長らく親しまれてきたアニメにおいて、声優さんを変えるというのは非常に難しいものだと思います。
そのアニメが長く人気を誇ってきたものであればあるほど難しいでしょう。
例えば「ドラえもん」。
1979年の放送開始以来、四半世紀以上に渡って親しまれてきた、ドラえもんの大山のぶ代さん以下の主要声優を2005年に総入れ替えしました。ドラえもんは勿論の事、のび太、ジャイアン、スネ夫、しずかちゃんと言った主要キャラクターの声は、もうこの人の声でなければドラえもんではない!というほどに世間に浸透していた中での交代劇です。
この声優総とっかえは当時大変な賛否両論を巻き起こしましたが、今ではすっかり定着しています。
しかし、やはりそのアニメのコアなファンが多ければ多いほど声優を変えるという行為は大きな反発をくらうという事を「ドラえもん」の声優交代は身をもって教えてくれましたね。
この「ドラえもん」以上に長きにわたる歴史を持ち、「ドラえもん」以上にコアなファンが多いと言われている人気アニメも4年ほど前に主要メンバー5人中3人のキャスト変更を施しました。
「ルパン三世」です。
ルパン三世役変更に伴う反響
このルパン三世の声優というと、テレビ第2シリーズ以前から見ている層だと、
ルパン三世 山田 康雄
次元大介 小林 清志
石川五右衛門 井上真樹夫
峰不二子 増山江威子
銭形幸一 納谷 悟朗
でほぼ固定されているのではないでしょうか。実際、テレビ番組などで紹介されるときもこの方々が声優として起用される事が多いですよね。
まあ平成以降にファンになった人たちは、ルパン三世=栗田貫一という人も多いかもしれません(山田康雄氏は1995年に逝去、後任が栗田貫一)。
しかし、山田康雄さんの急逝によるルパン役の後任選びもなかなか話題になりました。急きょ代役に抜擢されたのが、当時モノマネ四天王として大人気であり、ルパン三世のモノマネをレパートリーとしていた栗貫こと栗田貫一。テレビスペシャル版「くたばれ!ノストラダムス」で代役を務めたあと、正式に山田康雄氏の後任としてルパン三世役に決定します。
当時はネットなど無かった時代で、今ほどに世間の反応は分かり辛かったのですが、わたしの周りのルパンファンは「やっぱルパンは山田康雄以外考えらんねえわ」って意見が多かったですね(ちなみにうちの嫁は20年経った今でもそう言ってますがw)。
しかし、わたしはそんなに違和感ありませんでした。まあ栗貫のモノマネ技術の高さゆえに声がそっくりだというのもありますし、晩年の山田さんは病気の影響からか、70~80年代の頃のルパンのあのツヤとハリのある声では無かったからという事も大きかったと思います。
当時ネットがあったならもっと厳しい意見なども表に出ていたかもしれませんが、思ったほど批判は大きくなかったような気がします。それと、ファン的にはやはり後任うんぬんよりも山田さんの死のショックでどうこう言う気力もなかったのではと思いますね。それくらい山田さんはルパン三世そのものでしたから・・
ルパン三世全盛期にたった一度だけ行われた声優総入れ替え
実は、山田康雄さんがお亡くなりになられる前にたった一度だけルパン三世の声優陣を総入れ替えして作られた作品があります。
劇場用映画の第4作であり、ルパンシリーズ初のOVA作品として制作された1987年の「ルパン三世 風磨一族の陰謀」がそれです。
この作品でルパン、次元、五右衛門、不二子、銭形の5人の声優を一気に代えました。
ルパン三世 山田 康雄 → 古川登志夫
次元大介 小林 清志 → 銀河 万丈
石川五右衛門 井上真樹夫 → 塩沢 兼人
峰不二子 増山江威子 → 小山 菜美
銭形幸一 納谷 悟朗 → 加藤 精三
代わった声優さんのメンツもすごいですね。どの声優さんも前任者に劣らぬ実力者ばかりです。
しかしこの変更は各方面から大変な反発を食らってしまいます。
ルパン役を務めた古川氏には、多数の誹謗中傷やクレームが送り付けられたと言います。
ルパン三世の前任者、山田康雄氏は原作者のモンキー・パンチ氏へ交代劇の怒りをぶつけ、結局この時に残ったしこりは山田氏が亡くなるまで溶けなかったとモンキー・パンチ氏は語っています(実際は声優交代に対する前任者へのスタッフの説明不足らしい)。
様々な波紋を広げたこの交代劇は結局、多数の意見を取り入れた結果、次作のテレビスペシャル「バイバイ・リバティー」で元の声優に戻る事となります。
この交代は栗田氏の時とは違って、山田さん存命中での交代であったうえに、ルパン三世もその声優陣も全盛期であり、さらにその他の主要キャスト全てを交代するという要素が重なったものだと思います。交代した声優さんには何も罪はないのですが・・因果な商売ですね(泣)
現在のルパン三世声優陣はどうなの?
そして現在のルパン三世の声優陣がコチラ
ルパン三世 栗田 貫一
次元大介 小林 清志
石川五右衛門 浪川 大輔
峰不二子 沢城みゆき
銭形幸一 山寺 宏一
テレビアニメ第2シリーズ期で残っているのは次元役の小林清志さんのみです。20年を超える栗貫さんは別として、4年前に交代した浪川さん、沢城さん、山寺さんはどうでしょう。
わたしは栗貫さんの時と同じく、違和感なしです(不感症なんじゃねーの?って意見はスルーしますw)。そりゃあ、わたしは世代的にはあの固定メンバーで育った世代ですから最初は多少の違和感はありました。ありましたが、その違和感もすぐに無くなりました。むしろ今の方が好きかもしれません。
これにはわたしのルパン三世デビューがテレビアニメの第1シリーズだったことが大いに関係しているのかもしれません。緑ジャケットのルパンですね。
実はこの第1シリーズは石川五右衛門役が大塚周夫さんで峰不二子役が二階堂有希子さんなのです。つまり第2シリーズの黄金メンバーではないルパンでデビューしたのです。従って、声優が代わる事に対して免疫があったのかもしれませんね。
余談ですが、この第1シリーズがわたしは一番好きです。ハードボイルドでカッコいいルパンと次元、ファンキーでワイルドな音楽、より日本人らしいフェロモンと小悪魔っぽさを醸し出す不二子。見てない人は見てみてください。ハマるかもしれませんよ。
現在の声優さんと過去の声優さんの違い
現在のルパン三世を見ても、その他のアニメを見ても思う事なのですが、今の声優さんってホントに凄いなあと思いますね。
昔の声優さんって役の声を聴けば「あ、○○だ」ってわかるほど個性的な声優さんが多かったのですが、逆に言うとどんな役を演じてもあまり変わらない方が多かったような気がします(汗)。それに比べると、今の声優さんって一聴しただけでは誰かが分からないことが多いです。有名な声優さんでもね。これはけなしているわけではありません。役の幅が広いという意味です。役によって声質とかも全然違いますし、役に憑依する力というようなものが今の声優さんは凄いと思います。
ベテラン声優でも銭形役の山寺宏一さんのようにどんな役でもこなしてしまうモンスターもいますけどね(笑)
とにかく今の声優さんのレベルの高さは凄いと言わざるを得ませんね。声優を養成する専門学校に通ってしっかりと基礎を学んでいる人が多いのもありますし、何よりも昔より声優を志す人が増えたのが大きいでしょうね。分母が大きくなればなるほど優れた人材も多く現れるわけですから。
1月8日にはテレビスペシャル版「イタリアン・ゲーム」が放送されるなど、世代を超えて愛され続けるルパン三世。
最近見ていなかったという昭和ルパン世代もこれを機に新世代のルパン三世を見てみてはいかがですか?
ちなみにルパン三世と同じく長い歴史を誇っている「ゲゲゲの鬼太郎」の歴代声優さんについての記事もご覧ください。
コメント
凄く分かりやすかったです!
全作品観た訳では、ありませんが、当時ルパンの声違う!Σ( ̄□ ̄;)
違和感イッパイ
栗田さん何故? 山田さん亡くなった事を後で、知りショック( TДT)
ヤッパリ、ルパンは山田さんしか無い!ずっと少ししか観なくなり、
受け入れるまで時間かかりました。
長年好きだったルパン山田さんも亡くなったから、それでルパンを観ないなんて、くやまれなくなるやろう!
「元気なら俺だって、今でも続けてらぁ~」
ルパンが言いそう!
他の3人も、違和感なく今は、観てます!