全日本男子バレーは何故負けたのか?開催国特権で指名した第2戦の中国戦の敗戦で流れは決まった・・

5月28日土曜日から始まったリオ五輪男子バレーボール世界最終予選。

全7試合のうち5試合が終了し、全日本男子バレーチーム、通称「龍神NIPPON」は1勝4敗で8チーム中7位に沈んでおり、2試合を残して早くも敗退が決定。リオオリンピックへの道を断たれました。

正に惨敗といっても過言ではない敗戦に、日本中から落胆の声と同時に批判の声も上がっています。

そんな全日本の今後や最終予選を見て思った事などについて書いてみたいと思います。

Sponsored Link

W杯バレー2015の大活躍で五輪出場が期待された男子バレー

わたしは今回の全日本男子には凄く期待していました。正直、女子はほぼ確実にリオへの切符を手に入れるだろうと思っていましたが、男子も50%50%の確率で勝負になるんじゃないかと思っていました。

理由は昨年のワールドカップバレーで見せた勢い。世界の強豪とも互角に渡り合い、過去3大会で2勝~3勝しかできなかった日本男子が5勝を挙げました。負けた試合もロシア、イランにフルセット負け、アメリカとポーランドからもセットを奪うという、本当にここ二十年くらいは見られなかった程の活躍ぶりでした。

原動力は何といっても、石川祐希、柳田将洋、山内晶大、出来田敬らの若い力の台頭です。彼らはサーブにレシーブにスパイクにブロックにと世界を相手に互角に渡り合いました。これならオリンピックに行ける・・と思ったのはわたしだけではないと思います。それほどまでに日本はかつての強かった頃の日本を思い起こさせるほどのバレーをしていました。

もちろん、ワールドカップバレーは上位2チームにオリンピック出場権が与えられるオリンピックの予選も兼ねた大会だったのですが、上位2チームという狭き門という事もあって、参加した国のほとんどのチームの本音としては、ワールドカップ後の大陸予選や最終予選が本番という思惑があったはずです。そこに向けてこの全日本の若い選手たちが徹底的に研究されるであろうことは想定済みでした。しかし、それでもそれを打ち破ってくれるのでは・・と思わせるほどに期待を抱かせたのがワールドカップでの全日本男子でした。

研究されつくしていた日本男子 跳ね返せなかったのも実力か

オリンピック最終予選というプレッシャーの大きさは、実力的には簡単に五輪行きを決めてもおかしくなかった全日本女子があれだけ苦戦した事からも明らかです。やはりワールドカップとは比べ物にならない程にオリンピックという舞台は特別なのだと思い知らされました。そして全日本男子はまさにそのオリンピックという、およそアスリートにとって聖地ともいえる程特別な舞台の魔力に飲み込まれてしまったといったこの最終予選でしたね。

先ほども言ったように、世界各国はやはり全日本を研究して丸裸にしていました。特に新エースの石川祐希はサーブで狙われ続け、得意のバックアタックを封じられました。石川のバックアタックという選択肢が消えた事で相手チームのブロックは的を絞りやすくなり、平均身長で劣る日本はことごとくその網に引っ掛かった・・というのはその最たる例ですね。

ワールドカップで世界の強豪国の脅威となった全日本のサーブも軒並み不調。サーブミスを連発してゲームの流れを切ってしまい、逆に相手のサーブで崩されて連続ポイントを失ってしまうという負の連鎖でした。ワールドカップでその実力を示し、全日本男子の不動のセッターとして攻撃を操った深津英臣も今大会では途中で控えセッターの関田誠大と交代する場面も多くみられました。ワールドカップでの安定感を考えたら信じられないようなシーンです。

石川祐希が封じられた事で必然的に多くのボールが集まる事となったオポジットの清水邦広は相手ブロックにシャットアウトされる場面が目立ち、石川と対角に入っていた柳田将洋や米山裕太、福澤達哉も自分たちより10㎝以上高いブロックに大苦戦していました。結果サイドアウトを取る事もままならずに連続失点を重ねるというのが全ての試合に共通した流れでしたね。

結果として見れば、相手の研究を跳ね返せなかったと言えると思います。そしてそれは実力不足といわれても致し方ないのかもしれません。

技術的な敗因と流れを決めてしまった具体的な敗因

敗因を突き詰める事は何も敗者を晒し上げるというものではありません。敗因をしっかり分析してこそ未来があるのです。

この最終予選での惨敗ともいえる結果は、技術的には

  • サーブの精度が低すぎた、威力が弱すぎた
  • レセプションを乱されて相手の高いブロックの餌食になってしまった
  • レセプションを乱せずにブロックに掛けられなかった
  • サーブで石川を狙われてバックアタックを封じられた

といったところです。

しかしもっと具体的に言うと、第2戦の中国戦が全てだったと思います。

恐らく日本チームとしては、初戦のベネズエラ戦の次に勝ちやすい相手だと踏んでいたはずです。その根拠は、日本の開催国特権。日本開催となったこのバレー最終予選は、開催国特権として開催国である日本が2チームだけ対戦相手を選べるのです。そして日本はその対戦相手を初戦にベネズエラ、2戦目に中国と指名しました。2連勝して波に乗ろうという意図です。つまり、日本としては最初の2戦は勝ちを計算していたのです。

日本の開催国特権とは?使い方は間違っていなかったのか?

開催国の特権としてベネズエラと中国を初戦と二戦目に指名して必勝を図った全日本男子ですが、その意図は全く逆の効果となります。初戦のベネズエラ戦こそセットカウント3-1で勝利したものの、2戦目の中国戦は0-3のストレート負け。ここで既に日本チームは剣が峰に追い詰められてしまっていたのです。

今回の参加国で日本よりも世界ランキングの低い2チーム(中国は19位、ベネズエラは20位、日本は14位)に対して1勝1敗となり、後の5試合は全て日本よりもランクが上のチームばかり(ポーランド2位、イラン8位、フランスとカナダ10位、オーストラリア13位)となってしまいます。チームプランが狂って精神的にも追い詰められたであろうことは容易に想像がついてしまいます。

まあハッキリ言ってこのオリンピック出場をかけたガチの大一番で開催国特権などというものがある事に異論はあるのですが、そこはとりあえず置いておいて(汗)、なんでこんな最初の2戦に全てを賭けるようなリスキーなやり方に出てしまったのでしょうか。

これほどリスクを賭けなければ出場が叶わない程に実力差があったと思っていたとも言えます(結果的に見ればそれが当たっていたとも言えますが・・)。しかし折角の開催国特権なるものなのですから、もう少し有効に使わせてもらった方が良かったのではと思います。結果を見れば開催国特権が仇になってしまったともいえるのですから。

個人的に言うならば、2戦目のどちらかで優勝候補のポーランドかフランスとやるべきだったのではと思います。初戦のベネズエラはいいと思います。やはり初戦は飼って勢いをつける事が大事ですから。2戦目で強いところとやっておくというのは後で意味がある事だと思います。しかも相手はヨーロッパのチーム。時差ボケが完全に抜けていない可能性もあります。負けたとしても1勝1敗。中国に負けての1勝1敗とは天と地との差ですね。

2戦目に中国を指名した事が果たして正解なのかどうか。個人的には結果を抜きにして大失敗だと思います。そもそも中国は簡単に勝ちを計算できるようなチームではないのですから。

Sponsored Link

見事に裏をかかれた日本のコミットブロックによる速攻封じ

中国は平均身長で日本を10㎝近く上回る超大型チームです。しかも日本には相性の悪いチームです。世界ランクでは日本の方が上ですが、対戦成績は大きく負け越している相手です。

そんな中国に日本がやられるパターンは中国チームの速攻です。中国チームはAパス(サーブレシーブでセッターが動かずにトスを上げられるほど精度のいいレセプション)が入ったらかなりの高確率でミドルブロッカーの速攻を使ってきます。日本はそれを止める事が出来ずに簡単にサイドアウトを取られてしまい、相手のブロックやサーブでポイントを奪われて負けるというのが中国にやられてきた負けパターンでした。

そこで中国戦で日本チームは、ミドルブロッカーをコミットブロック(トスが上る前にブロックに飛ぶこと)で相手ミドルブロッカーの速攻をシャットアウトする作戦に出ました。リードブロック(相手スパイカーの動きを見てトスが上ってからブロックに飛ぶこと)で中国の速攻にやられてきた日本チームの大ばくちでした。

しかしそんな日本の奇襲はものの見事に裏をかかれます。中国はミドルブロッカーを使わずにサイド攻撃一辺倒。コミットブロックでミドルブロッカーに一人ついていた日本のブロックは当然サイドが薄くなり、面白いように中国のサイド攻撃が決まります。結局この序盤のお互いの心理戦を出し抜いた中国が勢いに乗り、日本はその流れを引き戻す事が出来ないままにストレート負けを喫しました。

個人的にはこの中国戦が最終予選の全てだったと思っています。

残り2試合を消化試合と思わずに東京への反撃の狼煙としてほしい

その後はポーランド戦で完敗し、イラン戦とオーストラリア戦では勝負どころの1ポイントが奪えないという似たような展開で、終盤に失速して逆転でセットを失うという負け試合でした。ポーランド戦は力負けでしたが、イラン戦とオーストラリア戦は力差をそれほど感じなかっただけに悔しい負けでした。結局オーストラリアに負けてその時点でオリンピック出場権を失うという終戦でしたね。

残念ながらカナダ戦とフランス戦は結果的には消化試合になってしまいました。

しかしこの2戦の持つ意味は非常に大きいと個人的には思います。

折角昨年のワールドカップバレーで大健闘し、復活の気配が見えた日本男子バレー。石川祐希と柳田将洋という新時代のスターが生まれ、人気も盛り返しかけていた矢先のこのオリンピック出場権を獲得できなかったという現実。なかなか切り替えの出来る事ではないかもしれませんが、復活の火を絶やさないためにも残り2戦は4年後の東京オリンピックに繋がる試合をしてほしいと思います。

日本男子はこんなもんじゃないんだ、という事を意地でも見せつけてほしいと思います。それこそが4年後に繋がると信じてやってほしいですね。

スポンサーリンク

コメントを残す

このページの先頭へ