1986年(昭和61年)に週刊少年ジャンプで連載が開始されて以来、30年以上が経った現在でも現役の作品として数多くのファンを獲得し続けている、漫画界の鬼才・荒木飛呂彦の「ジョジョの奇妙な冒険」。
時代と主人公を変えて繰り広げられるこのジョジョの世界における登場人物名やスタンド名等には、洋楽ファンでもある作者・荒木飛呂彦が洋楽バンド名や曲名、アルバム名から名づけたものがたくさんあります。
ここでは、ジョジョの記念すべき第1シリーズとなった第1部「ファントム・ブラッド」の登場人物における洋楽関連の元ネタをご紹介したいと思います。
- ジョナサン・ジョースターの愛称・ジョジョの元ネタとなった名曲
- ジョナサンの妻、エリナ・ペンドルトンの由来となったザ・ビートルズの名曲
- 最強最悪のラスボス、悪の権化ディオ・ブランドーの元ネタとなったへヴィ・メタルバンド(ヴォーカリスト名)
- スピードワゴン(財団)の元ネタとなったアメリカン・ロックバンド
- ウィル・A・ツェペリ及びペイジ、ジョーンズ、プラント、ボーンナムの元ネタバンド
- 波紋の達人、老師トンペティの元ネタとなった洋楽ミュージシャン
- 老師トンペティの弟子、ダイアーとストレイツォの元ネタとなったブリティッシュバンド
- 謎の東洋人・ワンチェンの元ネタとなったイギリスのポップユニット
- ウインドナイツロッドの少年・ポコの元ネタのアメリカンカントリーバンド
- タルカス、黒騎士ブラフォードの元ネタのプログレアルバム、ミュージシャン
ジョナサン・ジョースターの愛称・ジョジョの元ネタとなった名曲
ジョジョの奇妙な冒険第1部「ファントムブラッド」の主人公、ジョナサン・ジョースター。ジョジョの血統はこの男から紡がれていく事となります。そんなジョナサンの名前箱の名曲から名づけられました。
冒頭いきなり「ジョジョ(JOJO)」から始まるこのビートルズ19枚目のシングル「ゲット・バック」。何度か曲中に登場するこの「ジョジョ」という名詞から名づけられたのが、ジョナサンのニックネームである“ジョジョ”。そしてこのニックネームは代々の主人公へと受け継がれていくこととなったのです。
ちなみにこの「ゲット・バック」の曲中のジョジョとは、ジョン・レノンの事を指しているといわれていますね。
ジョナサンの妻、エリナ・ペンドルトンの由来となったザ・ビートルズの名曲
ジョナサン・ジョースターの妻となり、ジョージを生みジョセフの祖母となったエリナ・ペンドルトン。ディオに奪われた唇を泥水で濯ぐ、ジョースター家のゴッドマザーに相応しい気高き女性の元ネタとなったのがこの曲。
1966年8月5日に発売された、ザ・ビートルズの13枚目のシングル曲となった「エリナー・リグビー(Eleanor Rigby)」、ポール・マッカートニーの曲で、後にレイ・チャールズやアレサ・フランクリンという超大物にもカヴァーされた名曲ですね。ちなみに本国イギリスでこの曲と両A面としてカップリングされたのがあの「イエロー・サブマリン」です。
曲タイトルのエリナー・リグビーというのはこの曲に出てくる架空の老女の名前であり、ビートルズの地元であるリバプールのスタンリー通りにはこのエリナ―がベンチに座っている銅像がある事からもこの曲の人気がお分かりいただけるのではないでしょうか。まさにジョナサンの妻に相応しい元ネタですよね。
最強最悪のラスボス、悪の権化ディオ・ブランドーの元ネタとなったへヴィ・メタルバンド(ヴォーカリスト名)
ジョジョにおけるラスボスの中でも最も人気のある悪のカリスマ、ディオ。複数部にわたって登場するこの強大なラスボスの元ネタはあのハード・ロックバンド(のヴォーカリスト)でした。
レインボーやブラック・サバスといった超メジャーバンドのヴォーカリストとして大活躍していたロニー・ジェイムス・ディオが1982年に満を持して結成した自身のバンドがこの「ディオ(DIO)」です。この曲は1stアルバム「ホーリー・ダイヴァー」のタイトル・トラックです。
その存在感、実力ともにハード・ロック/へヴィ・メタル界では圧倒的であり、ハード・ロック界ではカリスマとして君臨していました。残念ながら胃ガンで2010年に67歳の生涯を閉じましたが、未だ彼の残した数多くの作品は多くのファンに愛され、カリスマと仰がれる存在であり続けています。
スピードワゴン(財団)の元ネタとなったアメリカン・ロックバンド
第1部の主人公、ジョナサン・ジョースターの良き理解者であり仲間でもあり、戦闘における解説者(笑)でもあるロバート・E・O・スピードワゴン。第二部にも登場し、死去した第三部以降も彼の設立したスピードワゴン財団は物語に大きな役割を果たす事となる重要人物でもあります。彼の元ネタがこちら。
1980年代にアメリカを席巻した産業ロックと呼ばれたロック・バンドの一つ、REOスピードワゴンです。この曲は彼らの代表曲であり初の全米1位ヒットとなった「キープ・オン・ラヴィン・ユー(Keep On Loving You)」です。苦労人(ヴォーカリストの名前はケヴィン・クローニン…狙ってませんからね汗)と呼ばれたこのバンドが一躍トップに躍り出た名曲です。現在でも精力的に活動している息の長いグループですね。
なお、井戸田潤と小沢一敬によるお笑いコンビ、スピードワゴンのコンビ名の由来はこのジョジョのスピードワゴンというのは有名な話ですね。
ウィル・A・ツェペリ及びペイジ、ジョーンズ、プラント、ボーンナムの元ネタバンド
吸血鬼となったディオと戦うための波紋をジョナサンに教えた師・ウィル・A・ツェペリ。ジョナサンを救うために犠牲となったその壮絶な死は衝撃的でしたね。そんなツェペリの元ネタはこの超大物バンド。
1968年にデビューして世界最高のロック・バンドの名声をほしいままにしたイギリスのレッド・ツェッペリンです。ビートルズに代わってロック界の頂点に立った伝説的な存在ですね。この曲は「レッド・ツェッペリンⅢ」のオープニングを飾る、彼らの初期の代表曲の一つ、「移民の歌(Immigrant Song)」です。プロレスラーのブルーザー・ブロディの入場曲としても良く知られている曲ですね。
あ、あと、第1部に出てくるディオの僕の吸血鬼、「ペイジ」「ジョーンズ」「プラント」「ボーンナム」の4人(ダイアーに瞬殺された雑魚キャラです)。この4人もそれぞれツェッペリンのメンバーの名前が元ネタとなっています。ギタリストのジミー・ペイジ、ベーシストのジョン・ポール・ジョーンズ、ヴォーカルのロバート・プラント、ドラムのジョン・ボーナムですね。
波紋の達人、老師トンペティの元ネタとなった洋楽ミュージシャン
ジョナサンに波紋を教えて波紋戦士に育てたウィル・A・ツェペリに波紋を教えた老師・トンペティ。ツェペリに波紋を教え、更に彼の壮絶な死まで予言したこのトンペティにも元ネタとなったミュージシャンが存在します。
ブルース・スプリングスティンらとともにハートランド・ロックとも呼ばれたロック・ミュージシャンのトム・ペティ。上のMVは彼が率いた「トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ」最大のヒット作となったアルバム「破壊(Damn the Torpedoes)」の1曲目を飾る「逃亡者 (Refugee)」です。この中で歌っている金髪の男性がトム・ペティです。
2002年に「ロックの殿堂」入りを果たしましたが、2017年に鎮痛剤の過剰摂取が死因となって66歳で亡くなりました。合掌。
老師トンペティの弟子、ダイアーとストレイツォの元ネタとなったブリティッシュバンド
老師トンペティの弟子であり、修行を共にしたツェペリの親友でもあったダイアーとストレイツォ。ダイアーはディオによって粉々にされるという最期を迎え、ストレイツォは第二部でジョセフと戦う事となります。この波紋使いの二人にも元ネタの洋楽バンドがあります。
いやあ、シブい!!マーク・ノップラーの乾いたギターはやっぱり何度聴いても最高ですな(笑)。1970年代後半~80年代にかけて流行したポップソングには目もくれずに唯我独尊の音楽道を貫き、世界のロックシーンのトップに立ったいぶし銀のバンドです。上にご紹介した曲は3000万枚以上を売り上げてダイアー・ストレイツ最大のヒットアルバムとなった「ブラザーズ・イン・アームス」からシングルカットされた「マネー・フォー・ナッシング」。ポリスのスティングが参加した全米ナンバーワンソングです。
ダイアーとストレイツォという名前はいうまでもなくこのダイアー・ストレイツを別々にしたものですね。
謎の東洋人・ワンチェンの元ネタとなったイギリスのポップユニット
最初は謎の怪しげな東洋人風商人、後半はやたらすばしっこく動くディオの下僕、というワンチェン。ラストバトルで頭だけになったディオを救い出し、あの船上の悲劇を引き起こした物語のキーマンでもあります。そんなワンチェンの元ネタバンドはこちら。
1980年代に活躍したジャック・ヒューズとニック・フェルドマンによるイギリスのポップユニット、ワン・チャン(Wang Chung)。これまた懐かしいですね(笑)。サウンド的にもキャラクター的にもいかにも当時のイギリス!!って感じのミュージシャンでしたね。この曲は彼ら最大のヒット曲である「エヴリバディ・ハヴ・ファン・トゥナイト」。全米ビルボードチャート最高位2位を記録しました。
ウインドナイツロッドの少年・ポコの元ネタのアメリカンカントリーバンド
ウインドナイツロッドの少年、ポコ。タルカスとの「双首竜の間」での戦いの際、危険を顧みず扉を開けた勇気溢れる少年です。そのポコ少年の元ネタがこちらのアメリカンバンド。
アメリカのベテランカントリーバンドのその名もずばり、「ポコ(POCO)」です。解散したバッファロー・スプリングフィールドのメンバーらが中心となって1968年に結成された、古き良きアメリカを感じさせてくれるバンドですね。この曲は解散状態から復活した1989年にヒットした「Call It Love」。後期ポコの代表曲の一つですね。
タルカス、黒騎士ブラフォードの元ネタのプログレアルバム、ミュージシャン
ディオによって地獄の底から復活した黒騎士ブラフォードとタルカス。ゾンビとなっても騎士の誇りを失わなかったブラフォードに、プライドを失ってクズに成り下がったタルカスは好対照でしたね。そんな二人の名前の元ネタですが、まず「タルカス」は、かつての人気プログレッシブバンド、エマーソン・レイク・アンド・パーマー(通称:ELP)が1971年に発表した2ndアルバム「タルカス(Tarkus)」であるといわれています。
一方のブラフォードは、ELPと同じくプログレッシブ・バンドに分類される「キング・クリムゾン」や「イエス」、「ジェネシス」といったスーパーグループを渡り歩いたドラマー、ビル・ブラフォード(ブルーフォード)が元ネタとなっています。プログレッシブ界を代表するテクニカルなドラマーですね。なおこのブラフォードが在籍していた「イエス」の代表曲の一つである「ラウンドアバウト(Roundabout)」はアニメ版ジョジョの1stシーズンのエンディングテーマに選ばれています。
以下、「ラウンドアバウト」イエス全盛期のライブ動画です。
これがまた名曲なんだなぁ。この曲をエンディングにチョイスするセンスに脱帽です、素晴らしいですね。プログレッシブ・ロックというと少し敷居の高い印象を持たれる方も多いでしょうが、そんな先入観を取っ払ってくれる名曲です。
他の部や他のキャラに関するジョジョの奇妙な冒険の登場人物やスタンド名の元ネタについてはこちらの記事をご覧ください。
ジョジョ元ネタ集3部「スターダストクルセイダース」承太郎一行やディオら敵キャラも
ジョジョ元ネタ集4部「ダイヤモンドは砕けない」東方仗助や岸部露伴にに吉良吉影ら
ジョジョ元ネタ集5部「黄金の風」ジョルノやアバッキオ、ブチャラティや暗殺チームにラスボスも
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