません。さらに男子に恵まれなかった浅子の夫は後に妾を取って男子を産ませ、その男子は大同生命の社長になるのですが、この先の放送でもそんな「妾」に関する史実を無視するのでは?との推測の記事なのです。そして、この妾を登場させるかどうかで視聴者や識者の間で賛否両論巻き起こっているらしいのです。
んで、妾(めかけ)はどうすんの?
妾というのは「あさが来た」で描写されている時代、明治初期には当たり前の慣習でした。由緒ある家柄であればあるほど、当時の女性には男子を産むことが求められます。家名存続のためです。子供を産めなかったり、産んだとしても女子しか生まれなかったら、若くて健康な女性を妾として迎え入れ男子を産ませます。それでも駄目なら娘婿を迎えるという手もありますが、基本的には直系の男子に家を継がせるというのが基本でした。今の時代ですと、
「男尊女卑だ、けしからん」
とか
「時代遅れも甚だしい」
などという猛烈な批判を浴びる事でしょう。が、そういう時代だったのです。今の時代に至るまでの過渡期として必要な時代であったと自分は思います。このような時代を経たからこそ、今の時代があるんだと思っています。
このような「妾」に対する視聴者の声についてNHKは
「広岡浅子さんの人生をそのまま描くドラマではありませんので、ご理解をいただければ幸いです」
と答えているそうです。うーん、確かにドラマの主人公の名前は「白岡あさ」になっていますね。ノンフィクションを基にしたフィクションドラマってスタンスでしょうか。だとしたら、都合の悪い(というか、面倒になりそうな)部分は省くことが出来そうです。
「うん、こりゃあ妾はスルーだなw」
ってのが私の結論です(笑)
正直、朝ドラをほとんど見ない自分にとっては(というより時間的に見れませんw)、NHKが朝ドラでこの「妾」を取り上げようが取り上げまいがそんなに興味はありません。しかし、個人的な意見としては、主人公の生い立ちやその後の人生など、物語の根幹にかかわる部分を変えたり無視したりするのはどうかと思います。それなら、完全なフィクションにすべきです。実在の人物をモデルにしたドラマですが、あくまでフィクションですので・・・というのは何とも中途半端ですね。「逃げ道」を作っているような気さえします。色々な方面からの批判の逃げ道を。
負の歴史ももちろんあるけど、それも含めての今なんじゃないの?
今回の朝ドラに関する議論は、大河ドラマファンの自分的にはここ最近の大河ドラマにおけるもやもや感を思い起こさせる議論でもあります。
ここ最近の大河ドラマでやたらと気になるのが、登場人物の過剰なまでの平和主義です。
戦国時代の武将たちが口々に
「平和のための戦なのじゃ」「天下泰平のために戦うのじゃ」
とか言い、戦国を生きる女性たちが
「戦はなりませぬ」
などと夫である武将や大名に意見する場面など多くないですか?
ハッキリ言ってこんなセリフを聞くたびに興醒めしてしまいます。
当時は戦が当たり前の時代です。武士というのは戦が仕事です。戦で手柄を立てて出世していくのです。
武士にとっての戦とは、大名クラスにとっては家名存続と領地の拡大・維持のためであり、武将クラスにとっては出世のためなのです。織田信長や豊臣秀吉、徳川家康クラスの天下人ともなれば、「天下を統一して戦の無い世の中を」という部分も多少はあったのかもしれませんが、基本的にそれ以外の大名・武将クラスにとって戦は生きるための物であり、仕事という意味合いの強いものなのです。
「戦は嫌だ」などというのは、これはもう「仕事すんのやだよ」っていうのと同じような事なのです。
それほど戦国時代における戦というものは常に身近にあるものであり、生活の一部と言っていいものだったとも言えます。もちろん戦など無い方がいいというのはほとんどの人が思っていたことでしょう、それは間違いないと思います。しかしそれを公に口に出すのもはばかられる時代であり、まして女性が武士である主人に対して「戦はダメです」などと意見具申するなどあり得ないのです。男尊女卑の最たる時代と言ってもいい時代なのですから。
何度も言いますが、そんな時代だったのです。
歴史というのは、点ではなく線でとらえなければ全体の流れが見えて来ません。昔、予備校の先生に口酸っぱく言われた言葉です。
歴史全体の流れを見てみれば日本が現在のような(もちろん完全ではないにせよ)男女同権に近い社会になったのは歴史の積み重ねの結果であり、昔の男尊女卑の時代もまた現在に至る経緯として必然だったと思うのです。
だからこそ、妾だとか戦だとかという今で考えれば歴史の負の部分と言えるようなところもしっかり描いてほしいのです。そうする事によって視聴者にも正しい歴史認識が生まれると思うのですがどうでしょうか。
今回の朝ドラにせよ大河ドラマにせよ、何でそんなに当時の歴史背景とか価値観を無視して無理やり現在の価値観に当てはめようとするのでしょうか。
あくまで時代劇なのですから、当時の風習や価値観のままで何ら問題ないと思うのですが。逆に時代劇だからこそ現代ドラマで無理な表現もしやすいんではないでしょうか。というか、それが真実ですし。
真実を描いても真実をそらしてもどうせ苦情が来るのだったら、史実通りにやってみればいいのにって意見はわたしだけ?
コメント
「あさが来た」は朝ドラ初の幕末描写、五代友厚や大隈重信等の登場、そして「新選組!」からの土方登場!で期待度MAXでした。放送の初めのうちは骨太なドラマになる可能性も感じられる描写もありましたが、人気に比例して悪い意味で朝ドラらしいクオリティになった気がします。ただ、このドラマも観て、同じ時代設定で大河ドラマ(政府?目線)と朝ドラ(庶民目線)を並行に描いて、所々で交差させたりするとスケールの大きなドラマが出来るなあと妄想しました。
。
>>悪い意味で朝ドラらしいクオリティ
言い得て妙ですね。素晴らしい表現です。そんな「悪い意味での朝ドラらしさ」が最近の大河ドラマでも散見されているような気がしますね。
ちなみに巷では「朝ドラっぽい」という意見も見られる「いだてん」ですけど自分的には全くそうは思えません。
「あまちゃん」スタッフが揃っているためそういう意見が多いのでしょうが、「あまちゃん」は明らかに朝ドラの異端児中の異端児だと思います。だからこそわたしがかくもハマり、朝ドラ大好きなうちの母が脱落したわけで(苦笑)
話は変わりますが、りぞっとさんは「カーネーション」をご覧になった事はありますか?私はりぞっとさんが記事にて触れられていたような骨太さを朝ドラには期待しておりませんでしたが、ある意味その既成概念を破られた唯一の衝撃を受けた作品です。時代考証やカメラの映し出す空気感も最近の大河以上に完璧で、私が観たあらゆるドラマの中最も正確に戦中描写が出来ていると感じた作品です。朝ドラではタブー?の不倫も含めた辛い描写にも一切の妥協がなく、この作品を観た時にも先程の妄想=大河と朝ドラのコラボの可能性を感じておりました。
カーネーションって尾野真千子さん主演のドラマですよね。
見たことありませんが、うちの母が「あまり面白くなかった」と言っていたので見てみたいと思っていたドラマです。うちの母がダメなドラマはわたしにとって面白いものが多いので(笑)
ちなみにそんなうちの母は「いだてん」脱落しそうになってますが…
ありがとうございます、リキ太さんの情報で面白そうという思いが確信に変わりました(笑)
「カーネーション」は是非ともりぞっとさんに観ていただきたいドラマです。朝ドラに留まらず全てのドラマの中でも観る価値があると思います。かく言う私も最初は(いつもの事ですが)妻が録画しているのを観ているところを横から何となくチラ見をしていました。3週目くらいから観たのですが、「これはひょっとして朝ドラレベルから突き抜けた傑作では⁈」と…気がつくと妻そっちのけで夢中になっておりました。笑 BSでの再放送を心待ちにして再視聴しましたが、初回、いや初シーンから鳥肌ものでしたね。これ以上はネタバレしそうで…とにかく面白く、哀しく、凄まじく、一言では形容できないドラマです。朝ドラって基本的に「ながら見」前提で作られているようですが、カーネーションはそれが出来ません!唯一の欠点⁈が朝ドラの規格に収まらないこと…とも言われていました。お母様が面白くないと言われたのは途中のヘビー過ぎる容赦のない描写やヒロイン?のアクの強さ等かも知れませんね。妻も私ほどにははまりませんでしたので。大河やドラマ好きのりぞっとさんにはオススメできると思います!…つい熱くなって長文になってしまいました。(謝)
ありがとうございます、是非近いうちに見てみたいと思います。
尾野真千子さんは素晴らしい女優さんですよね。同世代では頭一つ抜けた存在といってもいいんじゃないでしょうか。もし来年の大河が立花宗茂夫妻なら尾野真千子さんの誾千代もいいかもですね。
尾野真千子さんの誾千代‼︎ まさにぴったりですね!さすがです。それならスイーツ路線を回避出来るかも知れませんねぇ。…いやいや、やはり脚本家次第ですかね?その意味では来年大河の脚本 池端さん、主演 長谷川博己さんは奇跡的な組み合わせな気がします。特に近年では。倉本聰さんは私も流石に厳しいと思いますが誰になるんでしょうねぇ、再来年大河の脚本家は。女性でも小山内さん辺りだとよいのですが。
小山内さんの「徳川家康」「翔ぶが如く」良かったですよね。「徳川家康」は家康を美化しすぎかと思いますけど、原作がそうなんでそこは仕方ないです(笑)
あと、女性脚本家なら内館牧子さんなんかもいいかも。「毛利元就」はホームドラマ要素もありましたが決してスイーツ路線ではなかったですしね。「平清盛」の藤本有紀さんの作品も是非見てみたいです。
こう考えると、昔の大河はホームドラマ要素もありましたがそれ以外の“軸”というか“本質”がしっかりしていたんですよねぇ。“大河ドラマらしさ”という軸が。
リキ太さん推奨の「伊勢新九郎」もしっかりした脚本家で大河化されるといいですね。
“大河ドラマらしい軸”、おっしゃる通りですよね。考えてみるとあの「独眼竜正宗」も見方によっては母と子の壮絶な”ホームドラマ”ですよね。ただし”壮絶さ”から一切逃げずに描くことが大河らしい軸にも繋がるのでは…等と考えてしまいます。その意味では最近の大河でも、りぞっとさんが挙げられた「平清盛」や「八重の桜(主に前半)」等は十分に大河らしい軸を感じております。とにかく男女を問わず「現代的(平和主義や男女同権)価値観」は絶対に取り込まずに脚本を書いて欲しいと切に願うのみですね!…もちろん家庭では男女同権どころか妻に従っていますよ、念のため。笑
うちは最近娘が妻寄りなので家庭内のパワーバランスが崩れがちとなっています。
まあ我が家もそれでいいとは思いますけど、娘が中学、高校と成長していったらどうなってしまうのか…先が思いやられます 爆汗
「徳川家康」「毛利元就」ともリアル視聴時はおっしゃっている欠点が気になって当時は低評価でした。家康は最近再視聴してあまりのクオリティーの高さにびっくりしました。特に前半の家康達に降りかかる尋常じゃない苦難の描写が全く容赦なくて最高でした!さすがは金八の脚本家!と。笑
元就は実は女性周りについて行けず視聴を途中でやめたのですが、りぞっとさんの記事を読んでやはり再視聴しました。こちらも大満足でした!(有難うごさいます!)
見所多数ですが、尼子の緒方さんと大内の細川さんが最高でした。「花の乱」の藤岡さんと親子で繋がっていることにとても感動しました。
「毛利元就」なんて当時はホームドラマ風味&コメディ要素の多さ故にわたしも「なんじゃこりゃ」って感想でした(苦笑)
大好きな尼子経久のカッコよさ補正抜きでも(笑)大河としてどうなの??って感じでしたから。
でも昨今の大河と比べるとよっぽど“大河”なんですよね。
こうやってどんどん自分の中でのハードルが下がってきちゃうのかと思うとちょっと切ないんですけどね…