【懐かしTVドラマ】大映テレビ歴代“赤いシリーズ” 主題歌や音楽担当、ナレーションや韓ドラとの共通点等

スポンサーリンク

視聴率低迷や広告収入の激減などによってここ何年かで大きく危機が叫ばれるようになったテレビ業界。

趣味の多様化や多チャンネル時代到来によるテレビ不況といわれている中、昔テレビを見ていた中高年層に向けた番組は増え続ける一方であるという空洞化も顕著になっている感があります。

いわゆるテレビ黄金期をテレビとともに過ごした中高年層にとっての思い入れのある番組はそれぞれでしょうが、わたしにとってのテレビドラマの黄金期を象徴する番組の一つが、1970年代を中心にTBSで放送されていた「赤いシリーズ」というテレビドラマシリーズです。

ここではシリーズ作品情報やキャストなど「赤い」シリーズの何たるかを説明していきたいと思います。

スポンサーリンク



スポンサーリンク

迷路、疑惑、運命、衝撃、激流、絆、激突、嵐、魂、死線‥全10作品の赤いシリーズとは

赤いシリーズとは前述した通り、TBSが放送し、TBSと大映テレビが製作したドラマシリーズです。ほとんどの作品が高視聴率を記録し、1970年代中期から80年代初頭にかけて以下のシリーズものが次々と制作されて大ヒットしました。

放送期間 ドラマタイトル 主演俳優(女優) 全話数
1974.10.4~1975.3.28 赤い迷路 宇津井健 26回
1975.10.3~1976.4.16 赤い疑惑 宇津井健 29回
1976.4.23~10.29 赤い運命 宇津井健 28回
1976.11.5~1977.5.27 赤い衝撃 山口百恵 29回
1977.6.3~11.25 赤い激流 宇津井健 26回
1977.12.2~1978.6.9 赤い絆 山口百恵 28回
1978.6.23~12.15 赤い激突 宇津井健 26回
1979.11.30~1980.3.28 赤い嵐 柴田恭兵 18回
1980.4.4~9.19 赤い魂 杉浦直樹 25回

以上が連続ドラマとしてのテレビシリーズとなります。山口百恵さんの引退記念として1980年(昭和55年)秋2週連続で放送されたスペシャルドラマも「赤いシリーズ」として扱われていますが、それがこちらのドラマです。

放送期間 ドラマタイトル 主演俳優(女優) 全話数
1980.11.7&11.14 赤い死線 山口百恵 2回

連続テレビドラマシリーズとして9作品、2週連続の2時間スペシャルドラマが1作品、この計10作品がいわゆる「赤いシリーズ」と呼ばれるドラマです。

主人公だけでなく脇役も超大物揃い!大映TVドラマ特有のキャスティング

わたしが小さい頃に再放送なども結構されていた事もあり、どれも見た事のあるものとなっています。なんせうちの母と祖母がテレビにかじりついてみていたという事もあり(苦笑)、わたしがまだ小学生の頃にもリアルタイムで見ていたものも多いです。

個人的にこの「赤いシリーズ」の顔といえば、山口百恵さんと宇津井健さん。この二人というイメージです。それ以外では、百恵さんと結婚する事となった三浦友和さんや名脇役の石立鉄男さん、大女優の岸恵子さんや個性派名優の三國連太郎さんや中条静夫さん、高橋昌也さん辺りが印象深いですね。結構お馴染みの俳優さんが何度も出演していらっしゃった記憶が強く、またその独特のキャスティングがこの「赤いシリーズ」、ひいては「大映ドラマ」の特異性にもつながっていたような気がします。

シリーズの各作品の出演者・キャストに関しては以下の記事をご覧ください。

TBS&大映テレビのドラマ“赤いシリーズ”歴代キャスト

とにかく若手も中堅もベテランも、信じられないような豪華俳優陣の共演となっています。高視聴率を記録するのも頷ける話なのです。

80年代大映作品、そして「冬ソナ」等2000年代韓流ブームの韓国ドラマとの共通点

大映ドラマシリーズの大きな特徴といえば、その展開のふり幅の大きさでしょう(笑)。もちろん赤いシリーズも例外ではありません。というか、「少女に何が起こったか」や「スクール・ウォーズ」、「不良少女と呼ばれて」、「乳姉妹」等に見られる80年代大映テレビの様式美の基礎となったのは他でもないこの「赤いシリーズ」といってもいいでしょう。その大きな要素を簡単にご紹介しますと、

  • 恵まれぬ生い立ちに育った主人公に次々襲い来る試練とそれに打ち克つストーリー
  • 次々に明らかとなる衝撃の事実とそれに連なる激動の展開
  • 他のドラマには見られぬオーバーアクションやハイテンション且つ大袈裟なセリフ回し

この辺りの大映ドラマ特有の要素というのは、この赤いシリーズで既に見られる特徴といってもいいでしょう(とはいってもまだネタ扱いはされていませんでしたが)。さらにこの赤いシリーズは、80年代における大映ドラマシリーズのみならず、その後に出てくることとなる、大きく速い展開で視聴者を翻弄し、1週見逃したら展開についていけないという、いわゆる「ジェットコースタードラマ」と呼ばれるドラマの原点となったドラマと言ってもいいでしょう。ちなみに代表的なジェットコースタードラマとしては、「もう誰も愛さない」や「あなただけ見えない」、「フェイス」などの90年代に放送されたフジテレビ系のドラマが挙げられると思います。

さらに、上記のドラマ的要素を見て、勘のいい読者はもうお気付きかもしれませんが、10年以上前に日本で大ブームとなったペ・ヨンジュン主演の“冬ソナ”こと「冬のソナタ」等の韓流ブームの火付け役となった韓国ドラマもこれらの特徴を持つドラマが多いですよね。韓流ドラマと大映ドラマの共通点については当時から多くの識者が指摘していました。ちょうど赤いシリーズなどを見ていた中高年層が韓流ブームの中心的世代であった事からも納得する結果と言えるかもしれません。

スポンサーリンク



木下忠治や菊池俊輔等、劇中音楽担当は日本を代表する大作曲家ばかり

さらに音楽を手掛けた作曲家の豪華さにも触れなければならないでしょう。以下が各シリーズの音楽を担当した作曲家の皆さんの一覧です。

作品順 音楽担当
赤い迷路 木下忠治
赤い疑惑 菊池俊輔
赤い運命 平尾昌晃
赤い衝撃 菊池俊輔
赤い激流 菊池俊輔
赤い絆 菊池俊輔
赤い激突 菊池俊輔
赤い嵐 菊池俊輔
赤い魂 木下忠治
赤い死線(SPドラマ) 宇崎竜童

「水戸黄門」のOPテーマをはじめとしたテレビ、数々の映画音楽などを手掛け未だ101歳でご存命の木下忠司さんに、これまた多くのテレビドラマやアニメ、特撮など数多の名曲を送り出した菊池俊輔さん、そして先日お亡くなりになった大ヒットメイカー、平尾昌晃さん。そしてSPドラマではミュージシャンとして、コンポーザーとして活躍中の宇崎竜童さんという、赤いシリーズを手掛けたのは日本を代表する超大物音楽家ばかりとなっています。間違いなくこの名作曲家たちの作ったドラマチックな主題曲や劇中曲はこの赤いシリーズの世界観に大きく影響を与えていました。

“歌姫”山口百恵だけじゃない!あぶ刑事のあの俳優や相棒のあの大物も歌う!

ドラマの音楽を手掛けた作曲は重鎮だらけなのですが、主題歌、劇中歌には有名歌手が歌ってヒットした曲もありました。こちらが赤いシリーズの歌詞入りの挿入歌、主題歌の一覧です。

作品名 歌手名 曲名
赤い迷路 ファウスト・チリアーノ 去り行く今(挿入歌)
赤い疑惑 山口百恵 ありがとうあなた(主題歌)
赤い運命 山口百恵 赤い運命(主題歌)
赤い衝撃 山口百恵 赤い衝撃(主題歌)/走れ風と共に(挿入歌)
赤い激流 水谷豊 草の夢(挿入歌)
赤い絆 山口百恵 赤い絆(レッド・センセーション)(主題歌)
赤い嵐 柴田恭兵 5マイル・ア・ヘッド(主題歌)/ミスティ(挿入歌)

以上が主題歌又は劇中挿入歌として使用された曲です。1作目の赤い迷路の曲以外はそのドラマに出演した俳優・女優さんが歌われています。昭和の歌姫、山口百恵さんは4作品で手掛けている他、水谷豊さんや柴田恭兵さんといった大物も若き日には主題歌を歌っていた(水谷さんは挿入歌)というのも、今の若い世代の人には意外に思われるかもしれません。

ちなみに「赤い迷路」の挿入曲を歌ったファウスト・チリアーノはイタリア・ナポリ出身の世界的な歌手です。テレビ朝日系列の人気刑事ドラマ、「特捜最前線」のエンディングテーマである「私だけの十字架」を歌った事でも有名な歌手ですね。

名優、名物アナウンサー、声優、ナレーター等個性派揃いの歴代ナレーション

「赤いシリーズ」、いや、大映ドラマの大きな特徴の一つと言っていいのが、あの独特のナレーションでしょう。

ストーリー展開を時には劇的に盛り上げ、時には視聴者を混乱させる(笑)、あのナレーションあってこその大映ドラマといってもいいでしょう。当然ながら赤いシリーズでもその大映ドラマの様式美は健在です(80年代以降の大映ドラマに比べればかなり正統派ですが笑)。以下、赤いシリーズの代表的な歴代ナレーターの皆さんをご紹介します。

作品順 ナレーション
赤い迷路 鈴木史朗(すずきしろう)
赤い疑惑 内藤武敏(ないとうたけとし)
赤い運命 若山弦蔵(わかやまげんぞう)
赤い衝撃 中江真司(なかえしんじ)
赤い激流 内藤武敏(ないとうたけとし)
赤い絆 城達也(じょうたつや)
赤い激突 内藤武敏(ないとうたけとし)
赤い死線(SPドラマ) 城達也(じょうたつや)

元TBSアナウンサーで、退職後もフリーアナとして「さんまのからくりテレビ」のご長寿早押しクイズなどで活躍した鈴木史朗さんが記念すべき第1作目を担当されてたんですね。

そして名優・内藤武敏さんが3作品を担当され、往年の名ナレーター・城達也さんがスペシャルドラマを含む2作品、そして「レディーキラーボイス」の異名をとった若山弦蔵さんと、「仮面ライダーシリーズ」(昭和ライダー)のナレーションで超有名な中江真司さんがそれぞれ1作品づつ担当されています。

俳優陣も豪華ですが、ナレーターもこれまた豪華。この時代を代表する美声とナレーション技術の持ち主・プロフェッショナルが集まったといった感があります。まさに赤いシリーズの大人気を支えた陰の功労者の皆さんですね。

シリーズおススメ作品は?中条静夫さんのお父さん振りと美人三姉妹のあの作品

というわけでいかがでしたでしょうか?テレビの黄金期ともいえる時期、まだトレンディドラマという概念すらなかった時代にドラマの帝王といわれたTBS&大映テレビの「赤いシリーズ」。

まさに昭和という時代の良さを存分に味わえる佳作だとわたしは思っています。

最後に個人的に最も思い出深いものを挙げさせていただくとすれば、「赤い衝撃」と「赤い激突」ですね。「赤い衝撃」は山口百恵さんと三浦友和さんも勿論ですが、個人的に百恵さんのお父さん役の中条静夫さんが凄く印象深いです。個人的に中条さんといえばこの役か「あぶない刑事」の近藤課長ですね。

「赤い激突」はお母さん(松尾嘉代)が植物人間となってしまう&安楽死という衝撃の展開と、安楽死の真犯人を巡るサスペンス調の展開が子ども心ながら非常に面白かったです。さらに坂口良子さん、秋野暢子さん、森下愛子さんという大谷家の三姉妹の目も眩むばかりの美しさ。昔の女優さんのレベルの高さをまざまざと見せつけられること間違いないでしょう。

とにかく、逆に今の時代だからこそ受けそうな気がするこの「赤いシリーズ」。時代が1周回ってもう一度このドラマにスポットライトが当たる日がいつか来ることを願いたいですね。

 

赤いシリーズにおける主人公以外の歴代主要キャストについては以下の記事をご参照ください。

TBS&大映テレビのドラマ“赤いシリーズ”歴代キャスト

コメント