最近何かと話題を振りまいてくれているお笑い芸人の厚切りジェイソン。
この話題というのが、本業のお笑いのものではなく、ジェイソンから見る「日本観」についてのものだというのがなんだかなーって感じなのですが(苦笑)、けっこう日本人にとっては考えさせられる材料となるのも確かなのですよね。
つい先日は、長い下積みを積まなければならない日本の「寿司職人」の風習についてテレビ番組で発言し、話題となりましたが、ツイッターでも色々発信しているみたいですね。
今話題になっている彼のツイートがこれ。
「ルールだから守ろう」という怠けた説明が嫌い。「この理由だからルールなんだ」だと、より守りたくなる。
シンプルですが、非常に深いツイートだと思います。この「ルールだから」のルールっていうのがどのような範疇なのかがよくわからないので、これに関しては何とも言えませんが、ある意味アメリカ人である彼らしい考えだなあと思いましたね。
厚切りジェイソンさんは、合理的・論理的に物事を説明してほしいという概念が強い人って事なんでしょうね。日本の文化や風習を否定しているわけではないので、そこはまた別問題です。さらにここには「日本の」ルールとは書いてありませんので、なにをさすのか漠然とし過ぎていて議論すらできませんね(苦笑)。
厚切りジェイソンとは?
お笑い芸人の厚切りジェイソンは、お笑い芸人としての顔意外に、IT企業の役員である事も非常に有名ですね。むしろ、そっちの稼ぎの方が上かもしれません(苦笑)。
わずか17歳で飛び級してミシガン州立大学に入学するほどのIQの高さを誇り、以前は日本の一流企業である、「旭化成」でソフト開発なども行っていたほどのスキルを持つ凄腕ビジネスマンでもあります。
2007年には日本人と結婚し、2人の娘さんを授かります。なるほど、妻と娘2人を持つ父親としては、収入が不安定な芸人稼業と並行して、企業勤めもするというのは当たり前かもしれませんね。
この厚切りジェイソンの名を一躍世間に知らしめたのが、ちょうど1年前に行われたピン芸人日本一を決める、「R-1グランプリ2015」での活躍。芸歴4か月での決勝トーナメント進出、そして初の外国人決勝トーナメント進出と、記録づくめの厚切りジェイソンは、決勝トーナメントBグループ3位で惜しくもファイナルステージ進出こそ逃したものの、その外国人独自の目線から見た漢字ネタなどのインパクトにより、一躍ブレイクを果たす事に成功。
前途したような、高知能かつ優秀なビジネスマンであるというような意外性も相まって、お笑い番組以外にも呼ばれる人気タレントとなったのです。
死刑制度と銃社会は合理的?
わたしは彼のツイッターでの発言を、いかにもアメリカ人らしい考えと言いました。
それは、アメリカという国は非常に歴史の浅い国であるという事です。歴史が浅いとはどういうことかというと、歴史に学ぶ機会が少なかったという事です。これは別にいい悪いを言っているわけではないですよ(汗)。
歴史を重ねてきた中で少しづつ積み重なってきた考え方や制度などには、当然合理的でないものも多くあります。合理的ではないが、歴史の中でこうするのが一番いいという経験則的な物の捉え方ですね。日本にはそれがたくさんあります。現代人の中には疑問を持つ人もたくさんいるでしょうし、異国の人間から見ればなおさらです。
こういった長い歴史の無い国はどうかというと、必然的に全てを理論的に考えがちになりますね。合理主義です。これはこういう理由でどう考えてもおかしいので、こうする方がいいだろうという事です。全ては理詰めで決まります。
でも、例えば日本人の自分からしてみても、合理主義のアメリカでおかしい事はあります。
いい例が死刑制度と銃社会ですね。
アメリカでは、日本以上に死刑制度に対する抵抗が高く、死刑制度を廃止した州も多くあります。これは、法律で殺人を禁じているのに国が人を殺すのはおかしいという、合理的な考えに基づいたものです(もちろんそれだけではありませんが)。
ところが、殺人事件の多くで凶器として使用されている拳銃は簡単に手に入るのです。おかしくないですか?
銃を規制してしまえばいいのに、それとは反対の方向へと進んでいるのです。銃には銃で対抗すればいいと。結果、多くの人が拳銃を持つ社会となっています。目には目を、歯には歯を、の考え方といってもいいかもしれませんね。
銃がはびこって凶悪事件が増えているのならば、一般人も銃を持って防衛すればいい、そんな考え方に思えますね。まあ、ある意味合理主義と言えば合理主義なのかもしれませんけど(冷汗)。
寿司職人の従弟制度も非論理的な代表格?
日本は古くからある歴史があります。文化もあります。そんな中で、日本には独自の考え方が育ってきました。それは、今なお日本の中に深く根付いています。
彼がテレビ番組で発言した、寿司屋の従弟制度もそうですね。「飯炊き3年、握り8年」とも言われる程、長い長い修行を必要とする寿司屋の従弟制度に彼が疑問を持つのは当然だと思います。今はネットがあり、調べればすぐに何でも瞬時に答えが出る時代です。こんな制度は非効率的であると、合理性を重んじるアメリカ人である彼が思うのも当然と言えば当然です。
日本人の中にも同じ考えを持つ人は沢山います。この寿司職人の議論も、元はと言えば実業家の「ホリエモン」こと堀江貴文氏のツイートに端を発したものですし。
しかし、この寿司屋の従弟制度の考え方は、ある意味凄く日本的であるとも言えますね。日本の社会は基本的に昔から長い下積みを得ながら、少しづつ出世していくというものです(戦国時代の下剋上のような特殊な時代は除きますw)。能力さえあれば、年齢や経験年数など関係なく出世すべきという考え方はある意味、日本人とは相いれないものでもあるかもしれません。
とにかく合理性を重んじるアメリカ人的実力主義の考え方と、長い歴史の中で培われてきた日本人的「忍耐主義」的な考え方との違いとも言えるかもしれませんね。
ならぬことはならぬという考え
日本も随分と様変わりしてきました。
日本人の中でも、アメリカ型合理主義的な考え方の人たちが増えてきたように思いますね。
確かに日本の社会も変わらなければならない部分は沢山あると思います。ていうか、変わらないと世界の中で生き残っていけないと言った方がいいかもしれません。グローバル社会の中では、否応なく変化を迫られるのです。
しかし、個人的には一見すると全く理不尽に見える考え方や風習にも一理あるのではないかと考えます。それは先人たちが、これまでの歴史の中で培ってきた経験の中で生まれたものだからです。
2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の中で少し話題になった言葉があります。
「ならぬことはならぬものです」
という会津藩の教えですね。この文言の前に七つの教えがあります。
一、年長者の言ふことに背いてはなりませぬ
二、年長者には御辞儀をしなければなりませぬ
三、虚言を言ふ事はなりませぬ
四、卑怯な振舞をしてはなりませぬ
五、弱い者をいぢめてはなりませぬ
六、戸外で物を食べてはなりませぬ
七、戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ出典:Wikipedia
この七つの訓示の後に続くのが、先に言った「ならぬことはならぬものです」という言葉です。七はさすがに時代にそぐわないものですが、他は日本の基本的な道徳にかなったものばかりです。
これらに理由が必要でしょうか。「なんで年上のいう事を聞かないといけないの?」とか、「なんで弱い者いじめや卑怯な事をしたり、嘘を言ったりしたらダメなの?」と聞かれても、「ならぬことはならぬものです」としか言いようがないかと思います。これらの道徳の基本的な理由も全て説明づけて教えなければならないのが、現代の教育というものなのでしょうか。
もちろん、「ダメっつったらダメ」では思考停止状態に陥ってしまう危険性も高いですが、基本的な善悪や倫理観、道徳概念のようなものくらいは、この「ならぬことはならぬ」という考え方もある程度必要なのではないかなと最近特に思うようになってきましたね・・。
思いついた事をそのまま書いていたら、途中からジェイソンさんのツイートとは関係ない話になっちまいましたね(笑)。でも厚切りジェイソンさんのツイートとか発言って、日本人が日本の事を見直すきっかけになるから非常に有意義だと思います。炎上を恐れずにこれからも気付いた事とかどんどん発言してほしいですよね。
コメント
こんにちは
私は米国型の合理主義に賛成です
ただ社会福祉制度の充実が大前提ですが
失業しても心配がないという様に
どちらかというとドイツ型ですかね
少なくとも日本社会は無駄ばかりです
独裁政治の抑止になる天皇制を残したまま、それ以外の日本的価値観など徹底的に破壊し尽くすべきです
合理性と論理性に重んじた社会は、今以上にフェアネスではあります
もはや日本人の民族性に限界が生じているとしか思えませんね
このままでは先の大戦と同じ轍を踏みますよ
絶対に
少なくとも会津藩の教えもちゃんとした理由を説明しようとすればできるはずです。文化大革命や、歴史上の社会的混乱の事例を挙げ、社会的秩序の重要性に絡めて説明しようとすればいくらでもできるはずです。それをしないで頭ごなしに表面的なルールを強要するのは指導者の怠慢だと私は考えます。そもそも合理主義はヨーロッパで生まれた概念では?歴史の浅い深い云々の話はもう一度再考すべきだと考えます。