NHK大河ドラマ「真田丸」第22話「裁定」視聴感想とMVPと第23話「攻略」史実から見たネタバレ予想

大河ドラマにおけるフィクションとは?史実に忠実であるべきか否か?

真田丸第22話「裁定」は、さながら戦国裁判物といった趣の特異な回でしたね。密室劇、法廷劇を好み得意とする三谷幸喜の、まさに独壇場ともいえる回だったと思います。

沼田城を巡って真田家の代表である真田源次郎信繁(堺雅人)と北条家の代表である板部岡江雪斎(山西惇)、それに沼田城を巡るいきさつを良く知る徳川家の知恵袋、本多弥八郎正信(近藤正臣)が絡んでのまさにディベートでの戦でした。個人的には非常に面白く見たのですが、ネットなどでは史実にこのような事実(信繁と江雪斎の論戦)はない!といった声もありますね。

史実では確かに豊臣秀吉(小日向文世)が沼田の裁定を下しましたが、その過程で信繁と江雪斎が秀吉や石田治部(山本耕史)、豊臣秀次(新納慎也)らの前で大論陣を張ったなどとはどこにもありません。真田安房守(草刈正雄)が大坂にいた時に秀吉に直談判したというような説はあるようですが。

沼田を巡る真田と北条の裁定を秀吉が下したという歴史的事実を基にして、その過程を三谷幸喜がフィクションで描いたというのが本当の所なのでしょう。主人公の信繁を絡ませて。

このような手法に対してはやはり色々と議論が出ますが、個人的には全然有りだと思っています。だって史実をそのままにやるんであれば、ドラマじゃなくてもいいって思ってしまいますね。それならノンフィクション番組を見ます。真田丸はあくまで「大河ドラマ」です。ドラマですから多少のフィクションもやむを得ないでしょう。というより必要です。結末がしっかりと史実になっていれば過程がフィクションでも個人的には問題ないと考えています。第一、全てを史実に忠実にやったって面白くないと思いますね。

日本人独自の言葉として、「行間を読む」という言葉があります。文字通り、書いてある事だけではなくてその背景や筆者の意図をくみ取ることです。まさに三谷幸喜氏は歴史の行間を読んで脚本を書いているんだと思います。そして自分も三谷幸喜のドラマの行間を読むことを意識してドラマを見る事を心がけています。そうする事で見えてくるものも沢山あると思っています。

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残念だった名胡桃城奪取事件の詳細描写無し

さて、前置きが長くなってしまいましたが(苦笑)、今回の第22回「裁定」、秀吉による沼田領問題の決着、そして北条による名胡桃城(なぐるみじょう)奪取事件から小田原征伐決定と、目まぐるしく歴史が動いた回でしたね。

豊臣政権と関東北条家の対立を軸にしなががらも、豊臣家の中では千利休(桂文枝)の勧め通りに北条を武力で討伐したい秀吉と平和裏に解決したい三成の駆引き、そして北条家の中では外交によって戦無しの決着を図りたい板部岡江雪斎とプライドの高さと自信故に秀吉の配下になりたくない北条氏政(高嶋政伸)の思惑。それぞれの陣営の内部事情も絡めて非常に分かりやすく描いてありました。

そこに沼田領が絡んでの真田家の内情、北条と豊臣の間で苦悩する徳川家康(内野聖陽)など、当事者以外のお家事情などにも踏み込まれていましたね。

全体的には満足の行く出来だったのですが、一つだけ不満を言わせてもらうと、名胡桃城を奪われた描写が全くなかったのが残念ですね。城を奪われて切腹した真田家臣の鈴木主水(すずきもんど)に至っては全く出ず仕舞いでした。

三谷幸喜のコンセプトとして、信繁が実際に立ち会っていない出来事に関してはなるべく簡潔にという事でしたので、そのコンセプト通りとはいえるのですけどね。実際そうする事で物語が散漫になる事なく、真田家中心にストーリーが描かれ、理解しやすい作りになっているのは紛れもない事実です。ですが、名胡桃事件に関しては真田家の重大事件であり、北条攻めに繋がるという意味では日本史上でもかなりの重大事件といえます。だからこそもっと濃密に描いてほしかったですね。

まあ50回という尺が決められている以上は致し方ない部分もあるのかもしれません。まあ視聴者とは贅沢なもんなんで三谷先生お許しください(笑)。

「裁定」のMVP

今回のMVPに行きましょう。今週も難しいですね。

一人に絞れなかったので、三人という事で行きます(笑)。沼田所領裁定において大論戦を行った信繁、江雪斎、正信で。

うーん、三谷幸喜の十八番ともいえる密室での法廷劇の時代劇版という事で、なかなか見応えのあるシーンでした。立ち会った石田治部、秀次、秀吉らも良かったですけど、やはりこの三人という事になっちゃいますね。

信繁と江雪斎の争いは結局、正信が口を開いた事で流れが一変し、秀次の指摘によって決着がつきました。それぞれ見事な演技でしたね。堺雅人は「リーガル・ハイ」等を見ても分かる通り、こういう役は手慣れたものですね。近藤正臣さんはさすがという他ない円熟の演技。本当にこの役者さんは演技の幅が広いです。どんな役でもこなしてしまう凄い俳優さんです。

意外だったのが江雪斎役の山西惇さん。「相棒」での角田課長役のイメージが強いせいか、山西さんの動の演技には見入ってしまいました。主君・氏政の意向と北条家の行く末の狭間で懸命に戦う江雪斎を見事に演じていました。やはりこちらも流石というしかありません。

秀次も相変わらず良かったですね。今回の裁定では秀次がただの暗愚な人物でなかったことが示されていました。この真田丸での秀次はこれまでの秀次像を覆すような秀次ですね。最近は再評価が進んできている豊臣秀次ですが、この真田丸でその動きは一層加速しそうです。豊臣秀次といえば新納慎也!ってくらいに新納さんにとってははまり役になるのではないでしょうか。

名胡桃城を残すために先祖の墓があるなどと嘘八百を平気で言っちゃう(笑)お父さん・昌幸も相変わらずいい味出してましたし、良心の呵責から江雪斎に会えずに歯噛みする家康、そして対照的に北条を滅ぼすのに一切のためらいを見せない秀吉の底の見えないどす黒さも秀吉・家康の対比として面白かったですね。

次週はいよいよ小田原攻めです。氏政ら北条家の運命を示唆する有働由美子アナウンサーのナレーションで締めくくられた第22話「裁定」。次週は氏政役の高嶋政伸さんの渾身の演技が見られそうですね。非常に楽しみです。


第23回「攻略」のストーリー

北条家の猪俣邦憲が真田家の名胡桃城を奪い取ってしまった事に端を発した豊臣秀吉による「小田原・北条攻め」。秀吉はまるで己の威光を見せつけるかの如く、20万以上の未曽有の大軍をもって関東の覇者・北条家の本城である小田原城に迫る。

迫りくる豊臣家の大軍の前に関東北条家の実質上の当主である北条氏政は小田原城での籠城を決意する。難攻不落と謳われた小田原城であれば、どんな大軍であろうと落とす事は出来ないという判断であった。関東の名門・北条家の当主たるプライドと、同じく豊臣に屈していない奥州の雄・伊達政宗の援軍への期待、そして難攻不落の小田原城の存在に絶対の自信を持つ氏政は、豊臣方からの降伏の要求をはねつけるのであった。

そんな中、真田安房守昌幸は北条家の支城である、武蔵国・忍城(おしじょう)の攻略を命じられていた。信繁も父である昌幸に従っている。ある日、忍城攻略のために陣を敷いていた真田軍の下に、秀吉から北条攻めの指揮を任されていた石田三成が現れる。昌幸と三成は忍城の攻略を巡って意見の相違から対立する事となってしまう。

一方で昌幸とともに忍城攻略の任についていた信繁は、北条征伐の軍に加わっていた徳川家康と大谷吉継(片岡愛之助)に呼び出されるのであった・・

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史実から見た「攻略」ネタバレと考察

いよいよ次週から小田原征伐が始まります。前回も書きましたが、この小田原征伐は、単に惣無事令(そうぶじれい・豊臣秀吉が許可なく大名間での争いを禁じたもの)に違反をした北条家を討伐するため・・というよりも、秀吉によるパフォーマンス色が濃い戦です。

二十万以上の兵士を動員する事で己の権勢を示し、奥州の伊達政宗ら未だ豊臣家に臣従しない大名家への無言の圧力とするのが一番の狙いだったとも言われています。言ってみれば、北条家はそのスケープゴートになったという言い方が正しいのかもしれません。が、征伐の名目を与えた北条よりもやはり秀吉の方が一枚も二枚も上だったという事でしょう。

そんな天下統一事業の総仕上げとなった北条攻めにおいて、真田昌幸・信幸(大泉洋)・信繁親子も豊臣軍に従軍します。史実では真田家は北条家の支城である鉢形城(はちがたじょう)、八王子城、松井田城、忍城などの攻略に加わったとされています。その中でも最も有名なのが忍城の戦いです。

映画化されて大ヒットした「のぼうの城」で有名になった戦いですね。次々と落とされていく北条家の城の中で、唯一小田原城が降伏するまで持ちこたえたのがこの忍城なのです。そして、そこに参戦した武将の中に真田信繁の名があります。信繁の戦のハイライトと言ってもいい戦いの一つがこの「忍城の戦い」なのです。

この忍城の戦いは、石田治部少輔三成の戦下手を決定付けたと言われている戦です。石田三成はこの忍城を水攻めにしようとしますが、見事に失敗してしまいます。唯一豊臣が落とせなかった城という事も相まって、石田治部は戦がからっきし駄目だという象徴のような戦いとして語り継がれています。

しかし最近の研究では、水攻めは何事も派手好きな秀吉の命によるものだったという説も出てきています。わたしも堅実派で節約家の三成が水攻めのように膨大な費用を必要とするような策を独断で決めるとは思えませんので、秀吉の命令だったと思っています。まあそうだったとしても、石田三成が戦が苦手だったというのは間違いないとは思いますが(苦笑)。

とにかく、次週はこの忍城攻めがハイライトとなりそうですね。

遂に登場!奥州の覇者・「独眼竜」伊達政宗

次週はしっかりと史実として信繁が参戦した事が明らかになっている小田原征伐の忍城攻めがメインとなるでしょう。その中で信繁をどう活躍させるのか?石田三成らとどう絡んでいくのか?非常に楽しみなところではあります。三谷幸喜なりの新解釈が登場するのかどうかも気になりますね。

正直言って、小田原征伐と言っても表立った兵同士のぶつかり合いはほとんどありませんでした。北条方はほとんどの城が籠城し、豊臣方はそれを取り囲んで北条勢が降伏する。その繰り返しです。よって、華々しい戦の描写はほとんどないと考えた方がいいかもしれません。実際に豊臣軍はほとんど毎日厭戦気分だったとも言われています。豊臣方からしてみると、勝ちの決まった戦いであったという事でしょう。そんな中でどう物語を動かしていくのか?関東の名門・北条家の滅亡という結果に対して、過程をどう描くか?興味がわきますね。

そして次週の「攻略」には、戦国時代きっての人気武将がいよいよ登場します。

奥羽の「独眼竜」、伊達政宗(長谷川朝晴)です。

当時の政宗は野心を露わにし、みるみるうちに東北で勢力を伸ばしていました。秀吉が発した惣無事令などどこ吹く風、といったものです。そりゃあそうでしょう。東北には政宗に対抗できるだけの勢力はもはやかろうじて出羽の最上義光(もがみよしあき)くらいのものであり、政宗は破竹の勢いで周辺諸国を平らげていた真っ最中だったのですから。野心溢れる若き伊達政宗にとって、秀吉が発した惣無事令など迷惑千万といったところでしょう。北条氏政が秀吉に従わなかったのと同様に、政宗も秀吉からの上洛要請に頑として従いませんでした。

しかしこの小田原征伐の最中、ついに伊達政宗は秀吉に謁見する事となるのです。秀吉に対面した時に白装束(死装束)で出向いた逸話はあまりに有名ですね。

恐らく、小田原攻めで20万の兵力を動員した秀吉の権勢を見て、政宗も今の秀吉には到底勝ち目はないと悟ったのでしょう。そしてそれは同時に北条家にとって味方になり得る一番の同士が消えた瞬間でもあります。ここに完全に北条家の命運は決まりました。

次週の伊達政宗登場はやっぱり白装束なのでしょうか?そこにも注目しましょう。

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