マインツ武藤がユナイテッド移籍?香川真司の教訓は生かされるか?ファン・ハール後の新監督がカギを握る

またまたサッカー界で興味深いニュースが流れています。

武藤、マンU移籍で香川超え!? 市場価値は渡欧半年の7得点で7倍に

ドイツ・ブンデスリーガのFSVマインツ05に所属するFW・武藤嘉紀の獲得にイングランドの名門、マンチェスター・ユナイテッドが乗り出しているとイギリスの地元紙が伝えているとの事です。

ユナイテッドへの日本人移籍と聞いて真っ先に思い浮かぶのは何といっても現在ドルトムントでプレーしている香川真司でしょう。香川のユナイテッドでのプレミアリーグ挑戦は2年間という短い間でしたが、お世辞にも成功したと言えるものではありませんでした。

マンU程のメガ・クラブでの成功という事になるとやはりそう簡単ではないという事を香川真司の例でわたしたち日本人は痛感しました。

それでは今回の武藤の場合はどうでしょうか。

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武藤嘉紀の進化と適応能力

今シーズンJリーグのFC東京からドイツのマインツへと移籍した武藤ですが、いきなりポジションを獲得して先発出場を続けており、前半戦終了時点で17試合に出場し、7得点を挙げてブンデスリーガの得点ランク8位タイにつけるなど、武藤と入れ替わりでイングランドのレスター・シティへと移籍した岡崎慎司の穴を埋めて余りある成績を残しています。

武藤は8月29日のハノーファー96戦でドイツ初ゴールを含む2ゴールを挙げると完全に先発として定着。10月31日のアウクスブルク戦では岡崎慎司も達成していないハットトリックを決め、高原直泰に続くブンデスリーガ日本人2人目の快挙を成し遂げます。ドイツ移籍決定後の7月には民主党衆議院議員・渡辺周の娘さんで客室乗務員として働く一般人女性と入籍を発表し、まさに公私とも乗りに乗っている時期だと思います。

そんな武藤に届いたこのビッグなオファー。しかし、この武藤にメガクラブからオファーが届いたのは初めてではありません。実はドイツ移籍が決まる前にイングランドのチェルシーからもオファーがあったのです。

マインツとチェルシー両方からのオファーのうち、武藤はマインツ移籍を決断します。選手層が厚く試合出場が困難なチェルシーよりも選手層が薄く、試合出場チャンスのあるマインツを選んだのですが、現在の状況を見ると大成功でしたね。実際、武藤獲得の件で質問を受けた当時のチェルシー監督のジョゼ・モウリーニョはただ一言、

「わたしは武藤を獲りにいってはいない」

と述べています。スポンサー絡みでフロント主導の移籍交渉だったとみられており、もし移籍していても試合出場は極めて困難であったと思われます。

それにしても驚くべきは武藤の適応能力の早さです。

現在のマインツでは4-2-3-1(4-4-1-1の方が近いかも)でのワントップとして起用され、得点を量産しています。しかし元々はサイドを主戦場としていたウインガータイプの選手でした。FC東京での最後の年にフォワードとして起用され始めましたが、2トップの一角としての起用が多く、ワントップでこれだけ早く、しかも慣れないドイツで開花したのは驚くべき事です。

今時点でのスケールはもちろん違うのですが、同じくウインガーのドリブラーとしてキャリアをスタートさせて後にストライカーとしての得点能力やポジショニングを目覚めさせたレアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドを彷彿とさせますね。

ファン・ハールの処遇で混沌としているマンUの現在

一方、獲得の意思を示しているといわれるマンチェスター・ユナイテッドは困難な状況に直面しています。

第18節でストーク・シティに敗れ3連敗となったユナイテッドは現時点で首位レスターと勝ち点9差の6位。しかもヨーロッパ・チャンピオンズリーグでの敗退も決定しており、現監督ファン・ハールの解任も決定的と言われています。

実際、ファン・ハールの解任は間違いないと思います。あとは時期と後任監督でしょう。マンUフロントは現在後任候補と接触を重ねているはずで、それが決まり次第ファン・ハールの退団が発表されるはずです。言葉は悪いですが、既にファン・ハールは「死に体」の状態なのです。

ファン・ハールについてはコチラの記事に詳しく書いてます。
マンU低迷の原因はファン・ハール?スコールズの大胆批判に見るユナイテッドの問題点を独断と偏見でw

そんな状態のファン・ハールが武藤獲得の意思を示しているわけがなく、武藤移籍を望んでいるのは現在マンUのフロント入りしているマンUの黄金期を作った名将、サー・アレックス・ファーガソンだと言われています。

チェルシーへの移籍を踏みとどまった武藤にはなんとも気になる話ではないでしょうか。監督主導ではなくフロント主導で移籍した選手というのは大きなリスクを抱えます。新しく就任した監督は、やはり自分が望んで獲得した選手を使いたがるものです。

実際に現監督のファン・ハールなどはバルセロナ時代にフロント主導で獲得が決定したフアン・ロマン・リケルメに対して

「君はわたしが望んで獲得した選手ではない」

と公然と宣言し、実際にリケルメはバルセロナで殆ど試合出場の機会を与えられませんでした。ドルトムントで香川真司と共に大活躍してバイエルンに移籍したマリオ・ゲッツェも同じ理由からジョゼップ・グアルディオラ監督に冷遇されていると言われています。

この2つだけでなく、このような例は現在でも過去でも枚挙に暇がないほどたくさんあります。武藤にとっては新監督が決まるまでは様子見というのが無難なのではないでしょうか。

不運が重なってしまったユナイテッド時代の香川真司

ユナイテッド移籍が浮上した武藤の今後を占うためにも、ユナイテッド移籍の先輩である香川真司がどうして成功する事が出来なかったのかを分析しておく必要があるでしょう。

ファーガソン退任

香川真司がユナイテッドへ移籍したのは、武藤獲得を熱望していると伝えられる当時ユナイテッドの現役の監督であったこのファーガソンの強い希望によるものでした。実際ファーガソンが監督を務めた移籍1年目はハットトリックを決めるなど、先発出場のチャンスも与えられ、1年目としては及第点の成績を残す事も出来ました。

しかしファーガソンが退任してデイヴィッド・モイーズが就任した2年目は試合出場が激減します。そして3年目に就任したファン・ハールからは戦力外扱いされてシーズン開始前にドルトムントへと出戻り移籍するのです。

香川真司がユナイテッドで成功をおさめきれなかった大きな原因はやはり、監督交代でしょう。

前途のようにファーガソンが1年で退任したことがあまりにも痛すぎました。2年目に就任したモイーズのサッカーはあまりに古典的なイングランド・サッカーの典型であり、中盤で細かなパスを回しながら周りの選手とのコンビで相手を崩そうとする香川真司とは絶望的なほどビジョンに差がありました。中盤省略のロングボール、あるいはサイドからのクロスで得点を取りに行くモイーズのサッカーに香川は必要ありませんでした。

その後のファン・ハールは与えられた手駒(選手)でやり繰りする監督ではなく、欲しい選手を獲得してチームを作る監督でした。加えて香川の主戦場となるサイドの選手には1対1での突破力とスピードのある選手を求めており、香川はサイドとして失格の烙印を押されてしまいます。

香川の特性を理解し、評価して獲得してくれたファーガソンのたった1年での辞任はあまりにも痛すぎましたね。

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ファン・ベルシーの入団

もう一つの大きな不運は香川の入団決定直後に決定したアーセナルFW、ロビン・ファン・ペルシーの入団です。

香川を獲得した時点でのユナイテッド(ファーガソン)はファン・ペルシーの獲得を全く想定していませんでした。それほどファン・ペルシーの入団はユナイテッドにとって「棚からぼた餅」と言ってもいいほどの幸運だったのです。この年の前年のファン・ペルシーはイングランドの名門、アーセナルで30得点を挙げてぶっちぎりの得点王に輝いたほどのストライカーです。

このファン・ペルシーの突然の入団でファーガソンの構想に狂いが生じます。

元々はエース、ウェイン・ルーニーをワントップで起用し、トップ下に香川を使う予定だったのですが、ファン・ペルシーをワントップ、トップ下にルーニーが下がって香川はサイドで起用される事になってしまいました。サイドで起用されるユナイテッドの香川を見たドルトムント時代の恩師・ユルゲン・クロップ監督は思わずこう漏らしています。

「ユナイテッドでのシンジは左サイドで起用されている。信じられない、涙が出てしまうよ。」

香川をトップ下で起用して数々のタイトルを獲得してきたクロップにとっては慣れないポジションで苦労している教え子の状況が耐えられなかったようです。

さらに、フォワードが動いて出来たスペースに飛び込んでゴールしたりフォワードとの連携で相手を崩すのが得意であった香川とファン・ペルシーの相性の悪さも致命的でした。

この頃のファン・ペルシーはゴール前中央に陣取ってゴールを狙うというプレースタイルでした。相手DFを引き付けて後ろやサイドからくる選手のスペースを空けたり、周りの選手とのパス交換で相手を崩すプレーなどというものはほとんど無く、それ故に香川得意のゴール前への飛び出しやフォワードとのコンビネーションも、殆どゴール前に張ってゴールを狙う事に専念するファン・ペルシーとポジションが被ってしまうために影を潜める事になります。

ルーニーと縦に並んだ時には可能性を感じさせるコンビネーションを見せていただけに、もしもファーガソンの当初の構想通りにルーニーワントップで香川のトップ下だったらと思ってしまいますね。

 

しかし、香川がユナイテッドで直面したこのような状況はメガクラブではよくある事です。ある意味メガクラブの宿命とも言えるでしょう。

毎年のようにビッグネームが入団し、その選手らとの競争に打ち勝ってポジションを確保しなければなりません。監督も結果が出なければすぐに交代してしまいます。

つまり監督が代わり新しい選手が入っても適応できるだけの適応能力や複数のポジションをこなせるオールラウンドさ、さらに戦術理解度など全ての能力が高いレベルで求められるのです。

そして武藤嘉紀がユナイテッドで輝くために最も必要なもの、それは香川真司に最も足りなかった「運」だと思います。

ユナイテッドの監督が誰になるのか、そして周りの選手との相性やライバルの能力の大小などなど・・まあ武藤には焦ることなくじっくり考えて決めてほしいですね。

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