【大河キャスト】女城主・井伊直虎(なおとら/次郎法師/おとわ)の生涯 井伊直政、直弼(なおすけ)らを生んだ功労者

2017年のNHK大河ドラマは「おんな城主 直虎」。安土桃山時代に実在した井伊家の井伊直虎を主人公として描く大河ドラマ第56作目の作品です。

この大河ドラマ化によって一躍脚光を浴びることとなった井伊家の女領主・井伊直虎。

謎に包まれた井伊家の女領主の人生や大河ドラマでの見どころ、主人公の直虎役を務める柴咲コウさんのことなどについてご紹介したいと思います。

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井伊直虎(いいなおとら/おとわ)の略歴

生年は不詳。父は遠江の国人・井伊直盛で母は祐椿尼(ゆうちんに)

井伊家第22代当主の父・直盛に男子がいなかったため、直盛は叔父・井伊直満の息子であり直盛にとっては従兄弟にあたる井伊直親を直虎に嫁がせて婿養子として井伊家を継がせるつもりであったといわれている。

ところが天文五年(1544年)、井伊家の家老を務める小野政直の井伊家の主君・今川義元への讒言(ざんげん)によって井伊直満は粛清され、直満の嫡男・直親も井伊谷を脱出して信濃国伊那郡へと逃れる事となった。

直親と結婚する予定であった許嫁の直虎は出家を余儀なくされ、龍潭寺(りょうたんじ)で次郎法師と出家名を名乗った。

信濃国へと逃れていた井伊直親は弘治元年(1555年)に井伊谷へ戻り今川家臣として復帰。しかし直親は信濃潜伏期間にすでに妻を娶っており、既に出家していた直虎と成婚することは叶わなかった。

永禄三年(1560年)、井伊家が仕える今川義元は尾張国の織田家討伐のために兵を起こすが、桶狭間で織田信長の奇襲にあって命を落とす(桶狭間の戦い)。この時に直虎の父であり井伊家の当主でもあった井伊直盛も戦死する。

直盛の死によって井伊家第二十三代当主となった井伊直親であったが、井伊家家老の小野政次(道好)の讒言によって義元の後を継いだ今川家当主・今川氏真に殺されてしまう(永禄五年)。

更に翌永禄六年(1563年)には井伊家の長老であり、直虎の曾祖父である井伊直平が死去。さらに今川家の引間城攻めに従軍して新野親矩(にいのちかのり)中野直由らが戦死。親族や重臣を失うという悲劇によって、井伊家は存亡の危機を迎える事となった。

当主不在であった井伊家は直親の嫡男でまだ幼少であった虎松(後の井伊直政)を龍潭寺の和尚・南渓瑞聞(なんけいずいもん/南渓和尚とも)に託し、南渓和尚は虎松を三河国・鳳来寺に預けて保護した。

不在であった井伊家当主は龍潭寺で出家していた次郎法師が還俗して名を井伊直虎と改め、井伊家の実質的当主となった。

還俗して井伊家の実質的当主となった直虎であったが、井伊家を事実上取り仕切っていたのは、許嫁の直親を死に追いやった井伊家家老の小野政次であり、小野家の井伊家内における力は絶大なものであったといわれている。

そして小野政次はついに永禄十一年(1568年)に井伊家の居城である井伊谷城を占拠する。しかしこのような小野政次の独断に対し、近藤康用(こんどうやすもち)、菅沼忠久、鈴木重時という井伊谷三人衆が反旗を翻す。この三人衆の蜂起に隣国三河の徳川家康が助力し、井伊家は井伊谷での実権を小野政次から奪還することに成功。元亀元年(1570年)、小野政次は井伊直親に対する讒言の罪を徳川家康に問われて処刑。ここに小野家の井伊家内での影響力は終焉を迎えた。

落ち着くかに思われた井伊谷であったが、甲斐・信濃を領する甲斐の虎・武田信玄が遠江に向かって進軍を開始、圧倒的な戦力を誇る武田軍によって井伊谷城は陥落、井伊家は三河の徳川家康を頼って落ち延びる事となる。

武田家の力の前に井伊谷奪還を果たせなかった直虎であったが、信玄の死をきっかけとして井伊谷城を奪還、元亀四年(1573年)に井伊家代々の故郷を取り返す事に成功した。

直虎は直親の嫡男・虎松を養子として迎え、天正三年(1575年)に虎松が15歳を迎えると徳川家に仕えさせる。ここに後の徳川四天王・井伊直政が誕生することとなった。

直虎は直政の徳川家出仕の7年後となる天正十年(1582年)に死去。

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井伊直虎は女ではなく男だった?“井伊家伝記”に残された逸話の真偽とは?

上に記した井伊直虎の生涯というのは、ほとんどが井伊家の家伝、「井伊家伝記」という書物に記されている伝承です。

実はこの井伊家伝記という井伊家の家伝は成立したのが、江戸時代中期の享保十五年(1730年)。この「おんな城主 直虎」の時代から約150年から200年後の事なのです。

というわけで、実はこの「井伊家伝記」に記されている内容というのは史実としてはあまり信頼に足るものではないというのが実情なのです。

明らかに事実とは違う事柄も多くあり、地元に伝わる言い伝えなどを記載した事柄もあるため、その信憑性は残念ながら信頼に足る資料とはいえないというのが本当の所ですね。直虎の大河ドラマが始まる直前にはこのようなニュースも出ていました。

おんな城主・井伊直虎、実は男だった!?京都の美術館が発表 NHK来年の大河ドラマ主人公

新資料の発見によって、定説であった井伊直虎のおんな城主説が覆されるのでは?という内容のニュースです。まあこの件に関してはこれから研究科などの間で議論されていくのでしょうが、それほどこれまでは資料が少なかったという事の裏付けでもあります。

とはいえ、基本的には大河“ドラマ”ですから、個人的にはあまり史実がどうとかというのにこだわりすぎることはないとも思います。井伊家家伝という井伊家に伝わる家伝に残っているということは、その元となる資料の信憑性がどうであれ、それは立派なドラマの根拠になるのだと個人的には思いますしね。

昨年の真田丸の主人公・真田信繁(幸村)にしても前半生のほとんどは謎に包まれているわけですし、その辺りは逆に言えばドラマの主人公としては膨らませやすいといえるのかもしれませんね。

井伊直政、井伊直弼らを生んだ名門井伊氏の危機を乗り切った直虎波乱の人生

井伊氏といえば、戦国時代に徳川四天王として徳川家康の天下取りに大きく貢献した井伊氏第二十代当主・井伊直政や幕末に江戸幕府大老として権勢を誇った第三十四代当主・井伊直弼らを輩出した名門です。

しかしこの井伊直虎は「女城主」ではありますが、「女当主」ではありません。井伊家の実質的当主であった可能性はありますが、実際に当主ではなかったのです。

このドラマに出てくる人物でいうと、第二十代当主が直虎の曾祖父の井伊直平(前田吟)、父の井伊直盛(杉本哲太)が第二十二代(早世した祖父・直宗が二十一代)、井伊直親(三浦春馬)が第二十三代、そして徳川四天王・赤備えの井伊直政(菅田将暉)が第二十四代ということになります。

直虎が実質的な当主として井伊家を取り仕切ったとされる時代は、まさに井伊家にとっては激動の時代。今川家から徳川家へと属する主君を変えて生き残りをかけた、井伊家にとっては最も困難で最も重要な時代といっても過言ではありません。

井伊家内部の事情も激動、そして井伊家の主君に当たる今川、徳川にとっても大きな岐路となるこの時代。さらにそこに織田信長や武田信玄など、この時代を代表する有名戦国大名も絡んでくるこの物語。

そういう意味ではこの井伊直虎という人物は、大河ドラマの主役としては井伊谷(いいのや)というミクロな部分と、天下の覇権を賭ける日本というマクロな部分の両方を描けるという、ある意味うってつけの題材といえるのかもしれませんね。

徳川家康、織田信長、武田信玄、今川義元・・井伊谷に関わる日本史の超大物たち

この「おんな城主 直虎」ですが、物語としてはどういうコンセプトとなるのでしょうか。ネットなどでは期待する声や不安視する声、様々あるのが実際のところです。

直虎自身の恋愛や井伊家当主の苦悩はもちろんドラマですので避けては通れない部分なのでしょうが、個人的には直虎はあくまでストーリーテラー的な存在として、井伊家の周囲を取り囲む大勢力との駆引きなどを多く描いてほしいと思いますね。

今川義元氏真武田信玄・勝頼、徳川家康織田信長など、とにかく魅力的な武将と存分に絡むことができるのはこのドラマの最大の魅力の部分だと思います。特に徳川家康に関しては、まだ今川家の人質的な立場であった若年期を描けるので、非常に興味がありますね。

そういった日本史上の超有名人たちの動きと並行して井伊家の内情を描くことをバランスよく両立出来れば、名作大河になる可能性は十分にあると思いますね。

あくまで直虎を等身大に描き、井伊家を大勢力に囲まれた一国人の悲哀を織り込みながら描ければ大成功ではないでしょうか。これまでの大河ドラマで言うと、同じ大勢力に囲まれて生き残りを図った「毛利元就」や、昨年の「真田丸」の真田家のような感じですね。どちらも凄く好きな大河ドラマです。戦国時代の弱小勢力の生存競争の過酷さをいやという程見せてくれました。

ドラマ性は文句なし。後は、全てこの素晴らしい素材を脚本家が生かせるかどうかという気がしますね。


おとわ役の新井美羽、直虎役の柴咲コウ 大河初出演の二人の演技に注目

井伊家の女城主・井伊直虎を演じるのが柴咲コウさん。意外なことに大河ドラマは初出演という事になります。

激動の井伊家を支え、数々の苦難を乗り越えながら井伊直政という名将を世に送り出した井伊直虎。井伊家の中興の祖ともいうべき存在でありながらその詳しい経歴は謎に包まれているこの女性を、柴咲さんはどう演じてくれるのでしょうか。

演技力は何の心配もいらないでしょう。クールな役も天然な役も、強い女性もナイーブな女性も全て演じ切れるのはこれまでのキャリアを見ても明らかです。

直虎という女性を描くに当たっては前述したとおり、「井伊家伝記」を基にしてストーリーが作られていく事でしょう。そうなると、直親が井伊谷を脱出して信州に逃れるとすぐに出家したことからも、幼少ながらかなり肝の据わった女性として描かれる事となりそうですね。この辺りは直虎の幼少期(おとわ)を演じる新井美羽ちゃんの演技にも注目という事となりそうですね。

ちなみに新井美羽さんは2006年(平成十八年)生まれの10歳。まだ小学校四年生の女の子です。もちろん大河ドラマはこの直虎が初出演となります。

出家した辺りの逸話を見てみると、やはり戦国時代の女領主であっただけあって、かなり大胆で豪胆な部分のある女性である事が伺われますね。お転婆で少しエキセントリックな部分もあるおとわ時代を新井美羽さんが演じ、長じて苦難の井伊家の危機を乗り切っていく強気女城主としての直虎を柴咲コウさんが演じるという事になりそうです。

柴咲さんはこのおんな城主直虎をどのような人物として演じてくれるのでしょうか。これまでドラマで演じられたことがほとんど無い人物だけに、非常に楽しみであり興味深くもありますよね。

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