仕事の多様化で“引きこもり”問題解消?高齢化・長期化する引きこもりの特効薬は完全自宅勤務の雇用形態

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日本人ほど勤労の意識が高い国民は世界でも稀であるという事は、かなり昔から言われて来ました。

現在では高度経済成長期やそれ以前などに比べると日本人の勤労意識も大分変ってきたと言われていますが、それでもまだまだ日本人は世界の中では十分な「働きアリ」であると言えます。

しかし近年問題化してきているのが、「引きこもり」の増加です。

ここではその問題点や今後の展開などを見ていきたいと思います。

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内閣府が発表した長期化・高齢化する引きこもりの実態とは?

ちょうど先日、産経ニュースでこんな記事が載っていました。

「引きこもり」推計54万人 長期化・高年齢化が顕著に 「7年以上」35% 30代後半が倍増 内閣府が全国調査

詳しくは記事を見ていただくとして要点を説明すると、引きこもりの人たちの年齢が高齢化しつつあり、しかも長期化している傾向が顕著であるという事です。

内閣府による調査対象年齢は15歳から39歳の人がいる5000世帯なのだそうで、引きこもりの全体数自体は前回調査よりも25%近く減ったらしいのですが、高齢者の割合が増えてしかも引きこもり期間が長期化しているとの事。

引きこもりの期間が3年以上と答えた世帯はなんと75%以上にも昇っているという事です(うち7年以上は約35%)。引きこもりになった年齢も高齢になってからの人が多く、非常に気になるデータですね。

営業マン時代に経験した仕事上の経験

ちなみに、わたしは以前外回りの仕事をしており、一般家庭を訪問する機会も多かったのですが、こんな事がありました。

顧客であるお宅から商品の事について話が伺いたいと連絡を貰い、その時間に家へと伺いました。チャイムを鳴らしても誰も出て来ません。玄関の戸は鍵がかかっていません。玄関を開けて玄関口から大きな声で呼びますが誰も出て来ません。奥からはわずかにテレビの音が聞こえます。体調でも悪いのではないかと思い、何度か呼ぶと足音が聴こえて来ました。ホッとしていると、40代前後くらいの男の人が恐ろしい形相で出て来ました。

髪はぼさぼさで、目付きは鋭くて敵意がむき出しになっています。思わずビックリしているわたしに対して、恐ろしいほど感情をこめない声で

「何なん?誰?」

と聞かれます。

「すみません、△△の××と申します。○○さんからお話がしたいという事で伺ったのですが・・」

すると話を遮るようにというか食い気味に

「おらん。帰って」

と言われました。

それ以上食い下がれるような雰囲気でもなく、若干怯んでしまったわたしは「ではまた後日改めてお邪魔致します」と言って家を出ました。

すると、家の前でこちらを見ているお婆ちゃんが・・わたしと目が合うと、静かに手招きをしています。お婆さんの下へ行くとそのお婆さんが、

「○○さんとこの息子さんじゃろ?ずーっと家に籠りっきりでなあ。仕事もせずになあ。○○さんもように困り果てとるわ。○○さんだったらこの家の裏の離れで暮らしてるからそっちに行ってみなされ」

と。

結局離れの場所を教えてもらい、無事商談となったのですが、本宅は息子さんが暮らしており、両親はその裏の古い離れで暮らしているのだそうです。思わず気の毒になってしまいましたが、やはりこういう世帯って結構あるんだろうなと思ってしまったエピソードでしたね。

身近に結構多くいる40代以上の「引きこもり」

わたしの周り、というか中学高校の同級生などでも引きこもりになってしまっているという事例を何人か知っています。親友の兄弟でも何人かいます。わたしの住んでいる町内にもそのような世帯がいくつかありますし。

わたしの友人やその兄弟という事は、年齢的には40代以上という事になります。先ほど出した事例も恐らく40代前半か30代後半だったと思われます。

上の産経ニュースの記事で出ていた調査と言うのは、39歳以下の人たちの事であり、実際にわたしの周りの40代以上の人たちでもこれだけ「引きこもり状態」となっている人たちがいるのです。

恐らく全世代を対象にすると恐ろしい統計が出るのではないでしょうか。

産経ニュースの記事以上に高齢化・長期化のデータが顕著になるのは間違いないと思いますね。

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厚生労働省が定義する引きこもりとは?

引きこもりといえば、どのような状態をいうのでしょう。厚生労働省は「引きこもり」をこのように定義しています。

「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」時々は買い物などで外出することもあるという場合も「ひきこもり」に含める

まあ大体皆さんのイメージ通りなのではないでしょうか。

しかし個人的には気になる点が1点あります。

それは、冒頭の「仕事や学校に行かず」と言う部分です。

仕事や学校に行かないというのはわかるのですが、では、「仕事や学校には行っていないし家族以外との交流も無く自宅に引きこもっているが、仕事はしている」状態の人もこの引きこもりに含めるのでしょうか。

わたしはそこに最も興味を惹かれたのです。変わってますかね(苦笑)。

仕事にはいかないが、仕事をしている人は引きこもりなの?

人によっては、「“仕事や学校に行かず”と書いてあるんだから仕事してないって事でしょうが」と思われるかもしれません。

しかしわたしの知人の兄弟は、年に数回しか外出しないといういわゆる引きこもり状態なのですが、仕事はしているという人がいます。きちんと自分が暮らせる収入を確保し、食費などで家にも毎月入れているそうです。

知人の兄弟は主にネットの仕事発注サイト内での仕事を請け負って収入を得ているそうです。

例えばウェブサイトの記事を作成したり、アンケートに答えたりという軽作業から、独学で勉強して最近ではウェブデザインなども請け負っているそうです。そしてそこで知り合った仕事の発注者にその実力を見込まれ、今では指名されて仕事の依頼が来るらしいです。

発注主とのやり取りはその仕事発注サイト内でやり取りしているらしく、元々人付き合いが苦手だというその知人のお兄さんにとっては全くストレスが溜まらないのだそうです。

どうでしょうか。この知人の兄のような人は「引きこもり」に定義されているのでしょうか。

雇用形態の多様化によって変わっていく「引きこもり」の定義

そんな例は特殊だよ!と思われる人もいるかもしれませんが、わたしはそうは思いません。

実際にわたしの親戚の女の子にも完全に自宅にいながら仕事をしている子がいます。彼女は引きこもりではないのですが、主婦です。まだ1歳にも満たない子どもの育児に追われており、今は自宅で子育てしながら保険関係の仕事をしているらしいです。

仕事関係の情報のやり取りなどはメールやスカイプで行われており、仕事の納品や発注も全てデータでやり取りし、仕事は自宅にあるパソコンで行えてしまうとの事です。出社・退社の必要はもちろんなく、時間も納期を守ればそれでOKとの事なので、時間の融通は利きます。まさに子育て中の主婦には持って来いの仕事ですよね。

そしてこの形態は、「職場の雰囲気に合わなかった」とか、「人間関係が苦手」とかと言う理由で引きこもり状態になってしまった人にとっても実に理想的な雇用形態と言えるのではないでしょうか。

もちろん、引きこもりになってしまった人たちの原因はさまざまであるので、全員に当てはまるわけではないですが、このような雇用形態が増えていく事によって、仕事には行かないが仕事はしているという人が増えるのは間違いないと思いますね。

そしてそのような人を「引きこもり」と定義していいのかどうか・・国はもう一度引きこもりの定義をしっかり定めなければならないかもしれませんね。

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