国民栄誉賞とは?伊調馨(いちょうかおり)以外の過去の歴代受賞者や辞退者、受賞に相応しい人物など

リオデジャネイロ五輪でオリンピック史上初となる、女子選手4大会連続金メダルという快挙を達成した女子レスリングの伊調馨選手に国民栄誉賞が授与される事となりそうです。

政府は既に国民栄誉賞を授与する方向で調整に入っているという事であり、もしも授与が正式に決定すれば、史上24組目(過去には22人と1団体)の国民栄誉賞受賞者という事になり、女子レスリング界では2012年11月に受賞した吉田沙保里選手以来2人目の快挙という事になります。

今回は国民栄誉賞の歴史や歴代受賞者など、国民栄誉賞とは何ぞや?という疑問について見ていきたいと思います。

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そもそも国民栄誉賞って何なのさ??

国民栄誉賞とは、“広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉を讃えること”を目的とし、その対象者に内閣総理大臣から贈られる賞の事です。始まりは、1977年(昭和52年)に当時読売巨人軍のプロ野球選手・王貞治選手が、ハンク・アーロンの持つ通算世界ホームラン記録を破って世界記録を打ち立てた時にさかのぼります。

当時は内閣総理大臣が表彰する、「内閣総理大臣顕彰」という似たような賞があったのですが、この内閣総理大臣顕彰は、プロ野球選手を表彰した例が無かったため、王選手への表彰のため新たに創設される事となったのです。言ってみれば、王貞治さんこそ国民栄誉賞の生みの親と言ってもいいのかもしれません(厳密に言えば当時総理だった福田赳夫さんですが笑)。

今回の伊調選手への国民栄誉賞授与は既に内閣としては既定路線であると報道されていますが、総理が授与を決めたからと言ってすぐに国民栄誉賞の授与が決まるわけではありません。

総理が授与するに当たって、民間有識者の意見を聞かなければならないという規定があり、今回も伊調選手を候補者としたうえで民間の有識者の意見を聞き、異論がなければ国民栄誉賞が正式に決定するという流れになります。

まあ世界でこれまで誰も成し遂げていない偉業を達成した伊調馨選手。どう考えたって異論など挟む余地もないとわたしは思います。恐らくノー文句の授与となるはずです。

国民栄誉賞23組の受賞者たち一覧

それではここで、過去の国民栄誉賞受賞者を見てみましょう。

受賞年    名前       職業      主な功績

1977年  王貞治      プロ野球選手  本塁打世界記録
1978年  古賀政男     作曲家     数々のヒット曲を生み出した
1984年  長谷川一夫    俳優      映画演劇への多大な貢献
1984年  植村直己     冒険家     世界初の五大陸最高峰登頂に成功
1984年  山下泰裕     柔道家     ロス五輪金メダル、連勝記録など
1987年  衣笠祥雄     プロ野球選手  連続試合出場世界記録達成
1989年  美空ひばり    歌手      多数のヒット曲を世に出した国民的歌手
1989年  千代の富士    大相撲力士   大相撲最高勝ち星記録更新など
1992年  藤山一郎     歌手      多数のヒット曲、美しい日本語の普及
1992年  長谷川町子    漫画家     国民的アニメ“サザエさん”生みの親
1993年  服部良一     作曲家     数々のヒット曲を生み出した
1996年  渥美清      俳優      「男はつらいよ」主演の国民的人気俳優
1998年  吉田正      作曲家     数々のヒット曲を生み出した
1998年  黒澤明      映画監督    ハリウッドに影響を与える程の世界的貢献
2000年  高橋尚子     陸上選手    日本女子史上初の五輪陸上金メダル獲得
2009年  遠藤実      作曲家     数々のヒット曲を生み出した
2009年  森光子      俳優      “放浪記”2千回公演達成などの偉業
2009年  森繁久彌     俳優      国民的俳優としての多大なる業績
2011年  なでしこジャパン 女子サッカー  史上初のW杯優勝の快挙
2012年  吉田沙保里    レスリング選手 世界大会13連覇、五輪3連覇
2013年  大鵬       大相撲力士   昭和の大横綱と呼ばれ角界の顔として活躍
2013年  長嶋茂雄     プロ野球選手  プロ野球を国民的スポーツにした大スター
2013年  松井秀喜     プロ野球選手  日本人初のワールドシリーズ優勝など

40年間で23人。約2年に一人しか生まれていないというのは多いのか少ないのか?皆さんはどう思われますか?

辞退理由が伝説となっている福本豊、遺族が辞退した名作曲家・古関裕而(こせきゆうじ)

これまでに国民栄誉賞を受賞したのは以上の22人、1団体ですが、ここには含まれていない国民栄誉賞辞退者も過去にはいらっしゃいます。

最初の辞退者は、1983年に当時の盗塁世界記録を更新した阪急ブレーブスの韋駄天・福本豊選手。この世界記録達成によって当時の中曽根康弘首相から打診されましたが、これを固辞。当時の受賞辞退理由は今でも語り草になっているほど有名ですね。

「そんなんもろたら立ちションもでけんようになる」

(笑)。最高ですな。確かにその通りです。

なお、後年福本豊さんはこの時の理由とは別の真意も語っています。

「国民栄誉賞を受賞するという事は、記録だけではなく広く国民に愛されなければならないという事。王さんの様になれる自信がなかった」

との事です。いかにも福本さんらしいですね。こんな飾らない人柄、あくまで謙虚で真摯な人格が今でも解説者として広く人気を博している理由なんでしょうね。

二人目の辞退者は、戦前から戦後にかけて多数のヒット曲を生み出した作曲家、古関裕而(こせきゆうじ)氏。氏の作品の中でも高校野球のアンセムとなっている「ああ栄冠は君に輝く」は日本人であればほぼ誰もが知っているほどの名曲ですね。

80歳で亡くなった後に受賞が内定していましたが、遺族が辞退したという事です。生前の古関さんご本人の意思なのでしょうか?それともご遺族の意思なのでしょうか?理由は今もって詳しくは分かっていませんね。

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さすが世界のイチロー、カッコよすぎる辞退理由

ただ一人だけ、二度の国民栄誉賞授与を拒否したのが、世界のイチロー、メジャーリーガーのイチロー(鈴木一朗)選手です。

2001年にオリックス・ブルーウェーブからアメリカメジャーリーグのシアトル・マリナーズへ移籍。1年目から首位打者と盗塁王を獲得する大活躍を見せ、新人王、ゴールドグラブ賞などとともに史上初となる日本人メジャーリーグMVPを受賞。

この大偉業に対して、当時の小泉純一郎首相は国民栄誉賞の授与をイチロー選手に打診しました。それに対するイチローの返答が以下の通り。

「国民栄誉賞をいただくことは光栄だが、まだ現役で発展途上の選手なので、もし賞をいただけるのなら現役を引退した時にいただきたい」

素晴らしいですね。自分はまだこれで終わりではないという強烈な自負が込められています。どこまでもストイックなイチローらしいコメントです。

2004年には84年間破られる事の無かったメジャー記録のシーズン最多安打を破り、世界記録を打ち立てました。この時にも国民栄誉賞の授与がイチロー選手に対してなされましたが、イチロー選手は、

「今の段階で国家から表彰を受けると、モチベーションが低下する」

まさにイチロー。この貪欲さが現在でも現役を続け、メジャー3000本を達成する原動力なのでしょうね。

彼が現役を退くその日まで、彼はどんな大記録を打ち立てようとも国民栄誉賞を受ける事は無いでしょう。そのこだわりこそがイチローがイチローだる所以なのでしょうね。

リオ五輪男子リレー銀メダルの4人は国民栄誉賞に値する快挙

辞退者をご紹介しましたが、個人的に「なんでこの人は受賞していないの??」と疑問に思っている人たちもご紹介しておきましょう。

まずは柔道でオリンピック3連覇を達成した野村忠宏選手。まあ前回ロンドンで3連覇を達成した伊調選手も貰っていないという事で致し方ないのかな?とも思いますが。野村選手の柔道選手としての凄さ、無類の勝負強さを知っているからこそ、やはり授与してほしかった選手ですね。柔道で3大会連続金メダルを取れるほどのトップ選手の地位を維持し続けるだけでも凄い事です。

次に同じくオリンピックで偉業を達成した水泳の北島康介選手。

アテネ、北京での2大会連続の100m、200m平泳ぎの2冠達成などという快挙はしばらく日本人選手では出てこないほどの大記録でしょう。そのカリスマ性は既にアスリートとしてレジェンドと言ってもいいほどであり、世界競泳界でも尊敬される選手でもあります。彼に授与されなかったのは本当に謎という他ありませんね。

そして、伊調選手とともにぜひとも国民栄誉賞を授与してほしいのが、リオオリンピックの陸上男子4×100mリレーで史上初の銀メダルを獲得した男子リレーチーム、山縣亮太、飯塚翔太、桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥の4人の侍たち。

陸上短距離であるこの種目で日本人が銀メダルを獲得するという事がどれだけ凄い事か。これはこれまでオリンピックや世界陸上を見てきた人たちであればわかるはずです。しかもあのアメリカチームを破っての堂々の銀メダルなのです。

正直言って、わたしは北京オリンピックの4×100mリレー銅メダルメンバー(塚原直貴、末續慎吾、高平慎士、朝原宜治)にも授与して良かったと今でも思っています。そして、正直4×100mリレーでメダルを取れるのはもう自分の生きている間は見れないのかなという気持ちもありました。

それが、まさかガトリンやゲイのいるアメリカを力勝負でねじ伏せて銀メダルを獲得する場面を見られるとは・・

この4人の侍たちには国を挙げて称えるべきだと思います。その形として国民栄誉賞を授与してあげて欲しいですね。なでしこジャパンが団体で受賞した前例もありますし、それならばこの4人の勇者にも授与して然るべきだと個人的には思います。

受賞に際して議論が巻き起こる国民栄誉賞

とまあ、国民栄誉賞に対して好き勝手に書いてきましたが、異論反論山盛りの方もいらっしゃるでしょう。

国民栄誉賞といっても基準は非常にあいまいなものであり、世論では内閣の人気取りのために利用されているという意見も根強くありますしね。

実際に過去の受賞者の中には「何でこの人が?」と議論が巻き起こった例もありますし、「この人が受賞するんだったら何であの人がもらえないの??」という意見もよく耳にします。

とはいえ、今回の伊調馨選手の受賞に異論をはさむ人はあまりいないのではないかと個人的には思いますね。やっぱり4大会連続で金メダルを獲得するという事はどこをどう考えたって凄い事です。

ただ、陸上男子リレーの4人にも是非授与してほしいです。頼みます、安倍晋三首相!!

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