岡崎慎司がプレミアチャンピオンに!ミラクルレスター躍進の理由。システム、戦術、選手、監督や来季の課題など

いよいよヨーロッパの各国リーグも佳境を迎えて来ました。

世界四大リーグに目を移すと、イタリア・セリエAではユヴェントスが既に優勝を決め、ドイツブンデスリーガでもバイエルン・ミュンヘンが優勝間違いなしの状況となっています。

スペインのリーガエスパニョーラはレアル・マドリー、アトレチコ・マドリー、バルセロナが勝点1差にひしめく三つ巴の大混戦ですね。

しかし何といっても話題をかっさらっているのがイングランドプレミアリーグでしょう。

日本代表FW・岡崎慎司が所属するレスターの快進撃です。

Sponsored Link

順当なスペイン、ドイツ、イタリアに比べて大波乱のイングランドプレミアリーグ

セリエを制したユヴェントス、ブンデスで独走するバイエルン、リーガで熾烈な優勝争いを繰り広げるレアル、アトレチコ、バルサ、これらのチームはどれも2015-16シーズンの開幕前から優勝候補と言われていたチームです。言ってみれば順当に優勝争いを繰り広げているといってもいいでしょう。

しかし、プレミアだけは別次元の現象が起きています。

プレミアリーグの開幕前の予想としては、前年度リーグ覇者のチェルシー、そしてマンチェスターの2チーム、シティとユナイテッド、そしてアーセナル・・伏兵としてトッテナムとリバプール、こんな予想が大半でしたね。他のリーグに比べれば大混戦の様相を呈していたとはいえ、優勝チームはほぼ間違いなくこれらの中のどれかであろうと言われていました。

しかしふたを開けてみればビックリってやつです。誰もがノーマークだったレスター・シティは開幕から勝ち星を重ねて上位をキープ。優勝候補と目されたチェルシー、マンチェスター・ユナイテッドなどの不振もあって、マンチェスター・シティやアーセナル、トッテナムらと優勝争いを繰り広げます。誰もが途中で落ちるだろうと思いながら、いよいよここまで来てしまいました。残り3試合を残してあと1勝すれば優勝というところまで来たのです。仮にレスターが3試合で1つも勝てなくても、優勝争いのライバルであるトッテナムが残り3試合で1つでも負ければそれでもレスターの優勝が決まるという状況です。もはやレスターの優勝はカウントダウン状態まで来たのです。

開幕前は優勝どころか降格争い候補だったレスターシティ

レスター・シティは昨年2014-15シーズンのイングランドプレミアリーグで全20チーム中14位。とは言え、3月までは降格圏内に沈んでおり、一時は最下位にも喘いでいたチームです。4月以降の9試合で7勝を挙げて何とかプレミア残留を果たしましたが、2015-16シーズンの下馬評で優勝候補に挙げる評論家など勿論いるはずもなく、むしろ降格候補として見られていたほどです。

それを証明するように、大手ブックメイカーのシーズン開幕前の優勝予想オッズは何と6000倍。遊びで1000円賭けたとしても払い戻しは600万円。1万円賭けていれば、何と6000万円です。これが開幕前のレスターの評価だったのです。

そんなチームが、世界でも最もチームのレベルが高いリーグの一つであるイングランドプレミアリーグの覇者になろうとしているのですから、世界中で大騒ぎになるのも無理はありません。一発勝負のトーナメントであればこのような可能性も無くはないでしょうが、1年間のロングランであり、年間38試合のリーグ戦での快挙です。誰も予想しなくて当たり前でしょう。

そしてそんなレスターの中心選手として活躍している日本人選手がいます。

そう、フォワードの日本代表、岡崎慎司です。

得点こそ少ないがその貢献度はイギリスファンやマスコミも認める岡崎慎司

岡崎慎司は2015-16シーズン開幕前にドイツブンデスリーガのマインツからこのレスターへ移籍してきました。戦力の底上げと得点力不足解消という役割を期待されての移籍です。

岡崎はここまで(35試合消化時点)で33試合に出場し、うち先発出場が26試合と、紛れもないレギュラー選手です。シーズン序盤にはフォワードのライバルであるレオナルド・ウジョア(アルゼンチン)にポジションを奪われかけた事もありましたが、シーズン中盤からは完全にレギュラーとして定着、昨年のチーム得点王であるウジョアをベンチに追いやって先発出場を続けています。

ここまで奪ったゴール数は5ゴール。同僚のFWジェイミーバーディー(英国)の22得点や、司令塔のリヤド・マレズ(アルジェリア)の17得点に比べると、いかにも少ないですね。控えのウジョアでさえ6得点なのを考えると尚更です。

しかしこの岡崎の評価は現地で非常に高いです。あの辛辣で知られるイギリスメディアからの評価が特に高いというのが非常に珍しいですね。

その内容としては、岡崎慎司の得点だけではない総合的な評価です。特に守備における貢献度です。岡崎はバーディとともにツートップを組んでいるフォワードなのですが、前線から積極的にボールを追いかけています。岡崎の前線からのチェイスによって相手のパス供給コースは限定され、岡崎の後ろに控えるセントラルハーフのヌゴロ・カンテ(フランス)、ダニー・ドリンクウォーター(英国)のパスカットの大きな助けになっています。

そんな岡崎の貢献度を示すニュースがこちらです。

岡崎のスプリント数は今節トップ! 驚異の運動量に英紙も「キング・オブ・スプリント岡崎」と仰天

スプリントをこれだけこなすという事は、守備から攻撃、攻撃から守備へと全てにおいてピッチを駆けまわっている事の何よりの証です。

得点力だけでなくこういった部分にスポットライトを当てて評価してもらえるというのは岡崎にとっても嬉しい事でしょうし、何よりイギリスのサッカー文化の深さを現していますね。

時代遅れであるが、守備に特化した現在では希少な戦術

フォワードとして5得点という事に岡崎慎司は全く満足していないと言っていますが、その他の部分での貢献度はファンからもメディアからも大いに評価されている岡崎慎司。彼とヴァ―ディーが前線からボールを追いかけて後ろの守備陣を楽にし、中盤のカンテとドリンクウォーターという無尽蔵のスタミナを持つハードワーカーでボールを刈り取る。そこが突破されても最終ラインには屈強なセンターバックのロベルト・フート(ドイツ)とウェス・モーガン(ジャマイカ)が控えるという鉄壁の守備陣がレスターの生命線です。

それを示すように各試合のスタッツを見てみても、レスターのボール支配率は30%台から40%程度。ほとんどの試合で相手よりもボール支配率が低いです。相手にボールを持たせておいて、そのボールをカットしたら前線のヴァ―ディー、マフレズ、岡崎慎司が一転攻撃に転じて少ない手数でゴールを奪うというのがレスターの得点パターンです。

ハッキリ言って非常にクラシックなチームだと言えるでしょう。言葉を悪く言い換えれば時代遅れともとれます(笑)。

現代サッカーでは中盤の2枚、カンテとドリンクウォーターのどちらか1枚は展開力に長けた選手を使うのが当たり前になっています。カンテはパスセンスもありますが、やはり守備型の中盤ですし、ドリンクウォーターはカンテ以上に守備的です。

センターバックも現代サッカーでは足元の技術のあるセンターバックを配するのが一般的です。最終ラインからの攻撃の組み立てを重要視するのでパス精度が求められるのです。しかしこのレスターのセンターバックの2枚、フートとモーガンはフィジカルを生かして攻撃を跳ね返すのには抜群の安定感を見せますが、足元の技術はお世辞にも上手いとは言えません。

何が言いたいかというと、とにかくこのレスターというチームは守備に特化したチームであるという事です。

Sponsored Link

無冠の帝王・ラニエリのリーグ初制覇がまさかレスターとは・・(笑)

そんなレスターを率いるのがイタリアのベテラン監督、クラウディオ・ラニエリ。今年65歳を迎えるこの名伯楽は、過去にチェルシーやユヴェントス、インテル、ローマ、バレンシアなどの名門を率いてきた名監督です。ただし、これだけの実績を誇りながらも未だにリーグ優勝の経験はありません。「無冠の帝王」という有り難くないニックネームをもらっているほどです。

レスターには今季開幕前の2015年6月に就任しましたが、その前にはギリシャ代表を率いていました。とは言ってもわずかに4試合を戦っただけで解任。成績は3敗1分。これによってラニエリの評価は地に落ち、すでに終わった監督とも見られていました。

そんなラニエリに就任要請したのが前年シーズンで降格間際だったプレミアの下位チーム、レスターだったのです。

正直言ってこれまでのラニエリの実績からすると、格落ちのチームである事は間違いありません。これまでこれほどの実績を残しながらリーグ優勝を成し遂げられなかったラニエリが、まさかこのレスターで初優勝を味わうなど、周囲は勿論のこと、ラニエリ本人も思ってもいなかったでしょう。正直なところの目標はプレミア残留を果たし、うまくいけば中位以上、出来ればヨーロッパリーグの出場権を争えれば・・というところが現実的な目標だったはずです。

それがふたを開けてみればプレミア優勝、そしてヨーロッパリーグどころか、チャンピオンズリーグ出場なのですから、ラニエリ本人が一番驚いているのかもしれませんね。

このラニエリという監督はイタリア人らしく、守備戦術の強化には以前から定評がありました。ただしその戦術は古臭いという評価も多く、その彼の守備的戦術ゆえにすでに「終わった監督」「時代遅れ」という評価がついて回っていたのも事実です。

そんな彼の守備的戦術は、フート、モーガン、カンテ、ドリンクウォーターといった守備のスペシャリスト、そして岡崎、ヴァ―ディーという前線からチェイス出来るフォワードを揃えたレスターととんでもない化学変化を起こしました。現在ではレスターのファンたちは親しみを込めてラニエリの事を「ゴッドファーザー」と呼んでいます。

ホントにサッカーってのは面白いですね。これだから見るのを辞められませんよ(笑)。

野暮ですが来季の事を・・主力の引き抜きや過密日程で苦戦か?

お祭りムードに沸くレスターですが、ここで空気を読まずに(笑)、あえて来季の事を占ってみたいと思います。

来シーズンはリーグ戦に加えてチャンピオンズリーグにも出場する事となります。今年とは比べ物にならない過密日程となる事は間違いありません。となると、重要になるのが選手層です。今年のようにほとんどの選手を固定して戦うというのは非常に厳しいです。縦横無尽にピッチを走り回るレスターの運動量の多いサッカーを考えたら尚更ですね。

となると、開幕前に選手を何人か補強しなけらばならないのですが、心配なのは今シーズンの大躍進によって中心選手がビッグクラブから狙われているという事です。特にヴァ―ディー、マレズ、カンテ辺りは既に移籍の噂が後を絶たない状況となっています。正直これらの選手すべてが来季もレスターに残るというのは考えにくいのではないでしょうか。

もちろんこれらの選手が移籍した場合には多額の移籍金が入るので、そのお金で新たに選手を獲得すればいいのですが、彼ら以上にレスターにフィットする選手が取れるかというと非常に厳しいでしょう。特にレスターの大きな得点源でもあるヴァ―ディー、マレズのどちらかが抜ければそのダメージは計り知れません。

主力の離脱によるチーム力低下と、チャンピオンズリーグとの過密日程によってリーグ戦にも悪影響を及ぼして来シーズンには再び降格争い・・なんて可能性も大いに考えられてしまいます。

なんていう野暮な話はこれくらいにしときましょう。今はただただこの奇跡のような物語を現実にしてしまったレスターの偉業をたたえるのみですね。と同時に、岡崎慎司という選手が日本サッカー史に残る事を嬉しく思います。辛口サッカー評論家のセルジオ越後氏が以前言っていました。「本田や香川に比べて岡崎を取り上げる日本のメディアが少なすぎる」と。確かにそれは思いますね。海外では本田、香川に匹敵するほど注目を集める存在なのですが、日本での露出もこれで間違いなく上がるでしょうしね。

スポンサーリンク

コメントを残す

このページの先頭へ